90 その結末をだれも望んではいない⑰
ごめんなさい・・・
ごめんなさい・・・。
麻生のカラオケボックス。ここに登を除いた「佐藤」と「鈴木」、そして、あーしが呼ばれた。
「りお、悪いね。呼び出して。」
けいがすまなそうに言ってくれた・・・。
「いーよ。どうせ、るみっちの・・・・」
とん、と 脇腹に軽く肘うちが・・・。
「かな」だった・・・・・。
「・・・わたしたちが、事前に相談してたことは・・・秘密よ・・・」
と耳打ち。
「るみが?るみがどうしたの?」
「いやいやいや・・・なんも、なんもだよ・・・」
あわててごまかす、るみ。
「それよりさあ、こんなとこ呼び出して、なに?」
「あー、と、・・・その・・・」
言い淀むけい。ごめん、知ってるんだ・・・ごめん。
「いーよ、あたしが言うわ。」
洋子が割って入ってきた。
「けいが、言いにくそうだから私が言うね・・・実は・・・」
知らない体で、驚かなければ・・・。できるか?あーし・・・・
「・・・・それでね、登校拒否になっちゃたの・・・」
「えー、しらなかったー、そーなんだー」
たかしと、かなとるみの目線が痛い・・・。ちょっと、わざとらしかったか?
「りおちゃんには、・・・もう関係ない話かもしんないけど・・・その、かなとは、もう終わったようなもんだし・・・一緒にお迎えにいかない?」
「うん、そーゆーことならー、あーしもー」
貴が頭を抱えてる。るみは笑いこらえ、かなの顔は青ざめてる。そんなに不自然だった・・・かな?
(亮)「じゃあ、さっそく登の家に行こう。」
(はじめ)「うん、かな、案内頼む。」
(かな)「え?わたし、知らないわ・・・」
(けい)「はあ?元カノのくせに知らないの?」
(かな)「だって・・・秘密の付き合いだったし・・・・まつりちゃんにばれても困るし・・・」
(真一)「んじゃ、るみは?」
(るみ)「いや、わたしも、知らね。」
『・・・・・・』
(貴)「一応聞くけど、りおさんはぁ?」
「ごめん、知らない・・・」
聞くなよ・・・。元カノと幼馴染が知らんもんを知ってるわけない。
(はじめ)「はい、みなさん。佐藤登の家、知ってる人。」
しーん。
「だれも知らねーんでやんの!」
あはははっはははははー
全員で大笑いする。
「なんだよ~、お前ら誰も知らないんじゃない。クラスメートで同じ部活で、友達なのに。」
(亮)「先生に、住所を聞こう・・・」
「このあたりだね」
あーしがそう言うと11人全員が周りをきょろきょろする。
「あ、あの家よ、きっと」
スマホの地図と見比べながら、かなが一軒の家を指さす。
平らな屋根で四面すべてが真四角。まるでブ白基調の外観のせいで、豆腐に屋根が付いたよう。
玄関に近づくと、表札には「高石」とある。登たち兄弟は、おばさんの家に下宿してんだった。
「じゃ、さ、よびりん鳴らすよ」
けいがボタンに手を伸ばす。
ピンポーン・・・
「あれ、留守かな?」
スマホの画面を見る。すでに18時を回っている。まつりちゃんはいると思うのだけれど・・・・。
ピンポーン・・・・。
けいがもう一度押す。
カチャ
ドアが少し開く。
「あ、まつりちゃん・・・ひさし」
「帰って!」
「え・・・」
「帰ってよ・・・・アンタラのせいだよ・・・・お兄いが・・・ああなったの・・・」
かながドアへ近づく。10㎝くらいの隙間からうつむき加減にこちらを睨む。夏休みのころのような、天真爛漫な明るさはなりをひそめ、憎悪に満ちた目でこちらを伺っている。
「・・・あの、まつりさん、私たちが至らなくて、申し訳なかったと思うわ。・・・だから、次ぐなわせて・・・」
「いいよ・・・そんなこと・・・もう、ほっといて!」
そう言うとドアを閉めようとした。
私は素早く、近づくと、ドアの隙間に右足を滑り込ませた。
「あっ・・・」
「まあ、そういうの、わかるけどさ・・・ちょっと、あーしたちと話さない?きっと、損はしないよ」
と、いうやいなや、おもっくそドアを閉めようとしやがった!!
いってー。
「いいんです。帰ってください!」
さらに力がこもってきた!!
いたいー、いたいー。
「まあ、せ、先輩の顔・・・た、たててくんねー」
顔引きつってないよね・・・。
「・・・・わ、かったわ・・・でも、家ではちょっと・・・」
まつりちゃんに連れられて、2,3分歩いて公園へ。
「じゃ、かなから、説明するから・・・ね、最後まで聞いてね・・・」
こくりとうなづくまつりちゃん。
「・・・・というわけなのだけれど・・・わかってくれたかな?・・・」
まつりちゃんはとても複雑な顔をしている・・・。
「あの・・・まって、まって。いえ、まってください・・・えーと・・・ここにいる、乳だけ星人が、お兄を上手く丸めこんでこっそり付き合って、しかも自分たちの居場所を守るため、お兄と一緒に仲間を裏切って、あげく、付き合ってたのがばれたんだで、お兄は自分を悪者にして性悪乳星人を守ろうとした・・・ざっとこんなかんじ?」
おおお。一番わかりやすくまとめた!!中学生なのに!!
「うん。でも、わたしたちきちんと全部理解して、そのうえで、やっぱり彼を、登と友だちでいようと思うの。」
「・・え、でも・・今の話聞いた感じだと・・・性悪乳星人とこじらせ彼氏が、変なんだよね?どう見てもお兄とこの乳おんながめんどくさくしてるんだよね?・・・」
『・・・・・・・・』
皆だまる・・・だって・・・その通りだもん。
「あ、まあ、でもさ、登が来るの待ってるしー、それでね、みんなで迎えにきたってわけ。」
から元気を出して、とびっきり明るくふるまう。
「・・・ありがとうございます・・・こじらせ変人の兄と友だちでいてくれて・・・」
「じゃあ、さっそく、登さ、迎えにいくべ!」
るみが笑顔を浮かべる。
「あ、えー・・・と、・・・・」
途端に顔が曇るまつりちゃん。
「ん?どーかした?まつりちゃん」
裕一が尋ねる。
「そのー・・・おにいなんだけど・・・」
11人の目線がまつりちゃんに注がれる。
「・・・函館・・帰っちゃった・・・・」
『え!』
あー・・・。にげたのね・・・。
この結末はないでしょう?ねぇ、のぼるっち・・・。
やっぱ主人公出せませんでした・・・。
でも、何とか次回から、新章にします。




