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第6話:聖剣

 アインが抜いた剣を見て、俺は静かに驚いた。あの剣・・・確かアイツと初めて会った時にも腰にあったよな?なんなんだあの剣は!?思っていた通り普通の剣じゃねぇ!


そう思っていたのはビッグ・オークも同じだったのか奴は標的をアインに変えて棍棒を勢いよく振り上げた。


あぶねぇ!と声を掛けようとしたのも束の間、彼女は即座に反応して飛び上がるとビッグ・オークの大きな腕を剣でいとも簡単に斬り落として見せた。


腕を斬り落とされたビッグ・オークは苦痛の雄たけびを上げながらも残った腕で拳をつくって再びアインに襲い掛かる。


「大丈夫!!」


自分に言い聞かせるかのようにそう言った彼女は地面に着地すると同時に再び飛び上がって今度はビッグ・オークの首元を捉えると見事、攻撃は命中し、ビッグ・オークを討伐して見せた。


俺が唖然とする中、ズンというビッグ・オークの亡骸が倒れて消滅すると依頼にも【討伐】の文字が浮き出て経験値が付与される。


それはアインも例外ではなく、証拠にカテゴリー昇格を知らせる光が一瞬、彼女を包んだ。


「・・・やった。倒した!!やりましたよ!ジーク!!」


剣を片手にアインは俺の方を向いて喜ぶ。全く、俺の心配は杞憂に終わったじゃねぇか。まぁ、何故だかそれも悪くない気分だ。


「あぁ、やったな。それとお前、ステータスも上がったんじゃないか?」

「えっ?」


俺に言われてようやくアインは自身のステータスを確認し、カテゴリーの階級を見るとⅠからⅡへ上がっていた。


「や・・・やったぁ!!!やったよジーク!私、カテゴリーⅡになったよぉ!!」

「分かったからはしゃぐな!あと抱き付いてくるな!苦しい!」


喜びのあまり俺に抱き付いたアインを制止する。何がとは言わないが”やや大きなあれ”が顔が圧迫されて苦しいからやめてくれ。


まぁ、とにかく良かったな。やっとカテゴリーが上がってよ。


いつまでも自分のステータスを見ているアインに微笑み、俺も自分のことのように喜ぶ。コイツとパーティを組んで初めての依頼・・・冒険者としてはまだまだだが伸びしろがあると思いたい。だから付いて来いよ。


お前は俺が唯一認めた協力者パートナーなんだからな。


◇◇◇


「こちらが報酬です。」

「わああ!やったぁ!!」


ギルドの外にある換金所でアインは報酬を見た瞬間、目をキラキラさせた。・・・まぁ、コイツにとって5万ポンドは貰ったことがない大金だろう。


「にしても凄いですね。あのアインさんがビッグ・オークを倒すなんて!」

「えへへ~でも私だけの力じゃないよ?ジークが居てくれたからなんだよ。」

「余計なことを言うんじゃねぇよ。」


彼女の隣で俺はいつもの自分になる。調子に乗るとすぐこれだ。


「でも、ビックリしました。ジークさんってあの【フォーカード】の勧誘も蹴ったんですよね?それもバジルさん本人の!」

「そいつの名前を出すな。虫唾がはしる。」

「ええっ!?す、すみません。」


ギロっと睨んだ俺に受付は謝罪する。


「ねぇジーク!これで美味しいもの食べようよ!」


そうアインが言った瞬間、俺は瞬時に反応して言った。


「・・・寿司だ。寿司が食いてぇ。」

「お寿司?いいね!じゃあ食べに行こう!」

「本当か!?」


思わぬ回答に俺はよだれを出しながらアインに振り向いた。やべぇ、つい興奮しちまった。


「コホン、ぜ、善は急げだ。早く行くぞ。」

「うん!じゃあねジュリアン!またね!」

「はーい!」


受付の名を呼びながら手を振ったアインに連れられ俺は換金所を去る。その後、俺は彼女の報酬金で待ちに待った寿司をたらふく食うという夢の様な時間を過ごした。


今更だが思う。コイツとパーティを組んで良かったかもしれない。


◇◇◇


 ノルド洞窟推奨カテゴリーⅦエリア・・・いつもは静寂なこのダンジョン内だが今日は何かと賑やかな冒険者パーティの声が児玉していた。


「いやぁ~それにしても今日の依頼は疲れたな!リーダー。」


チーム【フォーカード】のメンバーであるマリオンは大きなものを揺らしながらリーダーであるバジルに顔を向ける。


「あぁ、俺達も強くなった。マリオンも強くなったんじゃないか?」

「え?アタシ?どうだろ?強くなったと思ってはいるわよ。」


マリオンは得意げな笑みを浮かべてバジルにそう言った。


「相変わらず生意気な女だねぇ~まぁ、俺はそういうのは嫌いじゃない。」

「嬉しいじゃない。流石リーダー。・・・ところでアンタこの間、勧誘に失敗したんだって?」


彼女の言葉にバジルは真顔になるとやや顔を青くする。ふぅん?これは図星ね?マリオンは確信を得ると悪そうな笑みを浮かべながらも更に続けた。


「珍しいわね。アンタが勧誘に失敗するなんて。というかアンタが勧誘するのも珍しいか?・・・どんな子だったの?」

「やめてくれ。思い出しただけでも寒気がする。」

「あっはっはっは!アンタがビビるなんてウケるんだけど!」


苦い表情をするバジルにマリオンは高笑いする。バジル本人にとって今回の勧誘失敗はとても屈辱的であり忘れたい内容でもあった。


だが、”彼”はこの先もダンジョンで顔を合わせるだろう。できれば関わりたくはない。どうすればいいのだろうか?


とバジルが思考を巡らせた瞬間、彼は何かの気配を感じて直ぐに近くの物陰へ愛銃を構えた。


「誰だ!」


咄嗟のリーダーの行動に先程まで談笑していたフォーカードの面々にも緊張が走る。すると物陰から不気味な笑い声と共にサーベルを持った男が両手を広げながら現れた。


「・・・お前は!!」

「フハハハハハッ!・・・会いたかったぜェ。バジルゥ!」


現われた男を見てバジルだけでなくフォーカードのメンバーも驚愕する。何故なら彼は元々同じパーティにいたメンバーだったからだ。


冷や汗をかきながらバジルは突如現れた因縁の男の名を呼んだ。


「なんでお前がこんなところに居るんだ!・・・【冒険者殺しのジョニー】!」

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