ep.4
私はまだブツブツと自分のどこが悪かったのか自問自答しているイシス様に向かって、わざとらしく深いため息をついた。
「あ〜〜、それは残念ながら、婚約者さんご本人には届いていないのでは?」
私の言葉にイシス様は驚いたように顔を上げ、その綺麗なアッシュグレーの瞳に私を映した。
うっ、やめて、そんな曇りなき眼で私を見ないで。
こっから保身100%を展開する私を見ないでぇぇぇぇぇぇっ!
という動揺さえも表には一切出さず、私はシレッとした口調で言葉を続けた。
「その、贈り物をすると何故か妹の方からお礼状が届くってのがもう、怪しさ満点っていうか、ほぼ罪を認めてるようなものでしょ?」
ここまで言ってもイシス様はピンとこないようで、不思議そうに首を横に倒している。
その仕草が何だか可愛らしく見えて吹き出しそうになるのを堪えながら、私は再び言葉を続けた。
「多分、貴方からの手紙や贈り物は婚約者さんには届けず、その妹が頂いちゃってるんでしょうね。
勝手に奪っておいて悪びれもなくお礼状まで送ってくるなら、多分その妹はそれを悪い事だとも思っていないのでは?
当然の事と思っているんじゃないですかね?
たぶんですけど、本当に貴方から自分に贈られた物だと思い込んでいるのかも」
………あのローズマリーなら十分有り得る………。
思い返してみてもあのローズマリーの自信には裏がなかったような気がするんだよねぇ。
つまりローズマリーは本当に毎週毎週イシス様が自分に手紙やら贈り物を送ってきていると思い込んでいる、という事なんじゃないかなぁ?
だから私もローズマリーの言っている事を信じちゃった訳で。
だってローズマリーはイシス様から愛されてるって裏表なく本当に自信に満ちていたもの。
そりゃ、毎週欠かさず手紙や贈り物が届けば勘違いもするよねぇ。
普通に愛されちゃってるじゃん、それ。
そこまで考えて私はハタと思考が止まってしまった。
ん?あれ?普通に考えて、いくら婚約者でも毎週欠かさず何か贈ったりするっけ?
いくら何でもやり過ぎじゃない?
それ、好きな人とかにやり過ぎちゃう間違った愛情表現みたいなやつじゃない?
いわゆる、溺愛、みたいな?
…………んっ?つまり、イシス様が、度は過ぎているとはいえ、私に対して愛情表現を……………?
ぼーっとそこまで考えて私は瞬間ボッと顔を赤くした。
いやいやいやっ、そんなっ、違うよねっ!
たぶん、フォックスフォード家の使用人が家の威信をかけてやり過ぎちゃってただけで、イシス様はそんなものかとスルーしてただけでっ!
決して本人発信では無く、つまり私がイシス様に溺愛されている訳では、決して、そう断じて、違うのよっ!
パタパタと赤くなった顔を手で仰いでいる私の前で、私の話にポカンとしていたイシス様は徐々に顔色を青くしていき、ワナワナと震え始めた。
「………つ、つまり、俺がエルミールに贈った手紙や贈り物は本人には届いていなかった………という事か?
しかもそれを、あの妹が自分の物にしてきた…………と………」
少し震えた声でそこまで言うと、イシス様はガタンッと立ち上がり、自分の執事と護衛を振り返った。
「モーリスっ!エドガーっ!急ぎフランシス邸に向かうぞっ!」
主人の声に常連さんとドンちゃん酒盛り中だった2人はすぐさま姿勢を正しイシス様の方へ駆け寄ってきた。
それを確認してからイシス様は私に向かって優雅にお辞儀をした後私の手を取り、その綺麗な顔でジッと私を見つめた。
「エミー嬢、貴女に相談して本当に良かった。
また必ず来ます。どうかここで待っていて下さい、必ず」
〝必ず〟のところでカッと目を見開き、震え上がるような圧を感じて私は条件反射でコクコク頷いた。
それを確認してイシス様はホッとしたように口元を綻ばせ、その綺麗な唇でそっと私の指先に触れた。
そのせいで真っ赤になる私にクスッと妖しく微笑み、次の瞬間には2人を従えて颯爽とお店から出て行ってしまった………。
「…………な、なんだったのよ……」
残された私は熱く火照る指先を反対の手でギュッと握って、ただただ茫然とイシス様の去って行った扉を見つめる事しか出来なかった………。
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嵐のようなイシス様襲撃(?)事件から数日、私にはいつもの平穏が戻ってきていた。
今考えても、結局アレはなんだったのか理解不能のまま。
ただあの日のイシス様は見た事も無いくらい表情豊かで珍しかったなぁ、とは思う。
もう随分会ってないけど、イシス様は常に無表情で、感情の機微が分かりにくかったような。
でもあの日は赤くなったり青くなったり焦ったりポカンとしたり可愛かったり………何だか妖しい色気まで醸し出したりしてたし………。
指先にまだイシス様に口付けられた感触が残っているようで、ドキッとしながら私はブンブン頭を振った。
結局、イシス様が私をどうしたいのかは分からず仕舞いだし、エミーとして生きていくと決めた私にとっては、もうこのままイシス様がここに来ない事が1番良い事なんだけどね。
ただ、イシス様の事を定番の浮気男扱い(脳内で)した事は申し訳なかったな〜。
イシス様は真面目に婚約者である私に向き合ってくれてただけなんだよね。
実は週一で手紙やら贈り物をしてくれてたんだから。
それもあんな忙しい身で………。
まぁ、使用人任せだったのかもしれないけど、それだってイシス様が指示した事だし。
それなのにその全てをローズマリーの為だと勘違いして、2人はそういう関係なんだって長年思い込んでいたのは私が悪い。
なんてゆ〜か、前世持ちの弊害が出ちゃってたんだよね。
よくよく考えれば前世で読んだ例のアレな物語ってかなり特殊だったんだなぁって、最近になってよく思う。
実際この世界に生まれ変わってあんな話を聞いたり読んだりした事はほぼ無いし。
私が勝手に〝あるある〟だと思い込んでいたものって現実にはほぼあり得ない話だよねぇ?
そりゃ、後妻と連れ子(しかも腹違い)なんて話は平民でも貴族でも探せばあるんだろうけど、その立場の人間が邸の正統な後継を蔑ろにしたり虐げたりなんかは、貴族社会ではまず無い。
血統と立場を何より重んじる貴族の家で、そんな話はまず聞かない。
つまり私の家のケースが特殊だったっていうのに、私は前世の記憶でそんな設定に慣れ親しみ過ぎちゃっててすぐに受け入れちゃったんだよねぇ………。
これぞ前世持ちの弊害………。
ううっ、恥ずかしいやら情けないやら。
しかも後継の分際で全て投げ出してとっとと逃げ出しちゃうし。
ちゃんと出るとこ出れば私の主張の方が通るっていうのに。
あの邸を抜け出せるチャンスを私ったら、ジャンル変更のチャーンスッとかってあらぬ方向に突っ走っちゃって………ヘタレ過ぎて涙が出るわ………。
でもねぇ、あの邸で虐げられた日々を思えば、逃げ出す以外に選択肢なんて無いと思うのよ。
私だってそんなメンタル強くは無いのよね。
どっかに訴え出てあの2人その他諸々を糾弾、なんてザマァ出来るほどの勇気を持てる心の余裕も無くてさぁ。
ブラック企業で働いてる人間が立ち向かえず自分をただただ消耗してしまう気持ち、分かるよ、分かるっ!
心がそれだけ折られちゃってるの、もう1ミリも余裕が無いの。
戦えないのよ…………。
側から見てる人間はイライラするかもしれないけど、当事者ってのはお話のように颯爽とザマァなんて出来ないもんですよ、実際。
日々、息するだけで一杯一杯なんだもん。
あーーっ、イライラするなっ!立ち向かえよっ!なんて責めないで欲しい。
身も心も消耗されて削られていくと、戦うって選択肢はまずアイコンに出てこないんだよね。
逃げる、を選んで実行出来ただけで私偉いって思っちゃう。
またあそこに戻ってあの2人と向き合うなんて本当にやだなぁ。
この優しい世界で日々普通に生きていたい………。
イシス様と再会した事で、自分の行動は本当にあれで良かったのかと疑問が浮かび、せっかく平穏な日常を過ごしているというのに私は何だか日々もやもやした気分で過ごしていた………。
そんなある日の夕方。
この日もやっぱり【こもれぎ亭】は大盛況。
王都の外れにあるこの場所は、実は王都観光に来た人や商人に大人気のちょっとした有名地なんだよね。
そりゃ王都の中心に行けばここより立派な宿屋やお洒落な飲食店なんていくらでもあるけど、そういった所は平民にはちょっと無理して行く場所、つまりお高いのよ。
交通の便は多少悪くても、この外れの町を拠点にすればかなりお得に王都中心にもアクセス出来るわけ。
ハッキリ言って世の中の大部分はそんな中流階級もしくはその下な生活をしている訳で、なんなら王都の中心よりこちらの方が賑わってるくらい。
そんな訳でこの町には宿屋や飲食店、なんなら旅人さんの疲れを癒しちゃうちょっとムフフなお店も揃っちゃってる。
平均的な一般庶民から大人気の町なのよね。
「エミー、3番テーブルあがったよ〜」
「はーい」
今日も今日とて大賑わいの店内で料理片手にあっちこっちを走り回りながら、最近ちょっと慣れつつある嫌な視線に気づき、私はまたか……と思いつつも警戒心を強めて仕事に励んでいた。
さっきもちょこっと説明したけど、この町にも殿方を癒すちょっとムフフなお店はあるのよ。
宿屋によってはそこから出張OKなとこもあるのね。
この【こもれぎ亭】では禁止しているから、家族連れやカップルなんかから利用しやすいと言ってもらえるんだけど、なにぶんよそから来た人間を受け入れて成り立ってる町なもので、中には情報を知らない人、説明されても忘れちゃう人、どこも同じと勘違いしている人、多種多様な色んな人が訪れるのがこの町な訳で。
その町で1番人気の宿屋兼食堂ならどんなサービスをしてくれるのかと勘違いを拗らせまくってる人も珍しく無く………。
「よぉ姉ちゃん、可愛いじゃねーか。
ちょっとこっちに来て俺らと飲もうぜ」
ほらぁっ、また出たっ!
いきなり無遠慮に私の手首を掴んだお客さんに、女将さんが厨房からフライパンを投げる為振り上げ、カーサ親衛隊達がカーサの目くばせを受け立ち上がり、ついでに常連さん達も素早く立ち上がったその瞬間ーーーー。
「貴様、気安く彼女に触れるな。
この腕このまま叩き折ってやろうか」
血の底から響くような重く低いその声に、私の手首を掴んでいたその腕は瞬時に後ろに捻り上げられ、勘違い客は悲鳴を上げてバタバタとその場で暴れ始めた。
とはいえどんな力で押さえ付けられているのか、逃れる事は出来ないらしい。
「いでででででっ!なんだっ、お前っ!やめろっ!はなっ、離せっ!イテーってっ!」
イシス様の不思議な馬鹿力に抑え込まれ、逃れる事も出来ない状態の勘違い客とその連れをいつの間にか女将さんやカーサ、親衛隊と常連さん達が取り囲み、嫌な予感しかしない生温い笑みを浮かべている。
「お客さん、困りますね、うちはそんな店じゃないんでね。
悪いけど今すぐ出ていってくれるかい?」
「なっ!」
女将さんの言葉に不服そうな声を一瞬上げたその客と連れ達は、まるで地獄の魔王のようなイシス様の眼光に一瞬で震え上がり、ワタワタもみくちゃになりながら慌てて店を出て行った。
「すまない女将、騒がせたな。
奴らが払わなかった代金は私が払おう」
すっかりいつもの無表情を取り戻したイシス様に、女将さんはアッハッハッハッハッと笑ってその肩をバンバン叩いた。
「いや、まだ料理も出す前だったからね、構わないよ。
それよりうちのエミーを助けてくれてありがとね。
さっ、今日も食べていくんだろ?座りな座りな」
まだ2回目だというのにすんなり女将さん達に受け入れられるイシス様達………。
そりゃ、あんだけ豪勢な振る舞い方すればそうなるよね。
女将さんから勧められた席に座り、イシス様は気遣うように私を見上げた。
「エミー嬢、大丈夫だったか、その……腕は痛くないだろうか?」
そう言いつつ執事のモーリスさんがサッと取り出したハンカチで私の手首を丁寧に拭き始めるイシス様。
いや………貴方も前回同じような事しましたよね?とかいう無粋な事は助けてもらった以上は言えず、私は精一杯の引き攣り笑いを浮かべるしか出来なかった。
「しかし、この店のエミー嬢を守る連携は素晴らしい。
私共がいなくとも、あのような輩からエミー嬢を助ける事は容易いようですね」
モーリスさんが安心したように呟いた言葉に私は情けなさそうにこめかみをポリポリ爪先で掻いた。
「いやぁ、なんだか私絡まれやすくて………。
ここの娘のカーサなんか、近寄りがたい雰囲気があるからほとんど絡まれないんですけどねぇ」
常に幼馴染という親衛隊達がガッチリ守っているってのもあるけど、そもそもカーサは長年の慣れから近寄りがたい空気を出すのも自由自在だし、あしらい方も凄い上手なんだよねぇ。
それに比べて私は何故か絡まれやすいというか、なんというか………。
実はお客さんからガチ惚れされて求婚された事も何回かある………。
「君のような気品のある女性なら、声をかけられるのも仕方ない。
立ち振る舞いが町の娘とは違うのだろう」
サラッとイシス様にそう言われて、なんのかんのとお貴族様の所作が抜けてないのか〜、と初めて気付き、そりゃもの珍しくて絡まれるよなぁとやっと腑に落ちた。
「あっ、私料理を運んできますね。
それと……さっきは助けてくれてありがとうございました」
慌てて頭を下げて厨房に戻ると、イシス様達用の料理がどんどん出来上がり、暫くは給仕に忙しく動き回った。
すごく、イシス様からの視線を感じながら………。
……でも、また、来てくれたんだ、イシス様………。
本当はもう来ない方が助かる筈なのに、ふとそんな事を考えて、私はちょっと頬を染めつつ忙しく動き回っていた。
やがて厨房も落ち着き、皆がダラダラとした時間を過ごし始めた頃、モーリスさんがおもむろに立ち上がり、女将さんに向かってよく通る声で話しかけた。
「女将さん、今日も良い酒をあるだけ頼みます。
もちろん皆さんにも振る舞わせてください」
「あいよっ、お大尽様っ」
待ってましたとばかりにカーサの親衛隊の1人が酒屋に走り、女将さんは店にあるお酒をジャカジャカ皆んなに配り始めた。
「よっ、待ってましたっ!」
「お貴族様っ!お大尽様っ!」
調子の良い皆んなの声に笑顔で答えながら、モーリスさんは私に向かって無言の圧力をかけてくる………。
私は仕方なしにイシス様の方に向かい、相談室専用の席を手で差した。
「………どうぞ」
私の声にイシス様は嬉々として立ち上がり、何故か恭しく私をエスコートしてその席に向かった。
そしてまた2人で向かい合って座ると、イシス様は神妙な面持ちでゆっくりと口を開いた。
「………実は、貴女に言われてあの後すぐにフランシス邸に向かい、エルミールの妹に今まで俺がエルミールに贈った物をどうしたのかと問い詰めたのだが、何故か彼女は悪びれも無く嬉々として自分の部屋に俺達を招き入れ、今まで俺がエルミールに贈った品々や手紙を見せてきたのだ。
しかもどれも勝手に封を切られ、物は使用されていた痕跡まであった。
俺が彼女に人の物を奪ったのかと詰問すると、彼女は何故か不思議そうに首を傾げ、これらは自分が俺から受け取った物だと当然のように言ってきて………全く理解不能だった」
本当にローズマリーの頭の中が理解出来ない様子でイシス様は苦悶の表情を浮かべていた。
「そこでモーリスが彼女にこう聞いたんだ。
『これらの宛名は貴女では無くエルミール様宛だった筈ですが、それが何故貴女宛だという認識になったのですか?』とな。
俺もそれを知りたいと彼女の返答を待った。
そうしたら彼女は信じ難い事に、こう言ったんだ。
『イシス様は本当はお姉様では無く私を愛してらっしゃるのに、家同士の決まりで仕方無くお姉様を婚約者にしているのでしょう?
形だけの婚約者だとしても、一応お姉様宛にしておかなければ外聞が悪いから、本当は私宛だけどお姉様の名前で贈らなければいけなかったのですよね?大丈夫です、私ちゃんと分かっていますから』…………と、そう言ったんだ…………」
あーー、やっぱり。
意味の分からない宇宙人と相対してきたようにグッタリしているイシス様とは逆に、私は自分の考えが概ね合っていた事に心の中だけで頷いた。
「なるほどねぇ、それで?」
私がそのローズマリーのトンデモ理論に対して大して驚いていない様子にイシス様は少し意外そうに片眉を上げながら、疲れた様子で再び口を開いた。
「ローズマリー嬢では話にならないと判断した俺達は、次にフランシス伯爵夫人に話を聞く事にしたのだが………。
………………こちらも全く、何を言っているのか理解出来なかった…………。
夫人曰く、エルミールなんかには俺は勿体無い、自分の娘であるローズマリーと婚約し直した方が良い、本当は俺もそう思っている筈、だからエルミール宛の物は本当は全てローズマリー宛なのだと教えておいた…………と、そう言うのだが…………」
義母なら間違い無く言ったであろうその言葉を再現しながら、段々と怒りを滲ませ、イシス様はとうとうダンッと激しい音を立て拳で机を殴り付けた。
その拍子にビビり散らした私が数センチは椅子から飛び上がるくらいの勢いで。
「何を言っているのだっ!あの母娘はっ!
完全に頭がおかしいとしか思えないっ!
俺の婚約者はエルミール1人だけだし、婚約者以外の令嬢に俺が何かを贈るなどあり得ないっ!
俺が今までどれだけエルミールの事を考え手紙を書き贈り物を選んできたかっ!
それを勝手に自分の物にしておいて、全く悪びれる様子も無かったっ!」
ブルブルと拳を怒りで震わせるイシス様を前にして、私はその凄まじい怒りように怯えつつも、あれ?と首を捻った。
今まで、ローズマリー宛だと勘違いしてた本当は私宛の手紙や花や贈り物って………全部ちゃんとイシス様からだったのっ⁉︎
使用人任せじゃなくて、イシス様がちゃんと選んで贈ってくれてたんだ………。
て、手紙も、本人が書いてたのか………。
その手紙を読む事も出来なかった事が少し悔しくて、私は膝の上でギュッと服を掴んだ。
…………なんだろう?なんか、胸の奥がちくちくするような…………?




