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㊲祭りはこれから

地域主催の夏祭り。

開催直前!。

気まずい時ってどうしますか?

学生のうちは何とかなるものです。

子どもだから・・。


 りおと一緒に、俺たちのリーダーは2人とも帰ってきた。

『さぼってごめんなさい』

2人そろって俺たち全員に頭を下げた。そして、2人とも誰よりも働いた。黙々と準備作業を進める二人。でも、互いに目も合わさない。鬼気迫る様子に、俺たちもどう声をかけていいかわからなかった。1人をのぞいて。

「けい~、あのテーブル運ぶの手伝って~」

りおはいつもの調子だ。しかも

「洋子ちゃ~ん、いす並べるよ~」

洋子にもなぜかなれなれしい。でも洋子、嫌がってないな。なんか、女同士で話がついてるのかな?

「二人とも気持ちの整理がついたみたいだな。」

はじめがぽつりと独り言のように呟いた。

「ふーん。ならいいや。」

俺は無関心を装って答えた。

「いや、わかってないだろう?登は。」

怪訝そうに俺を見る鈴木はじめ。

「・・・・」

何も言えずに黙り込む。残念だけど俺はあの二人のことはここ3カ月くらいのことしかわからない。はじめのようにずっと見守ってきたわけじゃない・・・。

「ああ、ごめん。別に責めてるわけじゃない。昔からの同級生として、幼馴染?としてわかるんだよ。君だって、白い爆弾のことはよくわかるだろう?同じさ。」

「ああ。」

「あの二人はよく似てるんだよ。小学校のころけいも洋子も友だちなんていなかった。洋子の友達と言えば俺。けいには・・・・」

「いいよ。もう昔の話は。」

俺は話を断ち切るように言った。

「大事なのは、今だろう。今、この時間を楽しもうぜ。なあ、はじめ。俺たちは今は仲間だけど、祭りが終われば・・・・??」

「ふふ、・・・・終わったら、どうなるんだろうなぁ。敵?ライバル?」

はじめは微笑した。

「あ、わかった!」

「え、何だ?」

「同級生!」

「・・・・・そりゃそうだ~!」

俺たちは大笑い。

「こら!さぼるな!!」

伊藤さんに叱られた。


公園の木々が紅葉を迎えたようにオレンジに染まる。何とか出店の準備が整った。おれは公園の芝生に腰を下ろして、ペットボトルの水を口にした。

「何とか間に合ったね。」

伊藤さんに話しかけられ、どぎまぎしてしまう。なぜなら・・・・

「あ、ああ。えっと・・・」

「ゆい、よ。」

いまだにどっちがどっちだかわからないからだ。伊藤さんは俺の隣に座った。セミロングの艶やかな黒髪がオレンジに染められている。

「二人とも、もどってきたね。」

「ああ。」

おれはオレンジ色の空を見上げて気のない返事をした。

「どんなマジックを使たのかな?登くんは。」

ちらっと横目に写った伊藤さんはいたずらっぽく笑う。

マジック?俺は何もしていない。むしろ2人を追い込んだ。「リーダー失格」という最後通牒を送ったのだ。残酷な裁判官だ。恨まれてもしかたない。でも、もどってきた。

考え込む俺を、優しい笑みを浮かべて伊藤ゆいは眺めている。

「登くんって、優しいのね。」

思ってもいない言葉を伊藤ゆいは口にした。

「え、・・・・俺が?」

驚いて俺は伊藤の方に顔を向けた。

「うん・・・。」

そういって伊藤が今度は空を見上げた。

「だって、もどるきっかけは・・・あげたでしょ・・・。」

そう、空に向かって呟くように言うのだ。

「え・・・・」

 俺は絶句した。いつ俺がもどるきっかけを与えたのだろう。ぜんぜん、おもいあたら・・・?!りおか。りおを引き入れたことがきっかけなんだ。俺は単純に出店の人手不足の解消を考えてりおに連絡した。もうほかに伝手はないからだ。りおなら引き受けてくれる。そう確信はしていた。でも、まさか、けいや洋子を説得してくれるとは考えてなかった。・・・だってギャルだもん・・・。そんな目論見があったら、もっと早くりおとコンタクト取ってるさ。・・・・俺はラッキーだったんだな・・・。後でりおに礼を言わなきゃな。今回も結果オーライ。考えこんで、足元の芝生を見つめていると・・・・。


バシ!


「いたー!!」

思いっきり背中をたたかれた。不意打ちに体がビクッとする。痛みに耐え苦悶の顔で振り返ると・・・・

りおがいた。膝立ちで。どうやら足音がしないように四つん這いで背後に近づいて来たようだ。そして、平手打ちを背中へ。大成功という笑顔をこちらに向けている。

「のぼるっち~。この子があんたの本命?」

と、からかってきた。

「・・・ああ。・・・・そうだよ・・・・」

俺は力なくそう答えると、

「はひー?」

うろたえた変な返事をかえしてきた。

「プ!。ププ。フフ。ふふふぅ」

伊藤がこらえきれずに笑い声をあげた。

「そんなわけないでしょう。登くんの本命は・・・・」

え、伊藤、俺の本命がわかるのか?俺だって知らんのに!・・・・・あれ・・・・・俺の本命?を俺がしらなない?うん、どういうことだ?

「なにその顔・・・。」

ジトっとした目をりおは向けてきた。

「はぁ~。まだそういう段階なの・・・・。」

呆れて伊藤はため息を吐く。

「え、っと・・・どの段階?いま?その、何処に進んでいる、どのあたり?」

俺はわけのわからない質問を返す。

『はぁ~・・・・』

りおと伊藤はそろって大きなため息をつく。いやだって、おれの本命を知ってるのおかしいだろ?本人が決めてないのに・・・・。

「ねえ、りおさん、どこがいいの?」

「・・・・うんと・・・・ま、いいじゃない!さあ、仕事仕事!!2人とも休憩は終わり!」

そういってりおは踵を返し、もどっていった。

「そうね。もどりましょう。のぼるっち!」

ドキッとする。りお以外に「のぼるっち」なんて呼ばれたことない。ちょっとポーっとしてしまう。

「ふふふ。なるほど、こういうところか・・・・。」

何かに納得する伊藤。

「登くんって、目立たないようにしているけど、こういうイベントを進めるときはとっても大胆よね。平気ですごい決断するし。」

「え、そ、そうか?」

「でも・・・女子とのかかわり方は・・・まるで小学生ね!」

「え、あ、うん?そうなのか?おれ、小学生並なのか?」

「うん。早く成長してね。じゃないと・・・・」

「うん、じゃないと・・・」

「登くんが、今度、けいさんと洋子さんの立場になるわよ・・・」

「・・・・・」

俺は返事ができなかった。小学生並みでも・・・その意味は痛いほどわかる。そう。身に染みてわかる。したから・・・俺は奥地(札幌)さ来たんだ・・・。

「のぼる~!下準備さ、するべ~!」

るみが訛り丸出しで呼ぶ。はっとして、地面の芝生から視線をあげる。

いが(いか)を持ち上げて、笑顔で俺を呼ぶるみ。なぜか目が潤んできた。ああ、おれは、ここさいて、いんだな。

夏祭り編もあと少しで終わらせます。

ちなみに夏休みはまだ終わらせません。

だって、2学期のネタ考えてないので・・・

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