6 ヤギの毛布
ホントに寒いときは筋肉が勝手に震えて筋肉痛になるんですよね。
目の前のブロッコリーとか言う悪魔が言ったことを信じるならば、これは異世界転移などではない。
俺が慣れ親しんだ地球なのだ。
そのことを自覚した途端、体の奥から寒気がした。指先から血が凍っていく。俺は今さっき飛び降りたのだ。死のうとしたのだ。体が勝手に震える。筋肉が強張って痙攣をし始めた。
目の前の悪魔?とかいう化け物も意味が分からない。
悪魔が人間の管理? 悪魔がサンタさんの正体?
笑わせてくれる。サンタさんは恰幅のいい優しいおじいちゃんに決まっている。
断じて化け物ではない。
いやそんなことはどうでもいい。
考えることが多すぎて混乱してしまう。
ふと目の前を見ると化け物が凶悪な顔でこちらに笑いかけていた。
――――俺の目の前が急速に暗くなっていった
◆◇◆◇◆
気がつくと、俺は毛布にくるまっていた。
白ヤギの毛布だ。とても温かい。
あとはヤギの頭と角をどうにかすれば文句なしだ。
「ヤギのお腹をハサミで割いて、中の肉を全部取り出しただけですけど何か?」と童話の狼も真っ青のグロテスクな見た目をしている。
特にヤギ特有の目ん玉が気持ち悪い。
「おぉ気がついたか!」
化け物が話しかけてくる。
「これ、あんたがかけてくれたのか?」
「冬の夜空は人間に堪えるからな」
「ありがとう」
「何、気にするな」
夜空に星が輝いていて、とても綺麗だ。
きっと体を震わせて失神した俺を気遣ってくれたのだろう。
俺は不覚にも化け物のおかげで心が和らいだ。
どうやらこちらに敵意はないようだ。
毛布のグロさのせいでせっかくの好意のありがたみが薄れてしまうのがなんとも残念だが。
「ところで仕事中悪いんだが、俺をどこかで下ろしてくれないか?今すぐ無理にってわけじゃないんだ。どこか都合の良いところで」
そう悪魔に頼んでみる。
「そうしたいのは山々だが、少し問題があってな。プレゼントを受け取りに中継所に行くんだが、この豚は予め教えられた場所以外では止まれん。頭まで筋肉が詰まっているからな。中継所で降ろす訳にもいかない。最初の家でお前を降ろそう」
豚のムキムキっぷりに俺は絶句するしかなかった。
あんまり長引かせず20話以内で終わらせるつもりです。やばい。クリスマス終わって新年入る。
需要が消える笑
季節遅れになりますが完結させたいですね。




