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㊳祭りは夜が本番です!

町内会の祭りの開始!

もろもろ、たぶん解決するに違いない。

たぶんね・・・。

 今回は公園での開催なので、お化け屋敷は無理。そこで、俺たちが考えたのがお化けコスプレの屋台。焼き物中心にして、妖怪やお化けのコスプレをしたウエイトレスを配置した。着くずした着物に赤い血を顔に描いたかなにけい。子どもも来るのであまり怖くはしないでかわいい感じで仕上げている。というか、着崩した着物がちょい露出多めなので、やばい。目が吸い寄せられる。猫娘らしいケモ耳をつけ、猫の手の手袋をする。九十九先輩。赤いワンピースが鮮やかだ。でもワンピースの腰部分が結構絞られるているので、胸が強調されている。いつもより。かなり。どうしても目がそちらに向いてしまう。


ポカン!


後頭部をたたかれる。

振り向くと、るみ。ジトっと睨んでいる。手には擂粉木。

「おめ、なに、ボーとしてる。さっさと、いが(いか)さばけや!」

「ごめんごめん。ま、そう、せかすな。(いそがすな)」

「豚くし3人前お願い!」

赤い絵の具でところどころ染められたナースコスをした洋子がオーダーを通す。

「オッケー!」

焼き鳥担当のはじめが答える。はじめの顔には笑みがこぼれている。ふと、洋子の顔をみると、同じように笑みを浮かべていた。なんだ・・・。そうゆうこと。言葉はいらねんだな。ほんとの幼馴染ってやつには。


ボカッ

「いって!」

さっきより強めの衝撃が後頭部を襲った。振り向くとるみ。

「おめ!はやぐ、いが(いか)やけや!」

「せぐなって!(いそがすな!)」

俺は焼き台に串に刺したいかを4はい並べた。焼きダレを塗り、ひっくり返す。香ばしいにおいがあたりに漂う。焼き上がったら透明なパックに詰め、輪ゴムをかける。

「りおー、できたよー!」

るみが大声で呼ぶ。化け猫コスのりおが、こちらに向かってきた。化け猫とはいえ、九十九先輩の猫娘と大差ない。服が獣柄のワンピースってところだけだ。りおは俺からパックを受け取ると。


ぱしん


猫の手手袋で頭頂部をたたかれた。

肉球状になってるので痛くはない。

「な、なに?」

「え、決まってるじゃん!目線がエロい!」

う、ばれてる。

「かなと九十九先輩の胸元、目で追いすぎ。」

「ご、ごめん・・・気を付ける・・・。」

「まあ、いいけどさ。ほどほどにね。あ、私をじっくり見るのは全然OKだよ!」

といってりおはスカートを捲り始めた。きめの細かさがわかる白い肌が、太ももからあふれている。思わず凝視してしまう。


スパンっ



鋭い面打ちが後頭部に炸裂する。

「・・・・」

あまりの痛さに声も出なかった。

「はんかくせーなぁー。なにこったらおなごにからかわれてんだ。早く仕事せ!!」

「・・・・いが、・・・・持ってきてけれ・・・」


仮装ほぼコスプレだがした店員がいるのと、座って食べられるので、休憩しつつ何か食べる客がひっきりなしに来る。子どもから、コスプレ目当ての男子中高生までかなりの集客だ。


「疲れたでしょ、登さん。休憩して。」

伊藤まいが額の汗を拭きつつ俺に告げた。でも焼きそばを作る手は止めない。

「いや、全然大丈夫だよ。」

いかの皮をむきながら答えると、

「いいから、休憩して。ね・・・」

と目線で訴えてくる。彼女の目線を追うと・・・あ・・・けい、休憩か。俺に話てこい、ってことか・・・。ふとあたりを見回すと・・・あ、洋子も・・・・。俺にきちんと話してこいってことか・・・・。


「じゃあ、悪いけど、休憩するわ。るみ、しばらく頼む。」

焼き鳥を焼きつつ俺のほうをちらっと見る。

「・・・す(し)っかたねっ。そのかわり、ちゃんとせえよ。・・・わ、・・・、ここさ、あずましいから・・」

最後のほうは消え入りそうな声。

「ああ・・・」

俺は力なく言うのが精いっぱい。だって、けいと洋子に納得してもらえるか・・・正直自信はない。むしろ

二人がかりでつるし上げられる気もする。


とっぷりと日の暮れた、中央公園。屋台が並ぶ遊歩道から少し離れると、野球場がある。結構立派な野球場でベンチには簡単な屋根もあつらえてある。けいと洋子は一塁側のベンチに腰をかけた。俺も続いたが、座らずに前に回り込み、彼女たちの目の前に立った。けいは無言で、缶コーラを差し出してきた。おれも無言で受け取るとすぐにプルタブを開けた。洋子はうつむき加減で黙ってミニペットボトルのオレンジジュースを飲んでいる。

「ねえ・・・」

口火を切ったのは、けいだった。

「伊藤さんを引き込んだのは・・・登だよね?」

「ああ。そうだ。」

おれはぶっきらぼうに答え、コーラに口をつけた。

「・・・・やっぱりね・・・そう思ったよ。」

うつむいていた洋子の目は俺を通り越して、夜空を見上げている。

「・・・やられたなぁ~。まさか、はじめまで、あんたの方につくとは思ってなかったから。」

「いや、別に俺の仲間ってわけじゃ・・・とくになにも相談してないし・・・・」

俺は口ごもってしまう。ほんとは対策会議を開いて相談していた。でも、それは言えない。言ってはいけない。

「・・・・う、そ・・・」

消え入りそうな声で洋子は呟いた。

「・・はじめは、自分から・・・・こんなことはしない。・・・そんな、決断力・・・ない・・・それができたら・・・・はじめがリーダーよ・・・」

小さなかき消されそうな声だけど、その言葉は俺の胸につきささった。そうか・・・・はじめが言っていた「わかってないだろう?」というのはこういうことか。はじめにあって、洋子にないもの。洋子にあってはじめにないもの。彼らは比翼の鳥。2人そろってないと力が発揮できないんだ。

「・・・でもいいよね・・・洋子の隣にははじめがいて。わたしには・・・」

けいは深紫に染まった空を見上げながら呟く。

「わたしにはいなかった。いつも一緒にいる相棒が・・・・。」

「いいじゃない。毎日、みんなにちやほやされて。」

洋子が地面に向かってささやくと

「ちやほやされるだけ。友だちとよべるひとは・・・。」

けいの目はうっすら潤んでいるように見えた。

「じゃあ、今の仲間を・・・友だちを大事にしなきゃ。ね・・・。」

洋子は、ふいに顔をあげ、力強い目をけいに向け、言った。

「・・・うん、そうね・・・その通り・・・」

けいは潤んだ眼をそのままに、微笑みながら洋子答えた。

二人の様子を見て、多分今回のことは納得したんだろう、と俺は思った。

「じゃあ、おれはもどるよ。」

そういって振り返ろうとした刹那、

「いや、ちょっと!」

洋子が俺を引き留めた。

「今回のことはわたしたちが確かに悪かった。」

けいと洋子が俺に首を垂れた。

「でも・・・こんな気持ちにさせたのは・・」

下を向いたまま洋子が続ける。

「やっぱ、なんか腹が立つっていうの?」

けいも下を向いたままだが、なんかさっきの声とは・・・違う。

「いきなり!」

洋子が頭をあげて俺を睨む。

「仲間はずれは!」

けいも顔をあげ鋭い視線を投げてくる。

『ないだろう!!』

二人がかりで詰められると・・・もう、おれに反撃する力はない・・・。

「いや、だってね・・・みんなが・・困ってるって言うからさ・・・」

「ん?みんな?・・・やっぱり・・・」(しまった!!)

「しまった、っていう顔してるよ~、の・ぼ・る・くん!」

洋子が満面の笑みを浮かべる。ただし目は笑っていない。

「はーん、やっぱ、あんたら、手を組んでたんだ・・・佐藤と鈴木で~」

にやりとするけい。ただし(以下略)

「・・・じゃ、おれ、イカ焼きにかえるわ・・・・」

俺は踵を返して、強引に話を終わらせようとしたが・・・。

「ちょーと!」

けいが俺の右肩をつかんだ。するとゆっくりと洋子が回り込んできて俺の前に立った。

「のぼるくん・・・どっちにもいい顔したんでしょ~?」

するとけいも回り込んできて俺の前に立つ。

「チーム伊藤を作りたかったのかな~?」

「ちょっとこのやり方・・・」

「許せないのよ、わたしたち・・・」

「もちろん、わたしたち反省したし、これからは仲間を大切にするわ~」

「だから、のぼるくんにも反省とお詫びがほしいな~」

俺はたじろぎ、少しずつ後ずさりした。2人はにじり寄ってくる。

「いや・・その、俺だけのせいじゃないいだろ~?」

「うん」

「でも、やり方が・・・」

「ちょっと陰湿?」

二人の笑顔がこちらにどんどん寄ってくる・・・。

「いや、ごめん。悪かった。みんなに頼まれて・・・その…調子にのっていた・・・ごめんなさい!」

おれは腰を90度に曲げてしっかり謝罪の姿勢をとった。

『いいよ!』

思いがけない言葉が出たので、俺は顔をあげたその瞬間。二人はそれぞれ俺の両腕をとり絡めてきた。右にけい、左に洋子。それぞれ腕を組んできた。かなりしっかりと。

「おわ」

そのまま二人は地面に俺もろとも倒れこんだ。2人に挟まれる形で芝生に仰向けになる。すると・・・。

おれの両頬に・・・キスしやがった!そしてそれぞれ、スマホでその瞬間を撮影しやがった!!

「お、おまえら、何すんだ~!!」

腕を離した二人は立ちあがると。

「きまってるじゃない。」

勝ち誇った顔をするけい。

「この写真をグループラインにあげるのよ~!!」

あくどい笑みで洋子はいうのだ。

「はあ~?な、なんでそんなこと・・・」

「おもしろいじゃん・・・みんなどんな反応するかしら。」

「あ、りおにも送っちゃおう~」

「いっぺんに2人に手を出す最低男!」

そういいながら、手慣れた様子でスマホをいじる2人。

「はい!」

「終了~!!っと、あ、一応、伊藤さんたちにも送っといたから!」

最高に楽しそうな二人に、笑顔がはじけていた・・・。



「・・・・・・」

店にもどると、みな、一瞥したのち、沈黙を守っていた。

るみは鋭い目を向けると無言でボールに入った大量のイカを俺に渡してきた。

りおとかなに至っては、目も合わせてはくれない。

「・・・・・登さん。あなた、何を話してきたの?せっかく無理して時間をあげたのに・・・」

伊藤もうどっちでもいい・・・が俺に軽蔑しきった目を向けてくる。

はじめは俺を見るなり、握った串を俺に投げてきそうな殺気を感じた

この日、俺は閉店まで、自動イカ焼き機と化して、黙々と働いた・・・。

夏祭り編終了です。

次回からは、帰省編です。

Hkに帰ります。

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