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プロローグ
体温の低そうな少年であった。
年は10歳前後だが、その冷めた目には妙に大人びた知性の色がある。
その少年が理科室で深い緑色の液体が入った試験管を見つめていた。
「ねぇ、趙…」
ポニーテールの少女が少年に声をかけた。
少年とは同い年くらいであろうが、精気に満ちており声に張りがある。
趙と呼ばれた少年に歩みを寄せて、少女が尋ねた。
「大きくなったら私と結婚してくれる?」
「んー…別にいいぞ、魏」
と、あまり興味なさそうに試験管を見ながら趙がそっけなく答えた。
「じゃあ、誓って!」
魏という少女が超の持っていた試験管を奪い、真剣な目でずいっと顔を寄せた。
「あー、はいはい」と面倒くさそうに魏が右手を上げる。
「死が二人を分かつまで…」
「死なんかじゃふたりを別れさせられないの! ずっとずっと一緒にいるの!」
そう言い放つ魏を見て趙が「はぁ」と溜息をついた。
「んじゃ、どーすりゃいいんだよ?」
「ふたりで不老不死の〝仙人〟になればいいのよ」
いいことを思いついた、と言わんばかりのドヤ顔で魏が提案する。
「はぁ?」
そのドヤ顔を趙があきれたように見ていた。