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4 これが噂の異世界転移で合ってますか?

異世界転移???

 冷たい風が顔に吹き付ける。

――――――――そう俺は屋上から落ちて






 空飛ぶソリに乗っている。

 空飛ぶソリに乗っているのだ。

 空を飛ぶソリである。俺は今空を飛んでいる。

 だって風は冷たいし、街が下に見えるし、星が綺麗な夜だからだ。

 だから俺は空を飛んでいる。





 夢だろうか? 俺の頭がついにイカれたのか?



 いや、待てこれはッ!!!! この流れはッ!!

 異、異、異⭐︎世⭐︎界⭐︎転⭐︎移 に違いない!

 ついに俺にもチャンスが巡って来た!

 遠くに東京タワーが見えるのは気のせいだし、

 体が痛いのも気のせいだ。


 状況を整理しよう。

 冬の夜空。

 目の前でソリを引く(ぶた)の様な生き物。

(何故か木の枝が、出来の悪い角のオブジェみたいに頭から生えている)

 そして隣には牙と角を生やした恐ろしい顔の化け物が座っている。

 赤い返り血で全身を染めているが、

 元は白い服装だったのだろう。

 一部に白色の残る奇妙な格好をしている。

 三角帽子を被っているのは角を隠すためだろうか。

 帽子から角が突き破っており、全く意味をなしていない。

(こんなおかしなヤツが存在するんだ地球であるはずがない。異世界転移に決まっている。俺はチートで最強の冒険者になって美人とハーレムイチャイチャするんだ。そうだそうに違いない。)


「おい人間。なんでビルから降って来た。

お前は誰だ。なぜ私のソリで鼻をほじっている。

あっおい!! 鼻くそを飛ばすな! おい! 聞いているのか!?」


 ぼーっとしてたらその化け物が日本語を話し始めた。

 良かった。異世界でも言語が通じるらしい。

 どうやら、動揺のあまり俺は無意識のうちに鼻をほじっていたようだ。

 ポイ捨ては恥ずべき行動なのでソリに(こす)りつける。


「ところでその豚はなんで頭から木の枝を生やしているんですか?」


 俺は何を聞いているのだろう。もっと色々聞くべきことはいっぱいあるのに。


「ああ、こいつらは空飛ぶトナカイをイメージして

品種改良した豚だ。木の枝は後付けでブッ刺してるだけだ」


 ええぇ。木の枝後付けなのぉ。困るなぁこれぇ。

 動物虐待だよこれぇ。最初から角生やしてる動物にしとかないとコンプラに引っかかるからぁ。

 豚は筋肉質だから空を飛べるんだ!

 恐ろしい顔の化け物はそう言って笑った。

 (魔法じゃないのかよ。魔法で飛んどけよ。)


 もし化け物の言った言葉が事実ならば、転移した世界の筋肉マッチョは空を飛ぶ可能性がある。

 空一面を覆う筋肉マッチョたち。

 各々がポージングを決めている。

 だめだ。想像したら謎の悪寒に襲われた。


 今更だが異世界転移か不安になってきた。

 噂の異世界転移ってこれで合ってますか?



大丈夫。筋肉魔法の可能性がまだ残ってるから。

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