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秘密

ハミルトンの正体がわかる

┝中国総統[鈴・乱衆]によるスパイ騒動[第4話参照]から、二日。

地下日本と地下中国の2ヶ国間で秘密理に【[ヴァルキュリア]捕獲協力体制】を確立し、日本政府だけでなく、中国政府も、ジヴァナを倒す唯一の存在[ヴァルキュリア]を追い始め、軍隊を地上へ派遣し始めた。

┝【地下中国・首都[北京]・乱衆の自室】

「…………」

鈴・乱衆は、自室で本を読んでいた。

「………ヴァルキュリア、か。」

鈴は、思わず呟いた。彼女が読んでいた本の名は【ヴァルキュリア物語】。

彼女の恩師である、カガリビと呼ばれる女性研究者が書いた【物語】いや、【予言書】である。

「…………あと二人……カガリビ様………いったい誰なのですか……」

そんな鈴の言葉に、答える声は無い。

「……くよくよ考えては、始まらないアルか………」

鈴は、そう言うと、目尻に浮かんでいた涙を拭き、本を閉じた。

「……ハミルトン………やはり、あなたが正しいのかもしれん…………だが、私は、続けるネ。カガリビ様とは違う【道】を。」




┝【地下日本国・東京・ハミルトン邸】

地下東京内に、建てられたハミルトンの自宅【ハミルトン邸】は、ハミルトン自ら設計した邸宅である。そんなハミルトン邸に、入江・來と真田・美結の二人が、いた。

┝「…………」

「………」

來と美結は、目の前に座るハミルトンを前に、無言で立っていた。

「……お座りください。來さん。美結。」

二人の視線を受け、ハミルトンは、二人の後ろにある椅子に座るように促した。「……ハミルトン。アタシらを呼んだのは、鈴との関係を明かすためかしら?」椅子に座ったと同時に、美結が口を開いた。

「そうです。本当は、ずっと隠し続けたかったんですがね………」

「なんで隠す必要があった?ハミルトン。」

「……彼女とは、深い縁があるのですよ。語りきれないぐらいの深い縁がね…………実は、私と鈴さんは、義姉妹なんですよ。」

「なっ!?」

「うそでしょ!?」

ハミルトンの言葉に、思わず、來達は、驚きの声を上げた。

それはそうだろう。

あの鈴・乱衆と、ここにいるハミルトンが、義姉妹と、言われたのだから。

「………驚くのも無理ない話ですよ。前の【鈴さんへの問いただし】(第4話参照)の時に、少しだけ名前を出しましたが、覚えてますか?【カガリビ】と」

「え…えぇ、もちろん。その【カガリビ】さん…がどうしたのよ?」

「そのカガリビ様は、私達の義母です。ちょっと待ってくださいね………」

そう言うと、椅子から立ち上がり、部屋にあるタンスの上にあった写真を手に取った。

「それは………」

「私と鈴、そしてカガリビ様ですよ。」

その写真を、二人に見せた。

「中央にいる人が、カガリビ…様……なのか?」

「そうです。そして、隣にいる二人が……私達です。」

「………ハミルトン。アンタは、いったい何者よ?」

美結は、ハミルトンに向かってそう聞いた。

「………………」

「どういうことだ?美結。ハミルトンは、ハミルトンだろう。」

「來……写真の日付を見てみなさいよ…」

「何?……………なっ!?」美結の言う通り見ると、來は、思わず声を上げた。

その写真の日付は、【西暦3457年・7月24日】と書いてあったからだ。

「3457年………!?ジヴァナ襲来の二年前……500年以上前だ…」

「…………ハミルトン、本当にアンタは何者なの?」真実を知った二人を前に、500年以上前の人、ハミルトンを口を開く。

「…………私と鈴さんは、人間ではありません。ジヴァナの細胞を組み込まれ、悠久の時を生きる【観察者】ですよ。」

「【観察者】?」

ハミルトンの意味深な言葉に思わず、美結は、おうむ返しをした。

「そうです。分かりやすく言えば…………そうですね【不死身】といいますかね……」

「もしかして、ハミルトン…………あの少女達【ヴァリキュリア】も……」

「いえ、私達の細胞に施された技術が、あのヴァリキュリア達に施されている可能性は、無いでしょう。この技術は、私と鈴さん以外には、受けてませんし。しかも、この技術は、カガリビ様以外知りません。」

「……本当に、そのカガリビ様、ていうのは、何者なんだ?」

ハミルトンのいう、カガリビと言う人物の凄さに、來は思わずそう呟いた。

「実は、そのカガリビ様、少し調べてみたが……」

「見つからなかったでしょう?」

「……そうだ。全く見つからなかったよ。」

「現在、カガリビ様の事を知る人間は、私と鈴さんだけです。ましてや、カガリビ様の情報は、あの人自身が、抹消されましたから。」

來の言葉に、ハミルトンは、そう説明した。

しかし。

「ねぇ、ハミルトン。本当に、そのカガリビさんの情報を記した本とかは、ないの?」

やはり、その【カガリビに関しての情報】の存在である。

「あります。カガリビ様自身が書き、私達二人に残した本が。」

「え?」

「【ヴァリキュリア物語】、カガリビ様の【予言の書】にして、世界に一つだけの最高の物語。」

そう言いながら、ハミルトンは、古びた本を机の中から取り出した。

「【ヴァルキュリア】だと?」

【ヴァルキュリア】という単語に、來が思わず反応する。

「あの少女達【ヴァルキュリア】と関係がありそうね。」

「…………これは、私見になりますが、あのヴァルキュリア達は、おそらく、突然的な進化を遂げたのでしょう。」

「【突然的な進化】?」

「ジヴァナの細胞によって不老不死になった私と同じように、彼女達もジヴァナから、何らかの影響を受け、ジヴァナに対抗できる力を【進化】したことにより、得た。と考えれば妥当でしょうね。」

「【突然的な進化】【ヴァルキュリア物語】【カガリビ様】か………。しかし、やはり、最優先事項は、【ヴァルキュリア捕獲】だな。」

「そうですね。では、地下に行きましょう。」

「え?なんで?司令所はーーー」

「ここの地下にも、司令所を作ったんですよ。では、行きますか。」

そう言うと、ハミルトンは、部屋にある暖炉についた飾りを押す。すると、暖炉自体が、右にずれて、その後ろに、通路が出てきた。

「な!?こ…これは…」

「隠し通路ですよ。では行きますか。」

そう言うと、さっさと先に入っていったハミルトンを、二人は、あわてて追っていく。


┝そこは、確かに、司令所そのものであった。

本来の司令所は、国会議事堂の地下に、設置されている。

しかし、その司令所が、今、彼女達の前に広がっているのだ。

「………これは……」

あまりの、精巧さに、來は、思わず呟いた。

「どうです?一から造り上げたのですよ。ここ。」

「……さすがは、【人ならざる者】ね。アタシが、あんたを【蛇】みたいに思うのも、むりないわね。」

「【蛇】……ですか。そうですね。私は【蛇】ですよ。【ヴァルキュリー】さえも、飲み込みましょう。」そう言うと、ハミルトンは不適に笑った。

この後。

ハミルトンを筆頭に、第二次ヴァルキュリー捕獲計画が、発動されることになる。

┝うって代わり、地上では、ハミルトン達の計画を知らぬ【ヴァルキュリー達】つまり、サイファ達が、ジヴァナを探し回っていた。

「まったくいないな。ジヴァナが。」

「ここまでいないと、すがすがしくなるわ。」

「うん。」

ルシーの言葉に、サイファ、ルルが続く。

東京駅周辺に、三人はいるが、全くもって、ジヴァナがいないのだ。

「ルルが率いた、反攻軍の攻撃があったからかしら?」

「いや。それはないだろ。ジヴァナは、アタシら人類を地下に追い込むくらいだ。ここらじゅうにいても、おかしくないはずだ。」

ルシーの言う通りである。

ジヴァナは、人類を地下に追い込んだ。これは【ジヴァナは、人類を滅することを、目的としている】ということを、表している。

だからこそ、ジヴァナが全くもっていないということは、ないのだ。

「……地上に一度は、出たから、かもしれないですね。ここから。」

「どういうこと?ルル。」

「知らないのですか?ジヴァナにより地上を追われて、から今まで、一度だけ、日本は、地上へ出たことがあるんですよ。」

「もしかして……【第一次地上奪還計画】か…?」

ルシーの言う【第一次地上奪還計画】に、ルルは頷く。

【第一次地上奪還計画】。

これは、前総統【長尾・頼良】が、なしえた【地上への帰還】である。

この計画により、地上への帰還を数ヶ月ながら、なしえたのだ。

が。

結局は、バリケードを破られ、再び人類は地下へ追い込まれた。

これが、【第一次地上奪還計画】の全てである。

そして、三人がいる場所こそ、まさに、【第一次地上奪還計画】でなしえた【数ヶ月の地上】である地であった。

「…………数ヶ月の地上、か………だけど、ジヴァナを、倒さないかぎり、この地上は、人類の手に戻ることはないわ。」

サイファは、そう断言した。

幾度もジヴァナを倒した彼女だからこそ断言できるのであろう。

真のジヴァナの恐ろしさを知る彼女だからこそ、だ。

┝眠り続ける。

それは、私が生き残る術だった。

【あれ】が、この地球を襲うのも時間の問題だった。だからこそ、私は、地下深くに造ったシェルターに設置した【コールドスリープ装置】に入り、ジヴァナにより蹂躙されているであろう世界を救うために、眠り続ける。

いつか。

いつか、私が、必要とされる時代が来るまで。

『今が、その時。誰か、この私を、起こせ。この【カガリビ】を。』


【了】

まだまだ続きます

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