80 その結末をだれも望んではいない⑦
3人で・・・・
いいなぁ・・・・
俺もしたい。
家庭科実習準備室。
僕も訪れるのは初めてだ。しかし、彼女たちの指定場所はここで間違いない。
そういえば、登は、学校祭と夏祭りの時、ここによく出入りしていた。調理器具を探すために。
ノックを2回する。
「はい、どうぞ。」
中からは聞いたことのない声で返事がする。誰なんだ?てっきり委員長・・・いや生徒会会計の柳川さんしかいないと思っていたのだが・・・。
カチャ・・・
ドアノブを回し、そっとドアを押す。二人の女子が、仁王立ちで待ち受けていた。
「待たせたかな?」
「いえ」
と柳川さんが言うと、
もう一人の女子、仮にA子としよう。A子もうなずいた。
「かなさん、柳川さんたちも話がしたいそうなんだ」
「え・・・」
かなは、「何であなたが?」と意外そうなそぶりで答えた。が、むしろ想定内の受け答えのように見えた。俺や柳川さんとは、想定問答集がすでにできている気がする。彼女の態度の端々から、余裕が感じられた。
しかし、彼女のデータにほとんどない、A子についてはどうだろう。かなり警戒してるに違いない。
「わたしのこと、しってる?」
A子はかなに語りかける。とても落ち着いた、でも、なにかを見透かしたような目線で。
「いえ、初めましてだと、思います。」
「うん。そうだよね・・・顔を合わすのは・・・でもさ、」
A子の口調が変った。語気が強くなった。
「わたしのことは、聞いてるよね?・・・・あんたの・・・・彼氏さんからさ!」
静まりかえる準備室。
「・・・え、なんで?どうして、わたしが聞いてるって、あなたのこと知ってるって、どうして、そう思うの?」
「だって、他に、彼が動く理由になる人、いないもん。ねえ、かなさん、かれが今回、裏でいろいろしてたの、知ってるんでしょ?」
「今回・・・って、何のこと?登と付き合ってたこと?」
「ふーん。食えない女。まどかが、警戒するのも無理ないわ。」
というとA子はあきれ顔で目をつぶった。
「・・・かな、僕は柳川さんから、概ねの話を聞いているんだ・・・」
僕は、彼女の告解を促すため、すべて知ってることを伝えた。
「概ねの・・・話?何のことかしら?・・・・・わたしにはわからないわ・・」
っく、流石だ。かなさん。
このくらいでは、びくともしないか・・・。
「ふふふ・・・。あなたと登くん、思ったより絆は深いのね、でも・・・・」
柳川さんは微笑を浮かべて、話しだす。
「貴くん、このしたたかな雌狐に、真実を話していいわね?」
僕はこくりとうなずいた。
「・・・鈴木かなさん、あなた、登の彼女って思てるでしょ?」
「え、いや私は・・・その、都合のいい女って、登は思っていて・・・」
「かわいそ~。あんたは都合のいい女候補の一人なのよ。ほんとは・・」
「え?」
あれ、柳川さんは何を話してんだ?こないだ聞いた選挙のことじゃ・・・。
「あのね・・登はね・・・選挙の話をしにここにきて、私たち2人を・・・」
「・・・え・・・」
「だめ、やなちゃん・・・それは、3人だけの秘密って・・・」
来島さんは、顔色を変えて話を遮る。・・・えっと・・これはなに?修羅場っていうもの?ちょっと、ちょっと、まてよ。そういう話がしたいんじゃないんだけど・・・。
「・・・でも、この女、ほんとの彼女気取りで、気に食わないじゃん。どうせ、私たちほど深い関係ないくせに!」
「でも、やっぱ、それは・・・その・・絶対に守る秘密だって、決めたじゃん。」
「でもさ、このまましらばっくれるのも・・いやじゃん!」
「あ・・・う、うん・・・・」
柳川さんは、かなに近づき、向き合う。僕はごくりと生唾を飲み込む。
「かなさん、・・・私たちわね、・・・・・3人で・・・その・・・そういう関係を持ったの・・・」
「・・・え、・・」
来島さんは目をつぶってうつむいている。
「ふふふ・・・・彼も私たちもここで、楽しい時間を過ごしたわ・・お互い・・初めてだったけど・・・」
「う、うそよ!」
かなは顔色かえた。体が硬くなっているのがわかる。
「あぁあ~・・・知られなくなかったのになぁ~・・・」
来島さんはあきらめ顔でつぶやいた。
「彼ったらすごく強いのよ、私たち2人を相手にしても、全然・・・・。」
「そうね、びっくりしたわ・・・初めてだっ、て言ってたけど・・。」
「そうね・・・そうは思えなかったわ・・・」
2人は少し恥ずかし気に、でも、勝ち誇ったようにかなに言うのだ。
登、お前は僕たちの知らない秘密を、そんな、ただれた秘密を持ってたのか・・・。それじゃ、もう救えないよ・・・。
「う、うそよ!・・・の、登が、そんなことするわけないわ!!・・・そんなこと!!」
「ごめんなさい・・・でも、あなたが悪いのよ・・・」
「・・・そうよ、彼に負担をかけたから、私たちに・・・」
「彼が来なくなって、残念だわ・・・」
「また、いっしょに、ここで・・・」
「まあ、あなたには、そういうのわからないでしょうけどね・・・」
「やめて!!
耐えられないように、
「あら、彼女気取りの人にはきつかったしら・・」
来島さんはかなを見下げるように、顔を斜に構えて、横目でかなを見ていた。
「話だけじゃ信じられないようね・・・じゃあ、これ見て」
そういって、柳川さんは、ブレザーを脱ぎすて、ブラウスの第二ボタンまで外した。そして、左の鎖骨あたりまではだけさせる。彼女の鎖骨の上あたりが、ぼんやりと赤紫になっていた。そうまるで吸い付かれた後のように・・・。
「え、ちょっと、それは・・・」
やりすぎでは、と思った。そこまで生々しい証拠は見たくはない。しかも友人の残した跡など・・・。
かなを見ると、かすかにふるえているのがわかる。
「あ、かな、こんな話がしたかったわけじゃないんだ・・僕は・・・」
「あら、私たちは、そういうつもりだったのよ。都合のいい3番目の女に、事実をつたえたかったのよ。」
来島さんは畳みかける。
「わかった?あなたなんか、ただのキープちゃんなのよ・・・」
「・・・ちがう・・・ちがう!・・・ちがう!!・・・ちがう、ちがう、ちがう、ちがう!!」
目を見開いて、2人を睨みつけるかな。その顔は怒気をはらんでいる。
「あなたたちこそ、ただの都合のいい女よ!どうせ、体だけよ!そうよ、体だけ。どうせ、その貧相な体じゃ、登も満足できなかったんでしょ?だから、私と別れなかったのよ!あなたたちなんて、選挙のおまけ!捨てられた女よ!私は違うわ。今でも登の1番よ。誰よりも大切にされてるのよ。今だって・・・。あなたたちは、やり捨てられた、かわいそうな女よ。私が、私が・・・・」
まくしたてるように話したかなは、そこで、我に返ったようただった。な
「・・・やっぱり、あんたが、登が守ろうとした、そして、おかしくさせた原因ね。」
ブラウスのボタンんをしめながら、柳川さんは冷静にかなへ告げた。
「やっぱ、女だったか~・・・」
来島さんは、ため息交じりにそういって、椅子に座り込んだ。
「え、あ・・・」
動揺を隠せないかな。
「かなさん、あなた、登が会長選挙でしてきたこと・・・知ってるわね?」
「え、い、いや・・・し、しら」
「だって、さっき、言ったじゃない、「あなたたちなんて、選挙のおまけ」って」
来島さんに言われて、ようやく気づいたのだろう。そこで初めて、かなは、はっとした顔をした。
「・・・・ぅ、ぅ、う・・・」
声を殺してかなはその場に泣き崩れた。
「ああ、ちなみに3人でしたのは・・・・トランプよ。ババ抜き。」
来島さんの種明かしも、かなには聞こえていないようだ・・・・。
貴が活躍する場、
って、あんまなかったので・・・・。
どうでしょうか




