57罰当たり?
後ろめたさをもったまま、彼女彼氏って続くものなのか?
女はそれができるんだと思う。根拠はないけど。
じゃ、男は?
カラオケは採点のトータルで争う。僅差で鈴木が勝利。あんの98.5点が最高点だった。負けた佐藤はカラオケ代金を多めに支払うことになった。
「ちぇ、もっと頼んどきゃ、よかった!」
洋子は残念がった。
「じゃ、そろそろお開きにしよ?」
けいが声をかけると、皆帰り支度を始めた。
「つばさ、帰るべ。」
「うん。」
満足気な笑顔が俺の胸に鋭く刺さる。
「おめ、帰り方わかるか?」
「ん。叔母さん、迎えさきてくれんだ!」
御厨先生来てくれんだ。ま、かわいい姪っ子だからな。
「じゃ、おれはこのまま、汽車でかえるわ。」
「うん、したらね。」
そういってカラオケ店を出ると御厨先生の車が停まっていた。
「あ、もうきてた。はえぇなー」
助手席側のパワーウィンドーが開き始める。
「みなさん、無理いって相手してもらってごめんなさいね。」
「いえ、楽しかったです。」
亮が眼鏡を直しながら返事する。
「登さんもありがとう。乗ってく?」
「いや。えーわ。みんなといくわ。」
「登も一緒に乗ればいいっしょ!」
とつばさは俺の手を引く。
「いや・・・、ちょっと寄りたいところもあるから・・・・ごめん。」
「んだか・・・したら、またこんど。みんなもまた、あそぼうね!」
「ああ」「またね」「きっとね」「したらね~」
佐藤と鈴木は口々に声をかけていた。
「じゃあ、わたしたち、地下鉄だから、またね、登!」
けいがリーダーとしてか、代表してあいさつしてくれた。
「ああ。また・・・」
そう言って佐藤と鈴木が地下へ降りていく姿を見送った。
かなは、地下への入口にまさに踏み込む刹那、俺の方をちらりと見た。あわてて、目線を外した。
後ろめたさのせいだろうか。かなを見ることができなかった。
気持ちの乗らないまま、就寝した翌日。
メールが入った。
お客様のご注文の品、こちらの店舗でお取り置きしております。
札幌市k区新ktn〇条○丁目O-O
呼び出しだ。地図アプリで住所を検索する。え・・・・ここで会うのはリスクが大きいのでは・・・・。誰かに見つかる可能性も・・・・。今日は着替えも持ってない。
でも・・・。会わなきゃ・・・。だって、彼女からの呼び出しだ。
JR北海道のGKTS線。SKTN駅で下車。ここは地下鉄とASB駅との接続駅。かなは、地下鉄ASBまで来てるのだろう。ただ、JRは地下鉄と違って電車の本数が少ない。地下鉄駅からは若干遠いとはいえ、かなはもう着いてるだろう。
SKTN駅を西側から出ると、目を引くのはk区体育館。体育館を横目に見つつ、ほんのちょっと歩くとSKTN神社につく。かなの指定した場所はここだ。片側2車線の大きな道路沿いに神社の木々が見えてくる。なんだか不安になり、急ぎ足で横断歩道を渡る。入口にそびえる鳥居の前に立つ。夕暮れのせいか、鳥居から延びる参道は、とてもうす暗い気がした。悪戯な神に試されているような気がする。参道にかなの姿は見えない。境内で待ってるのだろう。意を決して、参道を本殿へと進む。右手に手水が目に入った。花手水だ。花手水の向こう側、手水の屋根を支える柱。そこにもたれかかっている少女がいた。花手水の花の鮮やかさと相まって少女の姿は幻想的でさえあった。
息を飲み込み、見とれてしまった。
ほんの2,3秒だと思うが、神々しいくらいの姿に時間の流れが遅くなった気がした。
「あ、遅~い!」
俺の姿をみたかなは、悪戯っぽく笑いながら、近づいてきた。
「しゃーねーべ。JRはすくねーし。」
「じゃ、ここまで御厨先生に言って、おくってもらえばよかったのに。」
そう言って首の後ろに手をかけ、まっすぐに俺の目をみて。
「できるわけねーべ。つばさにばれたら・・・俺もかなもただですまねー。」
「ふふ、冗談よ」
「わかってる・・・」
でもきっと、本当はつばさに知らせたいんだろ。そして、すっきりしたいんだろう。
かなから、目をそらせて、足元の地面を見る。
「・・・・ごめん・・・・」
呟くように言うと、
「ううん。いいの、わたしがそうするって決めたんだから。」
そう言ってかなは首の後ろの手をほどき、俺の胸にすがってきた。でも、抱きしめられない。そんな資格が俺にはない。
「でも、やっぱり、つばさちゃんと手をつないでる姿を見ると・・・ざわざわするわ・・・」
「・・・・」
何も言えなくなる。
「でも、我慢する。そのかわり、今、つばさちゃん以上のことをしてくれる?」
潤んだ瞳でかなは俺を見つている。
もちろんかなの望みはわかる。
「わたしが好きなら・・・・」
おれは、かなを見つめなおすと、ゆっくり口づけする。
神様は俺たちのことをどう思うんだろう。
罰当たりと思うのだろうか?
唇をそっと放すと。恥ずかしそうに、でも、なにか満足気な笑顔をかなはしていた。
おれはどんな顔をしていいかわからなかった。
ごめんなさい。
なんか、話が暗いなあ・・・・・。
でも主人公とヒロインが、ま、ちょっとアレなんで・・・。
しょうがないか。




