94 みな、それぞれ・・・
年末ですね。
家のことが忙しくて・・。
登校できないですね・・・。
クリスマスイブ。カップルにとっては、最高の日だろう。亮とけい、洋子とはじめは朝から浮足立っていた。付き合いが長い?あんと真一は通常運転だが。裕一と僕には、ただの終業式の日だ。HR前の教室じゃ、もういちゃつき出す奴らが・・・。まあ、僕には関係ないさ・・・。げ、けいと亮か!やめろ、そんな女の顔をするな・・・けい。苦い顔をして、裕一と一緒に眺める。
「貴、お前は、今日どうする?」
「え、家に帰って、のんびり・・・」
「おーい、貼り出されたぞ!」
その声を合図に、皆一斉に廊下の掲示板へ向かいだす。
「・・・行かんのか?貴?・・・」
「行く意味、あるかい?」
「ないね・・・」
教室には佐藤と鈴木だけが取り残された。
「ねえ、貴くん」
放課後、部室へ行こうと立ち上がったとき、隣の席の女子から話しかけられた。
「あの・・・貴くんたちってさ・・・ほんとに、あのコースなの?」
興味本位が顔に出てるよ・・きみ・・・。
「ああ、そうだよ。」
「へぇーなんで?」
あっけらかんと聞くなぁ。クラスメートとはいえ。
「・・・うーん、行きたいからとしか・・・」
「ふーん・・・なんか、おもしろいね!」
いや、おもしろいことは何一つない。うん。むしろ、面倒事が待ち受けてるよ。
地下鉄終点駅である、麻生。街角はクリスマス一色だ。きらびやかな街並みの中を裕一と歩く。
「なあ、貴・・・」
不意に立ち止まると、
「なんか、くってこうぜ!」
世界一有名なハンバーガーショップ。放課後デートをする学生であふれる中、男二人でハンバーガーを頬張る。
「冬休み、なにすんだ?貴?」
「受験勉強だよ。裕一は?」
「練習。」
「なんの?」
「格闘技」
「ああ・・・なるほど・・・・裕一は進学しないの?」
「おれか?・・・しないよ。・・・実は、格闘技の団体に誘われてんだ。」
「え、ま、まじか!」
「ああ、百合さん覚えてる?」
「ああ、もちろん。」
「彼女の紹介でさ。卒業したらぜひ来てほしいって。なんせ、タイガーリリーのお墨付きだからな。」
「裕一・・・・よかったな!」
「ああ、だから、冬休みに・・・東京へ行ってくる。まあ、面接だな。あと軽いスパーリング。」
「いいね。進路なにも決まってない僕からしたら、羨ましいよ。」
「ああ、だから、さ。あと一年、みんなでな。」
「そうだね・・・。Sugar Babesもあと1年か・・・」
高2になって、僕らの学校生活は変った。何も学校生活に期待していなかった高1の時と比べ、毎日が楽しい。ジェットコースターのように過ぎていく日常。退屈なんて全くない。互助会どころか、Sugar Babesは僕たちの学校生活そのものだ。でも、それも、あと1年だ。
「貴、ここで、Bellsと話した時のこと覚えてるか?」
「ああ、もちろん。・・僕たちは・・」
「登の味方。何があっても・・・・な」
ニカっと笑う、裕一の顔はすがすがしかった。
さあ、冬休みだ。
次回から冬休みです。
修学旅行は冬休み明けです。
主人公のいない、冬休み編が始まります。




