76 その結末をだれも望んではいない③
いやー・・・・。
この章も終盤です。
「たいへんだった・・・・」
鈴木はじめ生徒会書記は、ぽつりと言った。
「なかなか、一筋縄ではいかないね・・・・」
佐藤亮生徒会副会長も、疲れた顔でつぶやく。
「やっぱり、五十鈴さん、厳しいの?」
かなが心配そうに尋ねると、
はじめ「うん・・・いや、仕事はできる人だよ・・・」
亮「ああ。去年の会長と遜色ない、いやそれ以上だ・・・」
『ただ・・・』
と二人は言葉を濁し始めた。
「なに?」
「どうしたの?」
我らがリーダーの二人の問いかけに、2人は困り顔を見せた。
「気になるじゃん」
「言っちゃおーよー」
真一、あんも興味がるらしい。
はじめ「・・・・・なんか・・・・」
亮「へんな指示が出るんだ・・・」
『?』
亮「俺たち二人になぜか、一緒に書類を書かせたり・・・」
はじめ「一人で、できますって言ってんのに・・・」
ー「はじめさんは、初めての生徒会でしょ?亮さんに手取り足取り教えてもらって!」ー
「えっと、それはきっとさ、はじめたちに気を使てるんじゃないかなぁ・・・」
たまらず、フォローをした。
はじめ「そ、そうかなぁ~・・・」
亮「でも、俺たちの仕事ぶりをチラチラ見ながら、柳川さんとこそこそ話すのが気になって・・・」
あ、そういうことか・・・。なぜ、二人を生徒会に引き入れたかったのか・・・。意趣返しだけじゃない・・・・・・・・ネタ探しだ。生ものBL本の。くそー。一石二鳥の策だったのか・・・。手芸部、いや、裏の漫研、侮れない。
けい「まあ、でも、」
洋子「知り合いがいると心強いんじゃない?」
そういって、笑みを浮かべるリーダー二人。あれ、なんか仲良くない?そんな関係じゃなかったんじゃ・・・。
貴「それじゃ、主役がそろったところで、あらためて、乾杯しよう。ね、リーダー」
裕一「えっと、どっちの?」
るみ「二人に決まってるべさ~。」
「したら、けいとようこ、音頭さたのむ」
けい「じゃあ、洋子いいね?」
洋子「うん、それじゃ選挙運動、お疲れ様!」
けい「かんぱーい」
『かんぱーい!』
残念会は、いつの間にか打ち上げになった。
はじめの歌声が響く。洋子がうっとりとはじめを見つめる。
けいと亮がいちゃつき始める。
るみとかなとりおが、いつの間にか席のはじっこで楽しそうにおしゃべりしている。
真一とあん、そしてなぜか裕一が大笑いしている。
「登、なんだかうれしそうだね。」
いつの間にか貴が俺の隣にいる。
「え、そうかな?」
「うん、すごくうれしそうだよ。」
「・・・だってさ、高1のときのことを思い起こしたらさ・・・・」
「うん・・・」
「想像もつかないなって・・・」
「そうだね。あの頃は俺たち2人きりだったからね。」
「うん。かろうじて、ぼっち、じゃなかった。」
「うんかろうじてね・・・。」
「あ、かなもそうだったなぁ~。」
「うん。あ、でも、のぼるが助けてからは、よく話しかけられたよ・・・。」
「え、そうなんだ・・・。
「あ、でも勘違いするなよ、別にそういうんじゃなかったからさ。」
「わかってるよ。もし、そうだったら、貴は教えてくれてたさ。」
「そうだね。黙ってるなんて、できなかっただろうね。」
その、貴の一言が、とても重く感じる。
「こんなに仲間が増えた俺は、幸せなんだろうな・・・。」
「うん。でも、こうなったのは、登の力もあったと思うよ。」
「ありがとう。貴」
はじめの歌が終わる。
と、同時に、コール音がなる。
受話器の近くにいた、るみがとる。
「・・はい・・・あ、延長は・・・」
けいと洋子は指でバツ印を作る。
「あ、しません。・・・はい、あと10分後ですね。わかりました・・。」
るみが受話器をかけると、けいはおもむろに立ちあがった。
「じゃあ最後に残念だった、はじめさんと亮に一言はいただいて、お開きにしたいと思います!」
すると洋子が拍手を促した。
パイパチパチ・・・。
はじめと亮は目を顔を合わす。亮は右手を出して、はじめに先を譲っていた。
「あ、えっと、じゃあ、俺から・・えー、落選は残念だけど、亮と生徒会に入れて、うれしい気持ちもあります。そして、super Bellsのみんな、選挙運動の協力ありがとうございました。」
はじめのあいさつに洋子の瞳は潤んでいた。そこまで感動する挨拶とは思えないが、好意は目を曇らせるんだろう・・・。
「じゃあ、次に僕から。はっきり言うと、悔しいです。生徒会長になるのが、去年からの目標だったから。また副会長で、ほんと悔しい。でも、五十鈴さんは力がある人だし、僕もはじめとまた、仕事ができて、正直うれしい。ワクワクしてます。Sugar Babesのみんな、選挙ありがとう。これからも力を貸してください。」
拍手がひときわ大きくなった。なんだろう、佐藤と鈴木がひとくくりになりつつある。そんな気がする時間だ。この場にいる全員が心地よい気分でいるのがわかる。俺も、こんなに安心する空間を共有できたのは、初めてだと思う。
だから、油断した。
たった一言。
一言ですべてが壊れていく。
忙しくて投稿が不定期。
まあ、趣味だからね。




