63 手芸部の男
生徒会選挙ってどんなことしてたっけ?
演説会と投票だけだよね?
「ちょっと、登どこ行ってたの!作戦会議あるって言ったでしょ!!!」
ICT研究部。予想通り、おかんむりのけい。部室にはSugar Babesが勢揃い。
「ああ、ちょっとトイレ。」
「まあ、いいわ。で、亮、演説会の原稿できたの?」
「ああ、こんな感じでとうかな?」
亮はそう言って原稿用紙2枚を机上にならべておいた。
『・・・・』
しばし原稿読む俺たち。さすが学年主席。いい出来だ。まず俺にはできない仕事だ。
「さすがだね、亮。完璧じゃなないか?」
貴が感嘆の声をあげる。
「うーんでも、普通よね・・・。“自主的な学校祭、体育祭の運営”“校則の見直し”“生徒の意見を修学旅行に反映させる”・・・・きっとBellsも同じなんじゃない?」
「それな~。じゃあ、・・・・・・こういうのはどうだ?」
珍しく裕一からの提案に、全員、耳を傾ける。
「部活動申請の基準緩和」
「はあ?」
あっと、声が漏れてしまった。
「いや、だって、今は4人以上いないと部活として認められないだろう?もしこれが2人とか3人なら、同好会の多くが部活になる。楽しいだろう?」
「うーんそれは難しいんじゃないかな。多様な部活動ができるのは歓迎できるが、部活関連の予算は限られるからな・・」
「だから、当選したら部活動予算の増額にも取り組むってことで。」
ずいぶん食い下がるな・・・。あ、そうか、そうゆうことか・・・。
「裕一、おまえ、新しい部活動作る気だな?」
『はあ~!』
裕一に目線が集まる。
「・・・・え、っと、いや・・・それは・・・その・・・」
「裕一、生徒会長選挙を私物化しないでほしいな・・・。」
亮は真面目だな。
「おめ、格闘技かプロレスの部活作る気だったんだべ?」
るみが、やれやれという顔して言う。
「うーん・・・でもなんか、物足りないのよね~。こう、必殺技みたいなのほしくない?」
「うん、確かに、目玉政策ってほしいわね。」
図書準備室。はじめの演説原稿を一読して、かなはそう告げたのだ。
「えっと、でもさ、かな、なんか思いつく?」
洋子は困り顔。
「そうね。思いつかないわね。」
「あーし、もうそれでいいと思うけどー」
「おれもー」
あんと真一は「もう飽きた」と、顔に書いてある。
「あ、こういうのはどう?はじめ。」
・・・・・・・・・・・・・・・。
『うん、けっこういいかも・・・』
ブーブー。
メールの知らせだ。
「なんだい、登?急用かい?」
亮が気を使ってくれた。ポケットからスマホを取り出し、確認する。
「いや大したことじゃない・・」
かなからのメールだった。いつもの暗号だが、相手の目玉政策はわかった。
さて、こっちはどうするか・・・・。向こうの案に負けず、かといって勝ちすぎない案。絶妙に拮抗させなくては。よし・・・・。
「じゃあ、こういうのはどうかな?亮?」
・・・・・・・・・・・・。
『あ、けっこういいかも・・・・』
「あ、登、おめ、かえらねのか?」
昇降口でるみに呼び止められた。
俺を除く”佐藤は”全員もう校舎を出て、校門を後にしていた。
「ああ、おれ、教室さ忘れ物した。さき、かえってけれ。」
「んだか~。したら、またあしたな~。登。」
「したっけな。」
るみは俺に手を軽く振ってから帰っていった。
しばらくるみを見送り、誰も引き返して来ないことを確認してから、家庭科準備室へ。
「ごめん、待たせた」
柳川と来島は、スマホをいじりながら座っていた。
「ふ~。待ちくたびれたわ・・・なんて、うそ。」
心なしか疲れた顔を見せる柳川。冗談を言われてちょっとうれしい。
しかし、もう、俺、手芸部員みたいだよな・・・・。
「ええ、ついさっきまで、まどかがここにいたのよ。もう、演説原稿の検討させられて。」
と来島さんはぐったりとした顔。
「たいへんだったのよ。あなたが来るので、あわてて帰ってもらったわ。」
「そりゃありがとう。で、原稿は?」
「そこにあるわよ。」
と、よく見ると目の前の机の上に2枚の原稿用紙がのせてあった。
さっそく目を通す。
ああ。亮の原稿と大差ないな。やっぱ。よし。
「さすが、よくできている。だがこれじゃ勝てない。だからさ・・・・・・」
「え、本気?・・・・・」
「それ、まどか、怒るんじゃ・・・」
2人は難色をしめしたが、女王が勝つにはこれしかない。
「当選のためには、そして、男子に勝つために、って言って納得させてくれ。」
「わかったわ・・・。」
柳川さん、ありがとう。
次回は立会演説会?
を書きたいが・・・?
生徒会選挙編はもうやめたいな・・・。
取り留めつかん。




