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第8話:冒険者殺しのジョニー

ご無沙汰しております。本日から本作の投稿を再開致します!またご愛読いただけると幸いです。

「お前、どうたんだ!?その傷は!!」

「ぐっ・・・静かにしろ!奴がまだ・・・」

「奴?」


眉を寄せながらも俺は周囲を警戒しつつバジルに近寄る。ひでぇ傷だ。それに傷の形状からして魔物ではなくサーベルで斬られたみてぇだ。


「何があった?」

「はぁ・・・はぁ・・・冒険者殺しに・・・やられた。」

「冒険者殺し?」

「そうだ・・・【冒険者殺しのジョニー】だ。」


バジルが放った名前に戦慄がはしる。【冒険者殺しのジョニー】噂で聞いた話だが魔物ではなく冒険者を討伐して回っているというイカれた冒険者だ。その動機は不明だが分かっていることは性別とカテゴリー関係なくダンジョンに入った冒険者を殺して回ってるってことだ。


「フハハハハハ!何処だァ!!バジルゥ!!」


噂をすればなんとやらとはこの事だろう。洞窟の奥から不気味な笑いとバジルの名を呼ぶ声が聞こえてくる。俺はバジルを背に腰にある鬼丸国綱を手に掛けながら立ち上がると洞窟奥から血に染まったサーベルを手にした男が現れた。


「くそっ!」


男を目にしたバジルは悔し気な顔をする。どうやらコイツがジョニーで間違いないようだ。結局、めんどくせぇ事に巻き込まれるのかよ!


「お前か?【冒険者殺しのジョニー】ってのは?」

「あァ?誰だァ?オンマェ?」


気だるそうに首を回したジョニーはサーベルに付いた血を払う。まさかとは思うがコイツ、フォーカードの奴らを・・・?


・・・許せねぇ!


腹を括った俺は無言で鬼丸国綱を鞘から抜くとその切っ先をジョニーに向ける。冒険者殺し、悪いがテメェは生かしておけねぇ。それにここを通すわけにもいかねぇ!


相棒(アイン)に手を出されたくねぇからな!!!


「おォ?やんのかァ!?俺と!」

「よ、よせ!竜騎士!相手は冒険者殺しだぞ!」

「バジルゥ!!!!」


俺を制止するバジルにジョニーは怒鳴り声を上げた。


「あー!!イライラするんだよォ!元はテメェのせいだろうがァ!!違うかァ?」

「確かに俺のパーティからお前を追放したのは俺だ。だがお前の行動は目に余るんだよ。」


バジルは傷を庇いながらジョニーにそう言った。待て、今さらっとやべぇ事言わなかったか?コイツ。


「どういうことだ?ジョニーがお前のパーティに?」

「あぁそうだよ。アイツは元々ウチのパーティに居た。でも追放したんだ。」


コイツがジョニーに狙われた理由は分かった。だが、それよりフォーカードの面々だ。バジル本人に恨みがあるならメンバーは関係ねぇ筈。だが、そのメンバーが誰一人としてここに見当たらねぇ!


「一つ聞きてぇことがある。フォーカードのメンバーはどうしたんだ?」


俺がそう尋ねた途端、バジルは今にも泣きそうな顔をして俯いた。そんな彼を他所にジョニーから帰ってきた回答は衝撃だった。


「メンバーァ?あァ、一人を除いて全員殺った!ハハッ!」

「・・・!貴様ッ!」


怒りが一気に沸き上がった。俺は瞬く間にジョニーの前へ移動した途端、刀を横殴りに振って衝撃波を放つと奴は口から血を吐いて洞窟の壁に何度も叩きつけられながら吹き飛んだ。


辺りで地響きと土砂崩れが起こり、その一部が倒れたジョニーに降りかかると俺は辺りに炎を放って未だ治まらない怒りを顕わにする。


決まりだ。テメェは今ここで俺が殺す。バジルは嫌いだが何の罪もねぇ冒険者を平然と殺す奴はもっと嫌いだ!!


「何、寝てやがる?」


嗚咽しながらうつ伏せに倒れるジョニーを見下ろすと【画竜点睛】を発動し、背後にファフニールの幻影を映し出した。


「ありゃあ・・・竜か!?」


咆哮を上げながら大きな翼を広げるファフニールを見てバジルは驚愕するがジョニー奴はニヤリと笑みを浮かべてゆっくり立ち上がった。


「クククッ。面白い。この俺をバジル以上にイライラさせたのはオンマェだ。・・・次はこっちから行くぞォ!竜騎士ィ!!!」


サーベルを振り上げながら迫ったジョニーに俺は構わず炎を纏った鬼丸国綱を構え、刃を交錯し鍔迫り合いになる。


笑い声を上げるジョニーのサーベルから毒の様なものが滴ると地面で蒸発して溶け始める。・・・コイツ、ハートの毒使いか!?


俺はジョニーを振り払うと距離をとって剣の柄を両手で握り締める。奴はここで倒す!悪いがお前はここから一歩も出さねぇぞ!


◇◇◇


 ノルド洞窟推奨カテゴリーⅣエリア。私、アインは強い衝撃と共に身体を壁に打ち付けて倒れた。痛い。それに強い。


倒れる私の視界には今回の討伐対象【ビッグ・ボア】がうなり声を上げながら私を睨んでいた。


「こ、怖い。」


人型の魔物でありながらその異形に恐怖と焦りを覚えながらもジークに言われた言葉を思い出す。


『お前だけ強くなっちゃ俺が教えている意味も無くなる。自分にも厳しくしねぇといけねぇだろ?』


そうだ!ジークだって自分より強い魔物と戦ってる!私がここでべそかいて逃げたら・・・ジークも頑張っている意味が無くなる!!だから決めたんじゃん私!!


「ジークみたいに強くなるって・・・決めたじゃん!立って!私!!」


自分にそう言い聞かせ、立ち上がるとよろめきながらも震える身体を動かして盾と槍を構えた。この間の様にお祖父さんの剣は反応してくれないけど大丈夫!!


「もう怖くなんて・・・ないから!」


私の言葉に答えるかのようにビッグ・ボアは容赦なく突撃してくる。


「はうっ!」


咄嗟に盾を構え、攻撃を防ぐとビッグ・ボアは思いの他、弾け飛んで地面に倒れてしまった。・・・これならいける!


「私はジークみたいに強くなるんだ!!絶対!!」


槍を握り締め、右腕に氷と冷気を纏う。ジークとここまで戦って編み出した技!今、披露するよ!!白い息を吐きながら腰を低くして氷の槍を勢いよく突いた。


「アイス・ケルン!!」


氷の槍は起き上がろうとしたビッグ・ボアに迫ると見事命中し、どんどん凍らせていく。やがて動きがぴたりと止まり、そのまま動かなくなると私の持っていた依頼に【討伐】の文字が浮き出た。


「はぁ、はぁ、はぁ・・・や、やったの?」


依頼を見て、独りで討伐したことに喜びを噛み締めたかったがそれ以上に疲れでその場に崩れ落ちる。ジーク、私・・・一人で格上の魔物を倒したよ!貴方なら喜んでくれますよね?


届かぬ言葉を心中で呟きながら得物の槍を地面に付いて一休みするのだった。

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