69艶説かい?
柳川さんの自信あふれる笑顔が気になる中
ぬりかべ女王の演説がが始まる。
けいと洋子の演説を超えられるのか?
ステージから亮とけいが降壇する。なんと手をつないでだ。
指笛や拍手歓声が沸き起こる。
このバカップルのあとに演説するのはかなり厳しい。まして、ぬりかべ女王だ。一部男子には受けるが・・・・。しかも責任者は女子。女子女子コンビなので好意った艶っぽい話は絶対ない。
「なあ、お前どっちにする?」
「ああ、鈴木かな~。幼馴染ってのがぐっとくる。」
「ねえ、けいちゃんがんばったよね!」
「そうだよね、そしたら佐藤?かな?」
周りはもう鈴木か佐藤の2択の雰囲気だ。
残念ながら、「五十鈴」の声は一切しない。
かつて、これほどまでに佐藤と鈴木の名前が巷にあふれたことはあっただろうか?
「静粛に願います。」
司会者の声に生徒の声は小さくなっていく。
「それでは、最後の演説となります。立候補者五十鈴まどかさん、責任者柳川しのぶさん。」
二人はすっと立ち上がり、登壇する。
柳川さんは、ステージのはじの方で立ち止まる。女王は姿勢よく、力強い歩みでまっすぐと演台へと向かった。マイクを前に立ち止まる五十鈴。
「全校のみなさなん。こんにちは。ただいま、ご紹介に預かった、五十鈴まどかです。・・・・・・。」
そう言うと、五十鈴さんは、口を閉じ、目をつぶった。ほんのわずかだが、演説は止まった。
彼女は、深呼吸するように息を吸い込み、吐き出した。
「あのような話の後、私の所信をお話ししても、正直、聞く耳は持つ方はいないのではと思います。が・・・・。」
そして、さらに大きく息を吸い込む五十鈴さん。
「おまえら、それでいいのかぁー」
かぁぁぁぁぁ----。
また語尾が反響する。
「わ、わ、わたしには、彼氏もいなけりゃ、好きな男子もいない!言い寄ってくるのは、ろ、ろ、ロりをこじらせたやつばっかりだ!しかも、かげでぬりかべとか食パンとか言われて!!でも、それはいいです。私たちだって、誰のことは言いませんが、ギャルと半同棲してる、とか、美少女を妊娠させて逃げてきた、とか、二股かけた女子と学祭やって、挙句、許嫁に踏み込まれたとか、いろいろ言ってます。」
う、視線が痛い。なんで、俺に関する噂話ばかり並べるんだ・・・・・。
「でも、そいつは、最後まで仕事を投げ出すことはしませんでした。わたしも、そうありたいです。女王の称号にふさわしい、生徒会長になってみせます!ぬりかべなんて、もう言わせないわ。なにが、スリーメロンズよ!お前らがモテてるんじゃねー!乳がモテてるんだ!!だいたい日本人は、BかCが普通なんです!女子の皆さん、胸ばかり見ている男子をどう思いますか?それから、あの方たちが当選したら生徒会室デートが日常茶飯事になってしまいます。それどころか、生徒会室で・・・・。あ、いえ、ごほん。いいんですか?生徒会をラブラブリア充の集まりにして。リア充陽キャ、爆発しろー!!・・・・・・・・わたしは約束します。学校が一部のリア充たちのものにならないよう、陰で泣く人がいない、貧乳や陰キャだって輝ける学校を作ります。ですから、私にぜひ、投票をよろしくお願いします!!。」
会場は水を打ったような静けさ。
パチ、パ、パチパチパチパチバチバチバチバチ・・・
うむ、思いのほか響いたぞ。俺は別の意味で目線が集まって、いやだったが・・・。
しかし・・・例のこと言わなかったな・・・。
「あ、そ、それでは、応援演説をおねがいします。」
司会者も五十鈴さんの迫力に動揺してる。ステージでは、五十鈴まどかと入れかわるように柳川さんが演台に立った。
「みなさん、五十鈴まどかさんの責任者、柳川しのぶです。先ほどの演説でわかるように、五十鈴まどかさんは、立場の弱い方の味方です。胸の小ささを男子にからかわれたあなた。大きいからとマウントとられたあなた、一部の人たちに学校祭を乗っ取られたあなた、なんであいつばっかりモテるんだ!と不満を持っているあなた、五十鈴さんは、あなたたちの味方です。かれらの思うままにさせないために、わたしたちは考えました。もし、五十鈴さんが当選したら・・・・。」
目をつぶり、静かに息を吸い込む柳川さん。ふっと目を見開くと、
「そこにいる二人を、生徒会役員に迎え入れるそうですー」
すぅぅぅーーーーーーー。語尾が反響とともに消え去っていく。
『はあ!?」
と亮とけい、はじめと洋子は立ち上がって声をあげた。
けい「そ、そんなこと!」
ようこ「許されないでしょう!」
するとステージ横で待機していた五十鈴まどか演台へ歩み寄る。
「あら、生徒会規則では、「生徒会長は生徒会役員を決定する権限を有する」、とあるわ。しかも「依頼された生徒はなん人もこれを受け入れ、拒否することはできない。」ともあるのよ。つまり私が指名すれば、それが決定よ!!」
『ぐぬぬぬ』
あの4人は歯ぎしりしている。
「ありがとうまどか。というわけで、色ボケの学年1位2位には、生徒会に入ってもらって清廉潔白な青春をおくってもらおうと思います。さて、みなさん、生徒会をあのどちらかにして、学校祭のようなバカ騒ぎでこれから過ごしたいですか?あんな艶っぽい話、そう、艶説しかできない輩に今後を託したいですか?皆さんの良心に期待します。」
と演台から離れようとしたときだった。
「ああ、言い忘れたわ、親の公認なんて、どうでもいいでしょ。高校生だもの。」
おおおー。「柳川さんおとなだー」「そりゃそうだよな」
などなど口々に柳川さんへの賛辞が聞こえた。
興奮冷めやらぬまま、投票がはじまる。その場に座り、選挙管理委員が配布する投票用紙に記入した。選挙管理員の持つ投票箱へ入れた。みな、三々五々体育館をあとにする。
廊下ではまだ、演説の感想を話す生徒が多数いた。
・・・・いや~やぱっり、佐藤っしょ・・・・おれは鈴木だよ・・・いや、いや佐藤で・・・・。
廊下で聞くのは佐藤か鈴木ばかりだ。五十鈴の名はあまり聞こえない。
体育館から廊下を進むと、購買が見えてくる。自動販売機で話したことが思い出される。
(ええ、まかせて。)
彼女はそう言った。
柳川さん。
きみにまかせてよかったよ。
彼女はそう言った。
柳川さん。
きみにまかせてよかったよ。
次回、いよいよ開票結果が発表されます。
まあ、きっと予想通りでしょ。




