8 自認サンタ
みなさんお待ちかねギャグ回です。
嘘です。
私が誰よりも1番書きたくてうずうずしてました。
白い光が収まると俺はいつのまにか知らない家の中にいた。
水色の壁紙にサッカー選手の写真が載ったカレンダーがかけてある。
バナナがイラストされた靴下が脱ぎっぱなしで2足雑に投げ捨てられていた。
勉強机は散乱していてもはや物置だ。
これは間違いない。宿題サボるタイプだ。
俺には分かる。
なぜなら俺も宿題をサボっていたからだ。
この部屋の持ち主からは俺と同じ匂いがする。
足音を忍ばせてゆっくり辺りを見回す。
俺の後ろ側のベッドで10歳くらいだろうか、少年が眠っていた。どうやらこの少年がこの部屋の持ち主らしい。
悪魔はぐっすり眠る少年の枕元にラッピングされたプレゼントを置いた。悪魔からは驚くほどに音が聞こえない。
「よし。一件目完了。じゃあ、達者でな」
悪魔が小声で話しかけてくる。
―――ん? まさかこのままここに置いてくの?
このままだと、明日の朝刊の見出しは
「聖夜に不審な影!? 変質者がサンタコスで少年宅に侵入!」になるし、
「28歳サンタコス男。少年宅に侵入。」なんてネットニュースになったら、
「自認サンタ草w 」
「需要なさすぎwww」
とかでネット荒らしちゃうよ?
俺がしばらく悪魔を見つめていると、
悪魔は別れの感傷に浸っているのだろうか。
やけにニヒルな笑顔でこう言った。
「そう不安そうな顔をするな。安心しろ。今日私たちが出会った記憶は明日には消える」
おいいいいいぃ!? どこに安心要素ある? 今のどこに安心要素ある? 訳も分からず他人の少年宅に侵入しちゃったホンモノの誕生だけど、今のどこに安心要素ある?
「おいちょっと待て」
怒りで強く一歩を踏み出そうとした俺は少年の靴下で滑ってしまった。
盛大に尻餅をつく。鈍い痛みがケツに広がる。
クソッ! 何でこんな所にバナナが!?
「うーん、、、、地震?」
まずい。尻餅をついた衝撃で少年が起きた。
次の瞬間、白い光が再び俺を包んだ。
雑音消しました!




