㊾帰省・寄生・既成 その11
ゆりねえとの因縁話は一段落。
でも、函館にはもちろん、あの白い爆弾が!
さあ、白い爆弾の時限装置がスイッチオンです。
なぜこうなった・・・・・・。
「お兄が・・・軽率だからだべ・・・」
「いや、おめさ俺の心中を察するな・・・」
「かおさ、でてるよ・・・」
俺たちは・・・早朝、久世家に拉致された。
昨日の説教の後なんとか帰ってきたのだが・・・。
一夜開けて、朝の6時につばさがやってきた。
「登くーん」
「あら、つ、つばさちゃんじゃない・・・・」
母が出たが、微妙な顔をしている。なんせ俺が奥地(札幌)に行ったのは、つばさが原因だからな。しかし、久世の家とは古くからの付き合い。無下にもできない。
「の、のぼるはまだ寝てるんだけど・・・・」
「ああ、じゃあ、私が起こしてきますね、お義母さま!」
「っひ!あの、おかあさまじゃなくて、普通におばさんでいいのよ・・・・」
「え、だって、私の婚約者の母ですから・・・」
「・・・・私が起こしてくるからまっててね・・・・」
そういうと母は俺の部屋へにやってきた。
「どいうこと・・・つばさちゃんさ来たんだけど!あんた、連絡したの?」
「いや、俺じゃね。俺の関係者から帰省がもれた。」
「高校ばれたから心配してたけど・・・どうすんの?おめ?」
「いや、どうすんもこうすんもねーべ。ばれたら行くしかねーべな。」
「・・・・あんた、まだ結婚できる年さ、なってないべ?くれぐれも、だらしねぇ真似だけしたらだめ!わかってんな・・・」
「・・・・うん?・・・・だらしねーこと?」
「わらすさ、つくったりすんなってこと!!」
「それはねーど!!ぜったい!!」
「いや、おめはほんと、ほんつけねーから・・・」
「いや、それくらいのほんつけあるは!!」
「・・・・ま、甲斐性なしのおめに、そんな心配いらねっか。」
「・・・・」
「さ、はよ、したくせ」
「ああ・・・」
その時階下で声が響いた。
「えー、な、なんで!!つばさちゃんが!!」
まつりが、つばさとはちあわせたのだ。
俺と母は急いで階段を下り玄関へ。
「おかあさま、まつりちゃんも一緒に行きたいとおっしゃてるので・・・」
「いんや、まつりは別に行かんでも・・・」
「んだんだ。」
「いんや、ぜひ、いきてーって言ってるべ、なあ、まつりちゃん?」
鋭い目線が俺たちを射貫く。
「・・・、あ、じゃあ、わたしもおじゃまさせてもらうわ・・・」
俺たち兄妹は、朝から拉致された。
そうして、俺たちは久世の家に連れてこられたのだが・・・・。すぐに道場へ案内された。
「すわれ。」
黙って座ると・・・
「違う二人とも、正座!」
『ひっ、はい』
兄妹そろって正座。
なんでこうなった・・・。
「で、登、なんで帰ってくんの黙ってた?」
仁王立ちで俺を見据えるつばさ。
「いや、その・・・急な帰省だったし、おめとは連絡とらないことになってたべ?」
「んだ。わかっとるわ。でもな、もう、学校もわかったし、こないだもう会ったんだから、一言連絡さいれれるべ!」
「・・・・・ごめん、悪かった・・・・」
と、おれが謝ると
「お兄、なして、謝る・・・別に謝ることでねーべさ・・・」
とまつりが耳打ちしてくる。
「お兄がそったら感じだから、つばさちゃんとずるずるつづくんだで・・・」
「それから、まつり!」
「え、ひゃい・・・」
「なして、るみが同じ高校さ通ってるんだ?おめが教えたんだべ?おめしかいねえもんな?」
「いや、はい、その・・・つい世間話のついでで・・・」
「おめ、るみとは仲良かったもんな・・・義理の妹が・・・どろぼう猫の片棒担ぐなんて・・・覚悟できてるんだべな?」
「ひぃぃ。ごめんなさい!・・・でも、わたし、るみちゃんと友だちだし・・・」
「はぁ~。おめさは、わたしの義理の妹さなるんだべ?義姉の味方させねば、だめだべ・・・・」
「いや、まだそうなるとは・・・・」
と俺が口を挟むのがいけなかった・・・
「はあ、おめさがそんなだからでねーか!婚約者の自覚あるのか!!」
ドンと床を踏むつばさ。
「おめたち、今日は、じっくりと、久世の家で楽しむべ、な?・・・・」
『え・・・・』
俺たち2人は絶句した。
「ふふふ。今日はなうちの両親も、源じいも、いねーのさ。大会があって、昨日から青森さいってるべ。この家にいるのは、わたしたちだけだぁ~」
にやりと笑うつばさ。背筋がぞくっとするとはこういうことをいうのだろう・・・。
「御厨に助けてもらう気だったんだべー、残念だったなぁ~。ほほほほお~」
とつばさは高らかに笑った・・・。
「で、のぼる、奥地(札幌)のおなごさ、手だしてねぇべな?」
「は?」
「・・・その、なんだ、彼女ていうか・・男女の親しい交際ていうか・・・・」
「つばさちゃん?なにがいいたいの?」
まつりがたまらず尋ねる。
「・・・し、してーべな・・・・その・・・キ、キスとか、そ、それ以上の・・・・あれだ・・・・」
つばさの顔がみるみる赤っくなっていく。
「はあ、なにいってるおめは!そんなことしてるわけねーべ!おれがそったら、だらしねー男に見えるか!」
「ばか・・・うそでもしたっいえばいいのに・・・・」
とまつりは小さな声で言ったが、後のまつりだ。
とたんに、つばさの顔がぱああと明るくなって
「そっかー!そうだべな!!都会のおなごはやらしいから、おめがコロッと落とされてしまうかと思ったけど、そんなことなかったかぁ~。じゃ、やっぱ、うちと結ばれるべ~!!じゃ、まつりちゃんは帰っていいよ。」
「あ、で、でも・・・」
「こっから先は、中学生はついてこれねーことだからな?わかってるべ?」
そういうとつばさはまつりの耳元まで近づき、「おめさも、叔母さんになるんだ、わかるべ?」
と囁く。
「え、は、はあ~、ちょ、ちょっと・・・・・、ね、朝!、まだ朝!!、いや、そうじゃなくてー」
顔を真っ赤にして取り乱すまつり。
「おめさも、かわいい姪っ子か甥っ子、ほしいべ、だからな、いい子は帰ろうな~」
「ま、まだいらねっから。まだー」
そういうと、まつりから離れ、立ち上がると恥ずかしそうに俺の方に顔を向け、
「じゃ、帰ってねまつりちゃん。さ、の、のぼる、し、したら、うちの部屋さいくべ・・・・」
つばさは俺の手をとると立つように促した。
どうする。このままだと、帰省して、既成事実ができて、寄生される。つばさは既成事実ができたことで、札幌までついてくるだろう。そのまま、同棲するまでが計画に違いない。既成事実ができれば、久世の家も佐藤の家も黙認するに違いない・・・。
い、いやだ・・・。つばさは嫌いじゃない。見た目だけなら、かなりかわいい。でも、いやだ。つばさと一緒になると一生寄生されるんだ。俺は、まだまだ、自由でいたい。ここで人生を決めたくない。昔の取り決めなんかで、人生を決められたくない。俺の未来は俺が決めたい。
「さあ、いこう?のぼる」
「お兄ぃ・・・・」
心配そうに俺の方をうかがうまつり。
「あ、いや、でも、つばさ、その、ま、まだ心の準備というか・・・・、なあ、まずいだろそれ・・・」
「許婚なんだし、早くはないっしょ・・・おなごに恥さかかせねーでけれ・・・・」
頬をピンクに染めるつばさ。そのかわいさといじらしさに俺の心もぐらつく。つばさも未来の選択肢の一つではあるのだ。そう、自覚してしまう。
ああ、もうこのまま流れにまかせて・・・・。
その時だ。
ガラララ、
道場の引き戸が開け放たれた。
「いけません!不純異性交遊は!」
「み、御厨先生!」
まあ、帰省したら、当然
許婚は黙ってないでしょうね。
だって、許婚だもん。
いいよね。許婚。その言葉の響きが。




