85 その結末をだれも望んではいない⑫
ああ、土日は諸事情あって、
更新できませんでした。
仕事が・・・。年末なので・・・。
能面のような無表情で、彼女は私たちの席へ歩み寄ってきた。
彼女の姿を見ると、あの時の感情がふつふつ湧き上がってくる。
許せない。
そう、私は彼女を許せない。
登とつきあったことが許せないんじゃない。
私たちに黙っていたことが何より許せない。ライバルだけど友達。友達だけどライバル。
3人で過ごした時間が私の中では、大きくかけがえのないものになってた。
でも、彼女、鈴木かなにとってはそうじゃなかったんだ。
何食わぬ顔をして、いつも通りにふるまって、友人顔して・・・。
腹の底では、るみと私をあざ笑てたんだ。選ばれなったかわいそうな女として!
「あ、いい?」
発せられた彼女の言葉は弱弱しい。でも、それすら演技なんじゃないか。そう思ってしまう。
「・・・っち・・・」
思わず舌打ち。すると貴は2人掛けの席の奥へと詰めた。なに?あーしの対面に座らせる気?
かなは、舌打ちも、ものともせず、すっ、と、私の前に座った。
いい根性してるわ・・・。この子・・・。
負けずに私はそっぽを向いて、頬杖をつく。あーしも負けないよ!と、精いっぱいの意思表示。負け組にもそれくらいのプライドはある。
「ごめん、りおさん。でも・・・ほかに頼れるのは、君しかいないから・・・・」
申し訳なさそうに、貴はいう。けど・・・・。
「・・・ちょっと、虫が良すぎない?あーしさぁ・・・彼女のこと、許せないんだけど」
かなは、じっとテーブルを見ている。なにか、あきらめたような、悟ったような顔をして。
「りおさんの気持ちはわかる・・・。でも、その・・・僕はのぼるを助けたいと思っている。力を貸してくれないか・・・。」
貴はいい奴だ。でも・・・。
「あーしには、もう、関係ない。終わったんだよ・・・わたしたち」
「いや・・・でも、僕たちは仲間だろう?」
「やめて・・・。それを壊したのは、この女でしょ・・・」
と、かなに一瞥をくれた。
「・・・ごめんなさい・・・」
かすかに聞こえる声。
「ごめんなさい・・・私が、かれを追い込んだんの・・・私のせいなの。彼は、私を都合のいい女にしようなんて思ってない・・・・。」
「はぁ~・・・じゃあ、なに、両想いでラブラブだったって言いたいの?なに、勝利宣言?私たちのこと、バカにしてたんでしょ!何食わぬ顔して!友達面して、腹の底じゃかわいそうな人達、って、憐れんでたんでしょ!!あんたは!!馬鹿にして!!」
「あ、りおさん、ちょっと・・・・」
貴に促されて周囲の目線に気づく。
「なに、あれ、」「ちょっとちょっと、修羅場ってやつ?」「ああ、いい男だもんね、彼。二股ばれた的な?」「いや、あのギャルがフラれるとこだろ」「悪い男だね~。」など、ひそひそ話されている。
「・・・・とにかく、あーしはもう、かかわらないよ・・・」
捨て台詞のようにいって、席を立とうとすると・・・。
「・・・・だから、あなたは選ばれなかったのよ・・・・・いいえ、選ばせることができなかったのよ・・・」
かなの鋭い目線はわたしを射貫く。
さっきまでの弱弱しさがなくなる。
「そうよ、本当は、わたしが、彼にそうさせたの。彼に自分が決めた、と思わせた。そう思わせさえすれば、わたしの物になるって、わかってたから・・・。そんな芸当、あなたにできる?」
あ、あ、ああああああああああああああああ。
わたしをいや、わたしたちを見下した!顔が紅潮していくのがわかる。
「怒った・・・・かしら・・・。ごめんなさい、言い方悪くて・・・。でも許婚でも、幼馴染でも、ギャルでもない、わたしの武器は・・・・・胸と奸智しかないのよ・・・・」
・・・・・・かんち?感知?完治?寒地?・・・くっそーわかんねー。
コホン
わざとらしい咳ばらいを貴がする。
「ああ、つまりだ・・・きみたちに引け目を感じていたかなは、権謀術数、悪知恵を使って、そう言わざるを得ないようにした。イエスと言わせたんだよ。」
「・・・じゃあ、登を上手くはめて、付き合った、ってこと?」
「まあ、そうね・・・。登は自分で決めた気になってるけど・・正直それはどうでもよかったの。あなたたちを出し抜ければ・・・」
ほんと、こえー女。正直引くわ。
「でもね、いまは後悔してるの・・・。だって、登はいなくなって、みんなには後ろめたいし・・・。」
「はあ?なんで?うちとるみに対しては、わかるけど・・・他のみんなにもって」
「ああ、それなんだけど・・・・どうだろう、力を貸してくれるなら、全部話すよ。」
腹立たしいけど・・・めっちゃ気になる・・・。
「じゃあ、ちょっと、かなに聞きたいんだけど。力を貸すのはその返答次第。」
そう告げると、かなはかすかに微笑み
「ええ、なんでも・・・」
「じゃあ・・・・」
とちらっと貴の方に目をやる。
「ちょっとさ、貴、せき外してくんない?女同士の話がしたいの」
あ、っという表情を一瞬した貴くん。
「ごめん気が利かなくて。ちょっとトイレに行ってくるよ・・・」
そういって席を立った。
わたしは席を詰めると隣来るようにかなに促した。
隣に来たかなに顔を近づけると、声をひそめて聞いた。
「ねえ、正直に答えてね・・・かな、登と、どこまでいった?」
「・・・え、遠くて・・・小樽かしら・・・・」
「ば、そのいったじゃない・・・その男女の中の・・・・」
「・・・え・・・」
と顔を赤らめるかな。近いせいか、かなりかわいく見える。彼女の肩を抱いて体を寄せる。
「正直に答えて。それ確かめたいの。どうしても」
「・・・・・・・・」
「ごめん・・・きこえない」
「・・・・・・まで」
「聞こえないしょ、じゃあうちに耳打ちして!」
「・・・・・・・・・まで」
「よっ、しゃーああああああ」
喫茶店に響いたわたしの声。みな、わたしを見ているがそれはどうでもいい。
なんだまだ、そんなもんか!てっきり、もっと・・・・。
そして、今はもうかなと切れたし、これは、災い転じて福をなす!てやつじゃない!!
と、貴がもどってきた。
「あ、もう話、終わった?」
「あ、うん。もうぅー大丈夫。さあ、力貸すよー!」
かなは、真っ赤な顔をして、うつむいている。そして、上機嫌になったわたしと見比べる貴は、困惑した顔をしていた。
「で、みんなに後ろめたい話って?」
と切り出すと、貴とかなは気まずそうな顔をした。なに?なに?ほんと気になる。
「じゃあ、僕から話すよ・・・かな?」
「ううん、私が話すわ・・・・」
決意のこもった彼女の顔は、とても美しい。なるほど・・・。登が一度は選んだだけのことはある。
そうして、彼女は淡々と経緯を話し始めた。
「はあ、なに、それ。あんたのために、そんなことしたの?いや、させたの?」
「え、まあ・・・・。その、させたっていうか・・・。」
「あんたの、いや彼女の学校生活、守るため、そこまでするの?おかしくない?」
すると貴が
「いや、だって、業務用小麦粉2袋用意する男だぞ。それくらいするさ・・・」
と、フォローしてきた。
いや、でも、彼女のためとはいえ、そこまでするって、ちょっと、いや、かなり、ショック。
さっきの「よっ、しゃーああああああ」を返してほしいよ・・・。
まあ、でも彼らしいといえば彼らしい。
「っふーーー。・・・で、あーしにどうしろって?」
「うん、彼女にも納得してもらうのに、口添えしてもらえるかな?」
『彼女?』
かなとあーしが声をそろえる。
あ、かなも知らないんだ・・・・・。
今回はリオ視点で書きました。
次回は、「彼女」視点で書く予定です。




