68えん説会②
佐藤陣営の演説の始まりです。
責任者の意地がぶつかります。
立候補者の影が薄いなー。
「皆さまお静かに。」
興奮冷めやらない会場を、収拾する一言を司会者告げた。
「続きまして、立候補者さとうりょうさん、責任者さとうけいさんです。」
スッと立ち上がる2人。ステージへ向かう途中、はじめたちとすれ違う。
洋子は明らかに勝ち誇った笑みを浮かべ、亮とけいをちらっと見た。
だが、けいもりょうも、全く無関心に歩みを進めている。
なんだ?あれだけの盛り上がりを見せていたのに・・・。その余裕はなんなんだ?
登壇すると、亮はまっすぐに演説台へ向かう。
「ただいまご紹介に預かりました、佐藤亮です。あのような話の後で、堅苦しい話は聞きたくないかもしれませんが、しばし、時間をください。わたしが生徒会長を志したは・・・・・・」
さすが亮。なんだかんだ言いながら、さすが学年1位だ。余裕すらかんじられる。はじめより、上だ。しかし、あのファーストインパクトの後では・・・・。いくら演説をがんばっても、取り返すのは難しかろう。うーん。はじめに一本とられたかぁ?
「・・・・・このように、修学旅行などにも、生徒の自主性を図るため、生徒代表として意見を反映させるよう、学校側に働きかけていきたいと考えています。ご清聴ありがとうございます。」
パチパチパチ・・・。洋子たちに向けられた拍手とはおよそ質の違う、おためごかしといっていい拍手。
「続きまして責任者、さとうけいさんの応援演説です。」
機械的に司会はすすめる。さて、けい。どうする?この状況・・・。
「ええ、わたしは責任者の佐藤けいです。同じ苗字ですが、全くの赤の他人でした。無論幼馴染でもありません。」
ふははは。会場に砕けた笑いがおこる。
「でも、そんなことは関係ありません。わたしと亮さんは出会ってまだ半年です。でも、学校祭や部活動で、彼の仕事ぶりを見てきました。彼の思慮深さは、学年トップの称号にたがわぬものでした・・・・」
うむ、やはり、学校祭や夏祭りでの彼の有能さをアピールする作戦か。でも、それでは少し力が足りない。
「このように、彼の計画力、実行力はたいへん高いものがります。そ、・・・それを、その、わたしは近くで見てきました・・・・」
あれ、なんだ?けいもなんか歯切れが悪くなってきたぞ・・・・。しかも何か顔が赤い・・・。え、ま、ままままままま、まさか、おめたちも、なのか?でも、そりゃ二番煎じってやつじゃ・・・・。
「そ、それで・・・・・その、亮さんを・・・・す、す、す・・・・」
ごくり、体育館中が生唾を飲み込む。
「す、好きになりましたぁー」
たあぁぁぁー。
また語尾が体育館に響きわたる。残響が消え去ろうとするころ
「が、がんばれー!!」
げ、る、るみだ。るみが声をあげた。それを合図のように体育館中が声をあげる。
そうだー、がんばんれー、答えてやれー
っく。やられた。はじめたちは結果の報告。いわば事後承諾を迫るものだ。だが、これは違う。まさに始まりを見せる場面だ。全校生徒にまさしく応援を求めている。しかも失敗はない。
「ど、どうか、わたしとお付き合いしてください!」
けいはそう言って、亮の前にいき、頭を下げた。
「え、あ、ぼ、ぼ、僕なんかでよければ。これからもよろしくお願いします。」
ウォー、おめでとう!よかったねー!!お幸せにーこれからも!
そして万雷の拍手。
く~。公開告白。まさか、そこまで身を捨ててくるとは。予想外だ。応援演説までは気にしてなかった。油断した。けいも洋子ここまでしてくるとは・・・予想外だ。それだけ、選挙も恋も本気だったのか・・・。
「ありがとう、みんな。あ、言い忘れてたけど・・・」
全校生徒は耳を傾ける。
「まだ、親非公認でーす!」
おおおおー。お幸せにー。知らせるなー!
盛り上がる生徒たちをしり目に、御厨先生は右手を額にあて、うつむいたまま動かなくなってしまった。
「えー御厨先生?どちらも先生のクラスですよね・・・・?どうなってんですか・・・」
「・・・・・わかりません・・・・」
そんな会話が漏れ聞こえてきた。
体育館異様な熱気に包まれている。ぬりか、いや五十鈴さん。どうやって挽回する?確かに君の演説はあの二人と同じかそれ以上だ。でも、佐藤と鈴木は身を捨てて勝ちを取りに来た。
このままでは君は勝てない。今すぐ相談したいが・・・。俺は責任者じゃない。
俺はたまらず柳川さんを見た。
俺の視線に気付いたのか。柳川さんはにっこりと微笑んでいた。
公開告白。
もう、好きにしてくれ。
リア充爆発しろ。




