ep.9
「はいよっ、3番、2番テーブル上がったよっ!」
「はーい、女将さん」
女将さんの威勢の良い声に答えながら、私は今日も料理片手にあちこち動き回っていた。
ああっ、労働って素晴らしいっ!
あれ?義母と妹は居なくなったし、イシス様となんか良い感じになったのに、伯爵令嬢に戻らなくて良いのか?って。
いえいえ、もちろん戻りましたよ。
今の私はフランシス伯爵令嬢、兼、こもれぎ亭の看板娘エミー。
今はお父様から伯爵家の全権利を譲られ、実質フランシス伯爵として覚えなきゃいけない事が沢山あって、もうそりゃ毎日忙しく過ごしているんだけど、イシス様に許可をもらって、月に何度か週末だけ、こうして町娘のエミーになってまたこもれぎ亭で働かせてもらっている。
やっぱり私はこの場所が大好きだから。
貴族に戻るからハイさよなら、なんて出来なかった。
女将さんやカーサ、女将さんの旦那さんである大将に常連のみんな。
あんなボロボロだった私を理由も聞かず受け入れてくれた人達。
あのまま離れてしまうなんて寂しすぎるもの。
兼業はちょっと大変だけど、そこは勤勉な前世日本人、バリバリ働きまくるわよっ!
その甲斐があるんだから、今はっ!
「おやっ、いらっしゃい」
女将さんのご機嫌な声に振り返ると、イシス様といつもの2人が店に入って来たところだった。
早速常連さん達が期待のこもったキラキラした目で3人を見つめ、カーサ親衛隊の1人が先走って酒屋に走り出す。
「いらっしゃいませ、ご注文は?」
3人が席に着くとすかさず注文を取りに行った私に向かってモーリスさんがお茶目にウィンクしながらニヤリと笑った。
「もちろん、いつもので」
その瞬間、常連さん達からワーーッと歓声が上がり、女将さんとカーサが忙しく皆んなにお酒や料理を配っていく。
エドガーさんは次々に運ばれてくる料理にさっそく齧り付いていた。
すっかり定番になったその光景を微笑ましく眺めていると、静かに立ち上がったイシス様に優しく手を取られ、私はいつものあの席へ連れて行かれる。
向かい合って座るとイシス様は美の女神様も裸足で逃げ出しそうな美しい微笑みを浮かべ、机の上で握った私の手を愛しそうに優しく撫でている。
「んっ、ゴホンっ、良いんですか?婚約者様がいるのに私の手なんか握って」
今は平民の町娘であるエミーなのだから、イシス様のやっている行為は浮気に該当するのでは?
わざとらしい私の嫌味にイシス様はクスリと笑って楽しそうに口を開いた。
「俺は独占欲が強いんだ。令嬢の君も、ここの看板娘である君も、どっちも自分のものにしておかなければ我慢ならない。
ここでエミーとして働いている間は俺から自由になれると思っているなら、今すぐその考えは捨てた方が良い」
優しい微笑みの中に何だか不穏な黒いオーラを感じて、私は慌ててピャッと背筋を伸ばした。
「そ、それで?今日はどのようなご相談なんですか?」
慌てて話を逸らす私を揶揄うように少し笑いながら、でもすぐにイシス様は困ったように眉間に皺を寄せた。
「実は、俺の婚約者の心の広さを理解出来ない自分に困っているんだ」
そう言ってイシス様は自重気味に小さく笑った。
あら?思っていたよりちゃんとした相談なのかしら?
深刻なその様子に思わず身を乗り出し真剣にその目を見つめ先を促すと、何故かイシス様は目の下を微かに染めつつ、続きを口にした。
「俺の婚約者を虐げていたあの義母と妹を金を払って釈放させた上に、与えた罰が義母は領地で謹慎、妹は修道院だなんて、どうしても俺には納得がいかないのだが、そんな自分の方が狭量なのかと日々悩んでいる」
わざとらしく困ったようにため息をつくイシス様に私はヒェッという小さな叫びを慌てて喉の奥に押し込んだ。
そ、そ、その事かぁ……うんうん、その事ね。
やっぱりイシス様に相談無しに決めちゃったのは良くなかったよね、うんうん。
でもね、そもそもはイシス様が、あの2人の被害者である君に罰を決める権利がある、って言ったからなのよ?
貴族裁判にかけてギッタギタにしてやるっ!てブチギレてたお母様の生家である侯爵家の皆さんを説得して抑えてくれたのもイシス様じゃない?
だから私、一生懸命頑張って考えてその罰を与えた訳ですよ、2人に。
いやまさか、本家のシンデレラみたいに足の一部を切り落としたり、鳥に目玉をくり抜かれてざまぁっ!なんて事まで期待されてなかったよね?
いやもうそれ、ざまぁっ!どころかグロですからっ!
無理無理、本家グリムも私には無理っ!
それに私が与えた罰でもあの2人には充分に堪えてると思うのよ、いや本当に。
都会大好き、流行り物大好き、華やかなパーティー命のあの2人が、うちの何にもない領地で耐えて生きて行かなきゃいけないんだから。
まぁローズマリーは修道院で厳しく諭され色々と気付く事が出来れば、いつかフランシス伯爵家の令嬢としてちゃんとしたお家にお嫁に出してもいいな、とは思っているけど。
なんせまだ17歳だし、これから変わる事だってまだまだ出来る年齢だし。
修道院で厳しく一般常識と淑女教育を叩き込んで頂ければ、いつかはこの王都に戻してあげようって思ってるんだよね。
まぁ、それくらいが妥当だと思ったのよ。
イシス様に相談せずさっさと決めちゃったのは悪かったけど、だってあれなんだもん。
イシス様の家ってバリバリの軍部家系なんだもん。
先祖代々騎士にして軍部の上層部に並ぶ面々を輩出してきてるのよ?
かくいうイシス様だって華奢で繊細な見た目に反して実はゴリゴリの脳筋だからねっ!
捕虜とかの尋問とかも慣れっこなわけよ。
そんな人にあの2人への罰について相談しようものなら、鞭とか持ち出しかねないじゃない?
鞭よ?鞭、鞭。
イシス様に鞭とかって……ハァハァ……この綺麗な顔で鞭片手に冷たい目で見下してきたりして………ハァハァ……そ、そんなの………ど真ん中しゅぎるぅぅぅぅぅぅぅっ!
ハッ!いかんいかん。
素人さんを勝手に自分の汚趣味の素材にしてはいかんっ!
危なかったわ〜〜、超えちゃいけない一線超えちゃうとこだった。
私は慌ててブンブン頭を振ると、その動作に少しびっくりしているイシス様に向かってわざとらしく咳をして色々誤魔化しつつ口を開いた。
「んっ、ゴホン、つまり貴方は婚約者さんが自分を虐げてきた2人に対して下した罰が軽すぎて納得がいかない、と言いたいんですね?」
必死に取り繕う私に対してイシス様は至極真面目な様子で頷いた。
「そうだ」
短い返答に私はうんうんと頷き、慎重に口を開く。
「私はその罰が軽いとは思いませんね。
だって都会のお貴族様として生きてきた2人に田舎暮らしだなんてそうとう堪える罰だと思いますよ。
そもそも、元々の元凶は婚約者さんの父親でしょ?
後妻とはいえ自分の奥さんの世話くらいさせた方が良いと思いますね。
妹だって父親の娘なんだから、領地の修道院で引き取るくらい当たり前ですよ。
今まで散々逃げ回ってきたんですから、いい加減向き合わせてやれば良いんです」
フンっと怒りを滲ませながらそっぽを向く私にイシス様は意外そうに片眉を上げた。
「つまり、エルミールはあの2人を使って父親こそに罰を与えたかった、という事か?」
そうそう、そうなのよ。
だってお父様ったらいくら何でも無責任過ぎるんだもの。
………いや、その血をしっかり受け継いで同じくらいの逃げ癖に無責任さを実装している私が言えた事ではないんだけどね。
でもほらっ、私はイシス様のお陰で反省して、今はちゃんと自分の責任と向き合ってる最中だし?私が頑張れるんなら同類のお父様も頑張れるんじゃない?って話なのよ。
せめて嫁子供への責任くらい果たして欲しいのよね。
実は義母やローズマリーへの怒りはあまり感じていないの。
2人はどちらかというと恐怖やストレスの対象で、怒りを向けるってなんか出来なくて。
………ってゆーか、拘置所にいた2人に面会に行った時、2人のあまりの変わりようにドン引きしちゃって怒りを感じるどころじゃなかったっていうのが本音なんだけどね。
2人とも痩せ細って、義母は白髪まみれのおばあちゃんみたいになってたし、ローズマリーなんか仄かに幼児退行してたのよっ!
モーリスさんが『色々と根気強くご説明させて頂いた』なんて言ってたけど、一体どんな精神攻撃すればあの2人があんな姿になるってのよっ!
怖過ぎるのよっ!
もう、2人とも充分罰を与えられてるようにしか見えなかったのですが………。
流石にあんな2人にこの上更に厳しい罰なんて与えられないっスわっ!
どんな鬼畜っ?ねぇねぇ、それってどんな鬼畜っ⁉︎
良心とか無いカンジっ?
という訳で、私からの罰はあれで十分。
イシス様的には納得出来ないのかもしれないけど、なんでも程々にって事なのよ。
つまり『ざまぁっ!』も程々にしておかないと、やり過ぎると今度は逆に自分が『ざまぁっ!』される側になっても文句言えないからね、ってこと。
その辺、明確な結論を避け曖昧さを重視し、絶妙なバランスで社会を泳ぎ切る前世日本人の美徳とでも言うのかしら?
そんな社会性に嫌気が差して生まれた文化が一連の『ざまぁっ!』だったとしても、身に染みついた気質は異世界転生ごときじゃ抜けないもんよ?
だから、私の『ざまぁっ!』はこれでお終い。
確かに12年間という長い年月、色々なものを奪われ虐げられてきたけれど、それだって私の無知と思い込みのせいであの2人を必要以上にのさばらせてしまっていたのかもしれないし。
とっととお母様の生家である侯爵家に助けを求めていれば、あそこまで酷い事にはなっていなかったのよ。
そのチャンスだって12年間の間で一度も無かった訳じゃない。
義母が『産みの母親を忘れられず、私とエルミールの母娘関係が進展しなくてもいけませんから、これからは贈り物以外の接触はなるべくお控え下さいませ(贈り物はもちろんローズマリーに渡しますけど)』とか言って私と侯爵家を引き離す前なら、なんとか助けを求められたのに、それをしなかったのは他でもない私自身。
お決まりの幸薄主人公ですわ、ハイハイ。なんて前世の知識を盲信して動かなかったのは、誰であろう、ワ・タ・シ。
うん、もうね、その点はとことん反省しようよ、私。
そんな思い込み捨てて、さっさと侯爵家に助けを求めていれば、イシス様にあんな迷惑かけなくて良かったんじゃない?そうじゃない?
とまぁ、そんな諸々の諸事情で、あまり厳しい罰をあの2人に与えたくなかったのよね。
なら与えるならお父様にかな、って思った訳よ。
自分のやった事から逃げまくって、妻子からも目を逸らし、家族の側にもいなかったんだから。
これからは否応無しに義母と一緒の生活が待ってるからね。
どんな事情であれ、ローズマリーという娘まで作った中なんだから、ちゃんと責任は取らなきゃ。
まさにこれこそ、私が本当にやりたかった『ざまぁっ!』だったのかもね。
満足げにうんうんと頷く私をイシス様は何故か少し呆れた顔で見つめながら、あきらめたようなため息を一つ吐いた。
「そうか……まぁ、エルミールが本当にそれで良いというなら、この件はもう何も言うまい……」
納得とまではいかなくても、私の気持ちを受け止めてくれたイシス様にホッと胸を撫で下ろしていると、イシス様はフッと懐かしそうに優しく微笑んだ。
「本当に君は昔から何も変わらないな。
物事をキッパリと決めつけるのではなく、その都度柔軟な考えで人を許し救ってしまう。
白黒ハッキリつけなければ気が収まらない俺は、いつもそんな君の考えに感銘を受けていたんだ。
だけど、もう2度と自分を犠牲にするような判断だけはしないでくれ。
君が耐えれば収まるような事態は正しくなんか無い。
そんな事からはいつでも逃げてくれればいい。
今度は真っ直ぐに、俺のところに………」
そう言って甘く煌めくイシス様の瞳を惚けた顔で見入っていると、イシス様はクスリと笑った。
「エミー嬢、今夜はもう遅い。
そろそろ俺の可愛い婚約者に戻って、邸に帰ろう」
溶けてしまいそうなほど甘く優しいイシス様の声に私は惚けながら大人しくコックリ頷き、イシス様に手を引かれるまま席を立った。
「女将さん、今日はもう上がりますね」
常連さん達とお高いお酒を楽しんでいた女将さんにそう声をかけると、女将さんとカーサがニコニコ笑いながら手を振ってきた。
「エミー、今日もありがとね。
またいつでも手伝いに来ておくれ。
ただし、無理は禁物だよ」
そう言って少し厳しい表情を作る女将さんに笑い返しながら頭を軽く下げて、私はイシス様と一緒に店を出た。
モーリスさんとエドガーさんがいつの間にやら扉の前に立っていて、恭しく扉を開けてくれた。
お店を一歩出れば、私は看板娘エミーから伯爵令嬢エルミールに変わる。
イシス様にエスコートされながら馬車に一緒に乗ると、隣に座るイシス様と体が密着してしまい頬に熱が集まってきた。
う、う〜ん、近いなぁ。
イシス様ってクールビューティーな見た目とは違い、何だか距離が近いんだよねぇ。
婚約者だしこれくらい当たり前なのかなぁ?
いつまでも慣れない私の方が異端?
う〜んう〜ん?と悩んでいると隣からクスッと小さな笑い声が聞こえ、スッと長くて綺麗な指が伸びてきて私の顎を掴みあっという間に上向かせられてしまった。
アッシュグレーの瞳が甘く私を絡め取り、息を呑むほど綺麗な微笑みを目の前にして私は射止められたようにピクリとも身動きが取れない。
「エルミール、婚姻の時期を早めたいと思っているんだけど、どうかな?」
疑問形でありながら何だか断りづらい圧を感じつつ、私は軽く首を傾げた。
「私は構いませんけど、何か急ぐ理由があるんですか?」
私の問いにイシス様は悩ましげに眉間に皺を寄せ、わざとらしい深いため息をついた。
「………実は、今まで深窓の令嬢と囁かれていた君が、実は義母と妹に虐待されていた悲劇のヒロインだったと判明し、社交界の大きな話題になってしまった事で君に興味を持つ人間が増えていたところに、その話題の君がフランシス伯爵となり社交界に顔を出す事になって、少し良くない事が起きている……」
真剣なイシス様の眼差しに、私はゴクリと唾を飲み込んだ。
やっぱり急ごしらえの付け焼き刃なマナーじゃ社交界では通用しなかったのかしら……。
これでも寝る間を惜しんで頑張ったんだけど………。
またイシス様に迷惑をかけてしまったとズキズキ痛む胸を服の上からギュッと押さえていると、イシス様が慎重に言葉を続けた。
「社交界に現れた君は、美しい上に柔和な雰囲気を持ち、更に話してみると気取った様子もなく他の令嬢のような傲慢さも無い、気遣いが出来る上に話も上手く、誰のどんな話も微笑みを絶やさず聞き、否定も肯定もしない賢い女性だと話題になっているんだ。
そしてそんな君に本気で熱を上げている男共も少なくない…………。
分かるか?エルミール。
これは、この俺の婚約者である君を、本気で口説くつもりでいる奴らが存在している、という事だ………」
穏やかな口調に笑顔の筈なのに、ものっすごく黒いイシス様に怯えつつ無意識に離れようとする私をジリジリ追い詰めながら、その真っ黒な微笑みを絶やさずイシス様はガシッと私の腰に腕を回した。
「俺も君も嫡子である事を指摘して、君を譲れと遠回しに言ってきた奴もいる………無論、そんな奴は君の目に入る前に排除しておいたが。
これで俺が君との婚姻を急ぐ理由を理解してもらえただろうか?」
近距離でニッゴリ黒い笑顔を向けられて、私は涙目でブンブンと首を縦に振った。
ゔゔっ、怖いヨォ………。
武力持ってる人の黒い笑顔ほど物理的に怖いものはないヨォ………。
………てか、排除したって言ったっ?この人、誰かさんを排除したって言ったっ?
それは比喩的な表現で?それとも物理的に?
…………………いやいやいや………。
無い、よね?流石に。
それは無いよね………?
私は思わず白髪まみれになって一気に年老いた義母と若干幼児退行していたローズマリーを思い出し、ブルっと震えた。
……………そこは詳しく聞かないでおこう………。
しかし、看板娘として働いていた癖で誰にでも愛想良くし過ぎちゃっていた私に非があるんだし、婚姻を急ぎたいと言うイシス様の意見に否は無い、否は無いんだけど………。
今やまつ毛が触れ合いそうなくらいドアップなイシス様の綺麗な顔に私はボッと顔を赤くして、あわあわと口を開いた。
「あのっ、お話は分かりましたから、そのっ、近っ………近いです、イシス様っ」
慌てて少しでも距離を取ろうとする私を逃すまいとするかのようにイシス様が腰に回した手にグッと力を込め、背中にまで腕を回され完全ホールド状態でその国宝級に美しい顔をますます近づけてきた。
ひぃっ、ちょっ、これ、ホントに近すぎっ!
「近い?これくらいで?俺は君と、お互いの境目が分からなくなるくらい一つになりたいと思っているのに………」
そう言ってイシス様はその青みのかかったアッシュグレーの瞳を甘く妖しく揺らめかしながら、長い指で私の顎を掴みクイっと上向かせた。
「愛してる、エルミール………早く君と婚姻して、君を俺という檻に捕らえてしまいたい………。
そして一生君を離したくない………」
耳が溶けそうになるくらい甘い声で囁きながら、顔を傾け、その形の良い唇がゆっくりと私の唇に重なった。
暖かい感触にボウっと頭が痺れ、胸が早鐘のように脈打ち、息をするのも忘れそうになる。
時間にすれば一瞬だった筈なのに、まるで永遠とも思えるような口づけは甘い余韻を残しながら名残惜しそうにそっと離れて行った。
目の下を赤くしたイシス様が少し幼く見える笑顔で幸せそうに笑っている。
「夢みたいだ……君と本当に婚姻出来るなんて………」
その笑顔と言葉に、散々こっちの都合でイシス様を振り回してしまった事にツキンと胸が痛む。
「あの……イシス様………」
「………もう、2度と逃さないよ、エルミール。
これからはずっと、ずぅっと、一緒だからね?」
改めて謝罪を口にしようとして、闇堕ち主人公さながらといったイシス様の黒く妖しい笑顔を前にしてしまい、私はヒッと言葉を飲み込んだ………。
ああ…………。
堅物生真面目生粋騎士様が………。
お馬鹿な私のせいで闇堕ち黒笑顔の似合うその界隈では垂涎ものの美麗ビジュを手に入れてしまった…………。
ありがとうございます、大好物です。
うっうっうっと神に懺悔と感謝を捧げつつ、これからは何があってももう逃げも隠れも出来ない人生を、必ず責任を持って背負っていこうと心密かに誓った。
いや、本当にっ!
何があっても尻尾巻いて逃げたりしないからっ!
一旦、いったんその黒笑顔と私の腰をガッツリ掴んでいるその手を引いてくださらないかしらっ?
もうっ!もうっ!何があっても逃げ出したりしない(出来ない)からぁ〜〜〜〜っ!
涙ながらに(心の中で)叫べども、邸についてもイシス様の腕が私の腰から離れる事はなかった…………。
END
ここまでお付き合いいただき、本当に本当にありがとうございました。
どうしても書けない日々が長く続き、リハビリ的に書いてみたのがエルミール&イシスになります。
やはりどうしても書けなくて書けなくて、最後まで書き上げるのにかなりの時間がかかりました。
ですが、久しぶりに最後まで書き上げる事が出来て、今はなんだか充足感でいっぱいです。
本当に何も考えずただ思うがままに書き散らした(相変わらず)拙いお話を最後まで読んでくださった貴方が神です、ありがとうございます。
ここからまた何か、少しづつでも書けていけたらいいなと今はちょっぴり前向きな気持ちでいます。
書いてはやめて……みたいなお話もまだ沢山ありますし……ううっ。
そしていつかまた、シシリアやエリオットに会えたら良いなと思っています。
本当に最後までお付き合いいただきありがとうございましたっ!土下座




