84 その結末をだれも望んではいない⑪
オーロラタウン好きですか?
テレビ塔まで行けるんですよ。
僕は好きです。オーロラタウン。
昇降口の空気は冬の訪れを感じさせるようだった。泣きはらしたので、落ち着くまで時間がかかってしまった。家庭科実習準備室での話し合い。最後に貴くんは、
「僕は登を助けたい。だから、協力してほしい。もちろん、きみと登の裏切り行為については一切口外しない。だから、力を貸してくれ。」
と言ってはくれた。わたしには断るすべはない。
「はぁ~・・・・・」
大きなため息をつくと、
「だいじょうぶかい?なに、何とかなるさ。取り合えず相談しよう。みんなに見つからない場所で。」
と玄関口で悟り顔で立っていた貴くんが気遣ってくれた。
野球部でエースで3番。近隣校で、彼のことを知らない人はいなかった。野球がうまいだけじゃなく、その端正な顔立ちは同年代の女子をイチコロにした。
かっこいい。フラれたとはいえ、今見ても素直にそう思う。
「じゃあ、行こう。」
靴を履き終えて、しゃがみこんでる私に、彼はそう言って右手を差し出してきた。
この手にすがるしかない。
バスと地下鉄を乗り継ぎ、札幌の大通駅で下車。オーロラタウンと呼ばれる地下街へ行く。地下街を東に向かって真っすぐ歩く。寒さがきびしくなってきたせいか、平日だというのに人通りがおおい。貴くんは時折こちらをちらっと見るくらいで、話しかけてはこなかった。地下街の終点近く。わりと大きな喫茶店へと貴くんは入っていく。続いて私も入ると、
「あ、ごめん、最初は別々の席に座ろう。かなさんは、あの隅っこの、奥の方に座ってほしい。」
「え、あ、はい。」
わたしが不振がってると、
「なに、悪いようにはしない。ただ、最初は君がいない方がいいと思うんだ・・・」
「え、なに?・・・」
その疑問に答えることもなく、貴くんは入口からすぐ目に入る、割と目立つ席へと座った。私は言われるがままに奥の席へ。
ホットコーヒーを注文して、スマホをチェックする。洋子から「明日、部室来る?」と一言だけ連絡がきていた。今日ことを考えると・・・・。「難しいかも」っと送った。
「お待たせ・・・」
聞きなれた声が耳に入った。スマホから顔を上げる。
相手の目に留まらないよう、慌てて身をかがめ、顔を伏せる。
やっぱり。
りおさんだ。
言ってくれれば・・・。って、言われてもどうにもならないわよね・・・。
やだな。顔合わせたくないなぁ~。
抜け駆けした身としては、もう関りを遠慮しなければならない人。
こっそり様子を窺う。
「な~んだ。あーしに告白してくれるのかと、期待してたのになぁ~」
声、おおきいな~・・・。
こうしてみると、お似合いかも、あの二人。美男美女。
「はあああああ~!」
との掛け声とともに腰を浮かせる、りお。
明らかに不機嫌そう。いや不機嫌。何とかそこをとりなして、腰を落ち着かさせたようだ。
でも明らかに不貞腐れた様子で、クリームソーダをすすってる。
ブーブー。スマホが振動する。
(来て)
と通知が映し出されている。
え、あの不機嫌モードのりおと会って、さらに不機嫌にするのは・・・ちょっと・・・・。
(早く!)
あ、迷ってる暇はないのね・・・。
私は意を決して、立ち上がり、2人の座る席へと向かった。
えーと・・・・
りおさんも出さなきゃ・・・・
と思ったんだけどね・・・。




