㊽帰省・寄生・既成 その10
ゆりねえと登の関係は、まあ、フツーの幼馴染ですね。
結局、佐藤、鈴木、いつものメンツ全員函館集合です。
函館旧市街に久しぶりに行きてぇなー。
五稜郭電停。路面電車の停車場は、名前とは裏腹に。五稜郭自体からは少々離れている。ちなみにJR五稜郭駅は、もう、「五稜郭」と名乗ってはいけないくらい離れている。観光で訪れの際はご注意を・・・。
俺たちは全員、市電(路面電車)に乗っていた。HKの市電は老朽化が進んでいる。揺れと車内の音が結構する。札幌の市電と比べるとだが。でも、このゆれ具合と加速するときのゴォゥーンという音。それがなんとも心地よい。うとうとしかけたとき、
「なに寝ようとしてんの?」
吊り革につかまって、俺の目の前に立っているけいが目を細め斜に構え、睨んでくる。
「え、疲れたし・・・ちょっと寝ようかなと・・・」
「いいわけないでしょ、あんたたち4人には、これから、色々聞かせてもらいたいし。」
と、けいの隣に立つ洋子にも言われる。
「そうよね、わたしたちに黙って旅行に行くなんて・・・」
「いや、ただの帰省だし・・・・」
「じゃあさ、」
反対隣の貴が口を挟んできた。
「帰省するって、ラインで教えてくれてもいいじゃないかい?」
「・・・・・・」
黙り込んでしまった。後ろめたさが、おれの中にあるのがわかる。貴は続ける。
「亮もはじめも、もう気にしてないさ。ちょっとした悪戯なんだから。いつまでもすねるなんて、登らしくない。」
「・・・あ、んだな・・・俺らしくもねかったな・・・」
「でも・・・」
ふふっと微笑貴。
「ちょっとうれしいよ。すねるくらい、登にとって、このグループは大事なんだってわかって。」
「・・・うっ・・・」
面映ゆい。顔が熱くなってきたのがわかる。
「で、俺が帰省してるの誰に聞いた?」
「・・・・ひみつ・・・・」
洋子はしずかに呟くようにいった。
大町の電停。俺たち13名はおりた。るみを先頭にして歩く。
「ところで、おめたちは、どこさとまってるんだ?」
るみは振り返って尋ねた。
「きまってないの!」
けいはにっこり笑って答えた。
「え、まさか、おめたちは・・・」
ひきつった顔を見せるるみ
「そうよ~、るみさんの家に泊めてもらおうとおもって~」
そう洋子が言うと、みな満面の笑み浮かべた。
「・・・・・え・・・・」
どんより曇るるみの顔。そりゃそうだ2人や3人ならともかく、10人以上も泊めるのはさすがに・・・。
「・・・あ、あのつばさちゃんちは・・・」
「はあ、なんで縁もゆかりもね、しかも、この前難癖付けてきた奴ら、泊めねばなんねんだ?」
「だ、だよね・・・」
るみの家に着くと、みな、リビングにへたり込んんだ。
「はぁ~、マジたいへん。ついた早々ヤンキーの相手って~」
と真一。
「ま、けっこう楽しかったじゃん?」
あんはクククっと笑った。
「で、本城さん、のぼるとどんな関係なんですか?」
亮がいきなり、本題に切り込んだ。
「・・・え、と、その・・・・れ、れん・・・しゅう、あいて。」
『?』
「その、技の練習相手だったの!」
「あ~プロレスのだろ?実は俺も登に頼んで練習相手をしてもらっていたからな。登のアドバイスでづいぶん上手くなったからな。」
裕一が合点がいった顔をした。
そう、俺と裕一が出会ったのは図書館だが、親しくなったのはプロレスと格闘技だ。裕一が公園で練習しているところをたまたま見て、声をかけたら、練習相手を頼まれた。
「そうなんだ。ゆりねえは、格闘技やプロレスが大好きなんだ。でもなかなか、実践できないでいた。」
俺はしかたなく、説明をする。
「じゃ、時折お兄の部屋に行ってたのは・・・」
「うん、技の研究よ。いろいろためさせてもらったわ。一度ほんとに落としちゃって・・・」
「うん。しばらく気を失ってたべ。ゆりねえ、ひでーんだ。そのまま放置して、けえるんだぜ。」
「いや・・・どっしたらいいかわかんなくて・・・でも、息はしてたし。いいかなって。」
『・・・・』
皆あっけにとられている。
「で、趣味が高じて、あっちでほんとにデビューしちゃった。」
「うん、うん、タイガーリリー。覆面女子レスラー。華麗な空中殺法、そして、多彩な技の数々。わずか一年の活躍でしたが衝撃的でした!。休養宣言は、かなりショックでした!」
裕一がここぞとばかりに話を始める。
「えへ、ちょっと単位が危なくなって・・・」
「ああ、・・・ま、虐待ってわけじゃ・・・・でもこれも虐待?なの?」
腑に落ちない顔でりおが言う。
「でも、よく、体がもちましたね?登さん。もしかして・・・Ⅿなの?」
かなは何とも言えない顔をした。
「いや、ちがう!」
「え、じゃあ、なして、いいなりになってた?」
るみが核心をつく。
「・・・えっと・・・お、俺も格闘技好きだから・・・・」
「うそだ~、お兄が格闘技の話ししてるの見たことねー」
「いや、ほ、ほんとだってば・・・・」
『・・・・・・』
いえない。ゆりねえと密着してるのがよかったとは。ゆりねえの、やわらかい感触。背中に感じる双丘。あれほど刺激的なスキンシップはない・・・。
「あ・・・、そうゆうこと・・・・」
はっとしたりおが、俺を殺人者の目で睨んできた。
「え、」
ドキリとする。
「なに、なに?・・・なんもないひょ」
かんだ。動揺が出てしまった。
「そっか、どおりで、わたしになびかねーわけだ」
つばさが手をぎゅっと握り、顔を真っ赤にしている。
『・・・・・』
沈黙がリビングを支配する。
「あ、のぼる・・・なんども言うが・・・お前は顔に出る。・・・なんか・・・わかりやすいんだぞ。」
亮がすまなそうに告げる。
「え、いや・・・その・・・・・」
「え、なに?どういうこと?」
気がついてないのはゆりねえだけだった・・・。
おれは3人+つばさに別室に連れていかれた。
4人がかりで責め立てられ、おれは、完全に精神的に疲れきっていた。リビングに戻るとおれは倒れこんだ。
すると男子たちが俺のところへあつまってきた。
「いや、登、気持ちは痛いほどわかるぞ・・・」
はじめが耳打ちする。
「あんなかわいい、美人な幼馴染にいろいろされたら・・・」
亮もこっそり告げる。
「いいなりになるよね~・・・」
真一も。
「でも、それは悟られてはいけないんだよ、登・・」
貴が冷静に締めくくった。
ついでに彼らの後ろに立っているけい、洋子、あん、九十九先輩の冷めた表情もまた、この話の締めくくりにふさわしいものだった・・・。
佐藤と鈴木の男子組は、全員正座させられたうえ、女子からの説教を小一時間聞かされた。
まつりとゆりねえは早々に帰宅した・・・・。
ほんとは、ゆりねえと登くんはそういう関係(大人な関係)
にして、もっとどろどろした展開にしようとして、
やっぱりやめました。(実は、途中まで書いた)
なんか違うなって。泣く泣く没にして、裕一活躍!
にしました。




