60俺は色魔じゃねー
現状維持を貫くため、
登くんは策を弄していきます。
彼女のためにとはいえ、これはSugar Babesへの
裏切り行為です。
日曜日は退屈な時間を耐えて過ごした。まつりと叔母さん夫婦は出かけて行った。1人家に残って、スマホを眺めていた。
不意にスマホが揺れる。
メールの着信。
(昨日は、ありがとうございました。弊社に対してお心遣い、感謝します。今後ともよろしくお引き立てのほどをよろしくお願いします。)
かなからの偽装メール。やっぱり、かなは今の関係を続けていたいのだ。高1の頃のようになりたくないのだろう・・・・・。
月曜日。おれはあることを決心し登校した。
「起立」
「さようなら」
クラス委員の柳川さんの号令の下、放課後が訪れる。俺は、柳川さんをちらっと見る。少し地味だが清楚なショートヘア。ちょうど耳が隠れるくらい。そして、いかにも学級委員が似合う真面目そうな顔。眼鏡をしていればばっちり委員長キャラだ。
(やっぱ、彼女に頼むしかねーな・・・・)
決意を新たに、おれは席を立つ。
「登、対策会議するよ!」
けいが声をかけてきたが、
「あ、わりい、ちょっとまつりを迎えにいかねば、なんねーんだ。」
と断りをいれる。
「え、まつりちゃんを?」
「んだ、中学校に迎えに行って、そのまま、札駅さ行かねばなんねんだ。」
「ふーん。なんで?」
「叔母さんと俺たちで、まつりの進路のこと話さねばなんねのさ」
「ああ、そうなの・・・・・じゃあしかたないわね。」
かなと付き合っているせいか、嘘がうまくなってきたなぁ~。
教室を出て、昇降口へ向かうふりをする。佐藤も鈴木もどうせ4階だが、念のためだ。
1階まで降り、階段横の謎スペースで様子を見る。
周囲に気を配り、人の気配がなくなるのを待つ。
静まり返ったのを見計らい、階段横の謎スペースからそっと顔を出す。
足音にも気を配りながら、普段は使わない階段へ向かう。
知り合いに出会わないよう、慎重に階段を登る。2階の端へと歩みを進める。
2階の1番端、家庭科実習室のとなり。家庭科実習準備室。
周囲を見回し誰もいないことを確認して、俺はその扉をノックした。
コンコン。
「はいどなたですか?」
「あ。すいません。見学希望です。」
というと、
「え、あ、ちょっとまって!」
ガタガタガタ・・バタン、バタン、ピシャ!
あわてて掃除してるような音。
シーーン
「あ、お待たせしました、ど、どうぞ・・・」
ドアノブに手をかけ、静かにひねり、ゆっくりと、ゆっくりとドアを開ける。
「失礼します。」
実習準備室ということで、広さは、PC準備室と同じくらい。しかし、収納棚が壁の両面に設置されており、調理器具やミシンなどが押し込められている。奥の窓辺にはいすに座り、刺繍をしている2人の女子。
そうここは、手芸部の部室なのだ。
『!!!』
二人の女子は驚きの顔で・・・というか、片方はいささか恐怖の色を見せている。
「な、なんであんたが?!」
向かって右側に座る、わがクラスの委員長、柳川さんは、明らかに嫌悪した表情だ。
「そ、そうですよ。なんで!・・・・は、ま、まさか、この部室にあまり人が寄り付かないのをいいことに・・・・・わたしたち二人に、よ、よからぬことを!・・・そうに決まってるわ!!」
と左側の手芸部員Aがいいだす。
「はあ、よからぬこと!ち、ち、違うわ!そんなわけ!」
「いえ、だまされませんわ。2年のゲス男、佐藤のぼる!!」
「はあ、俺は何もして・・」
「う、うっそよ!だって、他校のギャルと半同棲なんでしょ!」
「はあ?」
「それだけじゃないわ、わが校の3大メロンズの九十九先輩と鈴木かなと二股かけてるって
!!」
「え、そうだったの!!登くん、二股かけた相手と一緒に学祭とかしてたの!サイテーね!!」
「いや柳川さん誤解だって・・・」
「転校してきたのも、学祭にきたあの美少女を、に、にんしんさせたから、に、逃げてきた、ってきいてるわよ!!」
そうだったら、たぶん今頃、久世の家で新婚生活おくってるわ。てか、つばさはそれを臨んでるわ。逆の理由でにげてきてるんだってーの。
「わたしたち、手芸部が女子2人だけと知って、その・・・・お、襲いにきたのね!」
「え、のぼるくん。わたし、3Pはちょっと・・・・」
『えっ・・・・』
柳川さんからお下劣な台詞が・・・。俺とAは柳川さんを引いた眼で見てしまう。
「あ、こほん。ご、ごめんなさい。その、やっぱり1人ずつでした方が・・・」
「とにかく!帰って!」
食い気味にAが言った。
無論帰らない。こちらには奥の手がある。
「え、いや~、手芸部部長の柳川さんに、相談があってさ。」
「いやよ、・・・・絶対いや!!・・でも、場所変えて、1人ず・・・」
「だめにきまってるの!!」
Aさん声がでかくなってきたな~。なんせ、柳川が変だからな~。
「いや、真面目な相談だって。柳川さんに。」
「え、そうなの・・・なぁ~んだ」
「がっかりしないの!」
怒られる柳川さんて新鮮だな。
「じゃあ、いいかな、あ、この内容は他言無用でお願いするよ。」
「中身によるわよ。」
「そうね。」
俺は精一杯誠意をもって説明をしたのだが・・・。
「・・・・・・というわけで・・・柳川さんから彼女を口説いてくれないかな?たしか、数少ないご友人と伺っているので。」
彼女たちの前で座り、頭を下げる。
「・・・・それ・・・」
部員Aあらため、手芸部員 来島みのりが眉をひそめる。
「・・・わたしたちにはなんのメリットもないのでは?」
「そんなんことないぞ、来期は部費は増額が期待できる。でも、彼女を口説けなければ、たぶん廃部だよねここ。2人しかいないし。で、その分の予算は俺たちがいただくってことになるよね。」
「まあ、廃部も仕方ないかな、とは思ってたし・・別に・・・」
「ふーん。柳川部長、ほんとにいいんだね・・・」
冷めた目でおれは柳川たちを見る。そして静か立ち、振り返り、部室を見わたす。
「俺たちさ、今年さぁ、夏祭りに店、出したじゃない。」
「は、何の話?」
訝しそうに俺を窺う来島。
「いやぁ~、それで調理器具を調達しに、ここにきたんだよね、な、つ、や、す、み・・・」
『!!』
目を見開くふたり。
「で、棚とかあさってるとき、見つけちゃったんだよね~。」
「えー!!」
「ま、まさか、あれを!!」
「うん、そのまさか・・・・」
俺はいま間違いなく悪い顔をしている。
「っ・・・」
両手をぎゅっと握ってスカートをつかむ柳川部長。
「ああ、ちなみに、俺、持ち帰ってるから。証拠として。」
『え・・・・』
「と、いううわけで俺の話はここまで、じゃ、帰るわ・・・・」
そして、出口に足を踏み出そうとした時
「ま、まって!」
立ち止まり、顔を少しだけ振り返り、柳川さんの顔を横目で見る。
「わ、わかったわ!やってみるわ!・・・もう、しょうがないもん・・・」
いやいやながら受け入れる顔。
あ、ちょっと、かわいいかも。
Sugar BabesとSuper Bellsをそれぞれ裏切るかなと登。
でも、隠れて付き合った上に、仲間を裏切る最悪なカップルです。
最悪なカップルはハッピーエンドかバッドエンドか?
(実はまだ考えてない。)




