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㊶帰省・寄生・既成 その3

特急北斗の話です。

あ、鉄オタじゃないので、そういう記述はないです。

以前あった振り子特急スーパー北斗はよかったなぁ~。

早くて。

 平日とはいえ、札駅は人が多かった。夏休みということで、家族連れが目立っている。

「お兄、飲み物買おう。」

ホームの自動販売機の前でまつりは俺の手を引いて言う。

「んだな、おめ、なにがええ?」

「ポカリ!」

「そっか、じゃ、俺はコーラにするべ。」

小銭を入れ、ボタンを押す。ガラガラ,ガッコン。ペットボトルが勢いよく落ちてくる。搬出口に手を伸ばし、ポカリを手に取ると、ひんやりとした感じが心地よい。北海道も夏場はかなり暑い。いや暑くなってきた。気候変動、温暖化の影響だろうか。夏場のホームは蒸し風呂のようだった。

「ね、早く乗っちゃおう。暑いよ。」

「んだな。乗っちまうべ。」

特急は指定席なので、特に急ぐ必要はないが、ホームにいるのはかなりいやだ。俺たちはすでに待ち構えていた特急列車に乗り込んだ。車内は空調が効いていて、快適だった。

「・・・えっと、・・・あ、まつりここだ。」

「お兄、窓際じゃなくていいの?」

「ああ。まつりが窓際さのれ。」

「あんがと」

二人並んで席に座る。まつりはスマホをいじりだした。耳にはコードレスイヤフォン。4時間ある列車の旅を満喫するつもりだろう。俺は、まつりの横顔ごしに、窓を眺める。ホーム行きかう人々が、水族館の魚のようでおもしろい。ぼんやりと眺めていると・・・。窓の目の前を、3人の女子さっと横切っていった。

「え?」

思わず俺は声をあげた。

「ん?なしたのお兄?」

横目で俺を見る。まつり。

「あ、いや、なんでもない。知り合いがいた気がしたからさ・・・」

「ふーん。友だち?」

「え、あ、いや、知り合いだよ。でも・・・まさか、な。気のせいだろきっと・・・」

「そうだよ。まさか、知り合いがいるわけないよ。」

スマホの画面から目を離さずにまつりはいうのだった。


「まもなく、Hk行き、スーパーHT4号は出発いたします。」


車内アナウンスが流れ、車両のドアが閉まる音がする。

ガッコン。軽い衝撃とともに、特急列車が動きだした。約4時間ちょっとの列車の旅が始まった。



「ちょっと、何号車?」

「えっとたしか3号車?だったべか?」

「ちょー、あーし飲み物かいたーい!」

女3人寄ればかしましい、ではないが、あの2人さ感づかれたの運のつき。なんたかんた、ついてきた。しかも予約席をいったんキャンセルさせられ、3人で座れるように、また取り直したのだ。「目を離したら、また、こそこそ何かするつもりだろう!」というかなとりおの疑念が勝ったのだ。

「あ、ここだここだ。」

すると、二人は席を回転させ、ボックスシートのように対面させた。

「え、ちょっと、まって。そっちは2人とも知り合い同士の席だからええけど・・・・私のとなりさ、誰か来たらどうすんだぁ?」

「一緒にたのしくしたら、いいんじゃなーい。」

あっけらかんとりおは言うが・・・もしおじさんとかご老人がきたらどうする気なんだべか?

ガタン。軽い衝撃があり、列車が出発した。

「だれも来ませんでしたね。」

クスリとかなは笑う。

「ラッキー、楽しんじゃおう!!」

りおはいつもの笑顔を見せる。笑顔がとても魅力的な人だ。あらためてそう思う。私やかなとは違うとびっきりの明るさ。やけどしそうな、はじけるオーラ。あ、いまわかった。あの日、夏祭りのお泊りに、りおをさそわなかった理由。怖いんだ。この明るさや人を簡単にひきつけるオーラが。かなはなんとなくわかりあえる。どこか私とにてるところがあるから。でも、りおは違う。あまりに陽キャ感が滲みでてくる。自分にないものをすべて持ってる気がする。一緒にいると、気持ちが打ちのめされる。

「ほい、るみっち。」

ポッキーを差し出してきた。

「ありがと。でも、りお、だれか、途中で乗ってくるかもよ。」

「そん時はそん時だって!」

かなは車窓を眺めている。素敵な人だ。凛々しい横顔がほんとに美しい。登がドキドキすんのもしかたね。加えてその目立つ胸。同性でも目についてしまう。ちらりと自分の胸元を見てみた。うん、負けてねー。胸は負けてねーべ。

「ね、Hkのいいところたくさん教えてね!るみっち!!」

屈託ない笑顔。こぼれる笑顔ってこいうのをいうんだろうなぁ。

「あ、るみさん、わたし、まだ夜景見たことないの。お願いできる?」

「・・・おめたち、観光さ行くのか?のぼるのことは?」

「ま、ま、それはそれ。せっかく行くんだもん。楽しみたいじゃん。」

「そうね。はっきり言うと・・・こんなことでもない限り、行くことないもんね。」

「・・・・・ま、おめたちはそうだべなぁ~」

札幌からHkまで特急で約4時間ちょい。車で4時間半から5時間。ちょっと日帰りでってわけにはいかない。まあ、飛行機使えば別だが、高くつく。

あたしや登は、やっぱ、故郷はHkだからな。帰りたいと思うし、実際に帰る機会は多い。川汲はあまり行きたくねぇけど。

「え、もう千歳?はやいじゃん!」

3人でHkで行きたいところや、したいこと色々話しているうちあっという間に千歳についた。

「ねえ、お昼買わなかったけど、いいの?」

「うん、どーすんの」

「しんぱいね。長万部でカニめし積み込んで、車内販売するはずだ。それくうべ」

「かにめし?」

「聞いたことあるけど・・・食べたことないんだけど~」

「あ、おめたち、かなやのかにめし食ったことねえのか!北海道さ住んでて・・・」

二人ともうなずく。

「はぁ~・・・・・これだから奥地の連中は・・・。ま、たのしみにして待っとれ。」

わたしが呆れていると、

「あ、あの~、ここわたしの席であってますか?」

1人の女性がわたしの隣、通路側の席を指さしていた。

「あ、え、はい、多分そうです。すいません。ど、どうぞ。」

「あ、すいません。荷物おいちゃって・・・すぐどけますから・・・。」

りおはあわてておやつの満載のとーとバッグをどかした。

「じゃあ、座席ももどしますから。」

かなはボックスシートのように対面にしていた座席をもどそうと立ち上がったが

「あ、いいですよ。このままで。気になりませんよ。そのかわりわたしも混ぜてくれないかしら?」

「あ、・・・い、いいですけど・・・あずましくねんじゃ・・・・」

わたしははっとして口をおさえた。思わず訛りがでたしまった。もう仲間内ではHk弁のまま話してしまっていたので、自然に出てしまった・・・・。はずかしいべ。

「あの、そのしゃべり方、失礼ですけど、あなたもHkのかた?」

「え、お、お姉さんも?」

「んだ、んだ。うちもHkさ。これから実家さかえるところさぁ」

「んだか~、うちも実家さいくの。お姉さんHkのどこ?」

「田家さ。」

「うちは弥生坂」

「あれー、旧市街でねっか。いいとこさ住んでるね~」

「いんや、年よりしかすんでねんだ。死んだ町だ」

「またまた。じゃ、荷物さたなぐから、ちょっとまっててな」

「ん」

『・・・・・・』

ネイティブなHk弁の会話が始まり、りおとかなはついて来れないようだった・・・。




 古くなってきた特急北斗の車両はいささかガタつくのと風切り音が耳につく。しかし、心地いい振動で俺は寝入ってしまった。

「お兄、かにめし!」

俺は目をこすりながら起きた。

「あ・・・・もう長万部さついたのか~?」

「いんや、もう過ぎた。もうすぐ売りに来るっしょ。かにめし。」

「んだな。じゃ、昼にするべ。」

まもなく、車内販売がきたので、それをかい、昼飯にした。



「え、うまー!」

「へー、かにがいちめんに散らしてあるんだ。」

りおとかなは目を丸くして口にかにめしをほうりこんでいた。

「おめたち、ほんとにくったことねかったんだ・・・・。」

「ま、札幌の人はしょうがないわ~。わたしたちにはかんがえられないけども。」

千歳から乗ってきた女の人、本城百合子さんはわたしたちの3つ上。大学2年生だそうだ。内地(本州)の大学に進学したので、新千歳空港から特急で帰省するとのこと。年上だけど気さくでわたしたちともすぐ仲良くなった。

「あっちの暑さは想像以上!いや、クーラーなしでいきてけねんだ~」

「え、いやでも、近頃は北海道も暑くて・・うちはとうとう、エアコンつけたのよ」

「あ、りおんちも?うちは、マンションだったから最初からついてんだけど」

「え、すげーなー。うちはまだ扇風機でがんばってんだ~」

内地の話やHkの話で大いに盛り上がる。女4人のボックス席。いささかうるさいかもとおもったが、平日のせいか、車内はすいている。そうこうしていると、

「あ、るみちゃん、駒ヶ岳さ見えた!」

百合子さんが嬉しそうに指をさした

「あ、ほんとだ~。Hkさもうすこしだ~」

わたしも身を乗り出して見つめた。

『?』

りおとかなはぽかんとしている。

「あ、ごめんなさいね、駒ケ岳が見えると、ああHkさあと少しだ、かえってきなぁ、Hkの人は思うのさ」

「んださ~」

わたしも力強くうなづく。駒ケ岳は道しるべみたいなもんだ。森町まで来たんだ。あと少しだ。そういう気持ちになる。


「お兄、駒ケ岳さ見えたよ。」

「んだなあぁ~。あと少しだべ。」

「大沼こえれば、Hkだね。」

「んだ。」

駒ケ岳を車窓からの臨むと、「ああ、帰ってきたなぁ。」という気になる。Hkへの道しるべだ。故郷まであと少し。俺は静かに目を閉じまた、寝ることにした。

「お兄、また寝るんだ。よく寝れるねそんなに。」

疲れたてるんだよ。からだというより、気持ちが。高2になって、あまりにもいろいろなことがあったから・・・。




「次はHk、Hk。終点Hkです。降り口は・・・」

車内アナウンスで、俺は目を開けた。

「お兄つくよ。」

「あ、おう。」

俺は体を心持ち起こすと、頭上の棚から荷物をおろし始めた。




「あんまり楽しくて、すっかりおだってまったね!」

本城百合子さんは笑みをたたえていた。

「んださ~。4時間なんてあっというまだぁ~」

わたしも笑顔で返した。

「ほんとね、百合子さんってとっても楽しい方なんですね。」

「ほんとー、また、会いたいでーす!」

かなもりおも上機嫌だ。

「さ、Hkさついたよ。おりましょう」

手に大荷物をもって百合子さんは席を立った。

『はーい』

列車を下り、ホームに立つと、ほのかに潮の香がする。わたしが幼いころから知っている香り。Hkは周囲をぐるりと海に囲まれている町。札幌あたりとは町の匂いが違う。懐かしくて、でも、ちょっと物悲しい。においとともに、この町での思い出が走馬灯のように思い出されるから。

長いホームから改札口へと歩く。けっこう歩くのがつらい。改札を抜けると、近代的になった、Hk駅の構内。

「じゃあ、わたしは田家なんで、ここでお別れだね」

「あ、百合子さん、ここにいる間また、会えませんか?」

かなが代表するかのように尋ねた。

「もちろんいいわよ、ライン頂戴ね!」

「はい、かならず!」

返事をしたその刹那、


「あ、ゆ、ゆりねえ?」


ふいに背中から、よく知った声がした。

4時間の旅を何とか一話にまとめたので、

ちょっと記述が長かった・・・。

で、本城さんを登場。

詳細は次回。

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