㉗許嫁って誰のこと?
つばさちゃんがようやく登場。フルネームは「久世つばさ」です。
訛りのひどい美少女という、想像しにくいキャラかもしれません。
しかも・・・・。
「・・・・・のぼるっち・・・・?」
つばさはその声を聞き逃さなかった。
「あ、えっと列にならんでください!」
慌てるあん。
「あ、どもども、のぼるっちもいるでしょ?ちょっと会いたいんだけど・・・」
「あ、えーと・・・いませんから!」
あんが慌てて取り繕う。
「あ、あの~」
つばさはりおににじり寄って話しかけた。
「え、あ、わたし?」
突然謎の美少女に声をかけられ、困惑するりお。
「あの~失礼ですけど・・・のぼるっちという方の正確なお名前は?」
「え、あんた誰?登のしりあい?」
「登、登とおっしゃいましたね?」
「うん、そうだよ!私の友だち?まだ友達だけど・・・」
「ああ、あの、登っていっても鈴木のぼるのことよね?ねえ、あんさん。」
あ、先輩何とかごまかそうとしてくれてる。あんもなんとか協力してくれ!
「うん、そうそう。鈴木のぼるだよね、いま連れてくるから」
あんはうまくあわせようとしたが・・・。
「はい?あーしは、さとむむむむ」
あ、先輩りおの口をふさいだみたいだ。
「うん、鈴木のぼるよね~。いま連れてきますから!」
「・・・・あーちゃん・・・おめ、隠してるな!登さ、どこ隠した!」
「やばい!」俺は小さく叫んだ。
「え、どうしたの?」
「訛り戻った。切れる前兆だ!は、早くつばさを連れ出さないと!」
「え、でもどうやって。」
「おれが出て行く。」
「そんなことしたら・・・登・・・け、けっこんすることに。」
「・・・いや、まだ結婚まではせんでしょ?」
「え、でも、許嫁って・・・」
「まだ結婚できる年じゃない!」
「ああ、そうだったわね。」
「とにかく、もうごまかしはきかない。かなのことも探し出そうとするだろう。力づくで。」
「・・・」
「そうなれば、店も学校祭もめちゃくちゃだ。ここまで頑張ってきたのに。」
おれはダンボールで囲まれた薄暗いスペースから出ると、喫茶スペースへ。
「あ、の、登。ど、どうするの?」
心配そうにけいがきいてくる。
「うん、おれが話してくるよ。それしかないだろ・・・」
「う、うん。でも・・・」
「爆弾が爆発する前に、処理しなきゃ。」
俺は覚悟を決めて、メッセージを送る。
SugarとBellsのみんなありがとう!あとはなんとかする!!
ドアの取っ手に手をかける。俺は静かにドアを開けた。
九十九先輩をにらみつけるつばさとたじろぐ九十九先輩。何が何だかわかっていないりお。ぴくともせず、目を見開いて見守っているあん。
「あ、のぼるっち!」
え、りお、ダメだって。いまは!
「ねえ、時間ある?学祭、案内してよ~」
俺の腕に絡みつくりお。
『・・・・・・』
空気が凍っていくのがわかる。おれはおずおずとつばさの方を見た。
「・・・・ねえ、のぼる・・・そのおなご、だれだぁ?・・・・まさか・・・お、おめの、か、彼女とかか?」
血の気が引いていくのが自分でわかる。
「い、いや、と、友だちだよ。うん。」
「・・・なんだ、そのしゃべり方。都会さきて、づいぶんあやつける(かっこすける)ように、なったなぁ・・・・」
「え、いや、もうほら、こっちで3年暮らしててるし、だんだんこっちの言葉になってくるつーの?」
「・・・で、悪い遊びも覚えちまったと?・・・」
「い、いやいや、そんなことないわ・・・よね?、ねえ登くん?」
九十九先輩がフォローする。
「あーちゃん・・・なして、だまってた?・・・登がいること・・・」
「いやだって、教えないことになってるでしょ。久世の家でも御厨の家でも・・・」
「でも、おめさ、あたしの・・・友だちだべさ!・・・こっただ、かなしーこと、ないべ!!」
やべ、怒りが高まってきた・・・。
「いや、ほら、俺も九十九先輩も御厨先生に口止めされてたからさ。」
九十九先輩をなんとかフォローするが、
「ね、のぼるっち。この子だれ?なにもの?さっきから何いってるの?」
りおが口をはさんできた。でも、今その時じゃないよ。
「・・・いや後で説明するから、ちょっと離れてくれる?」
「なんで?なんで?いいじゃん別に。あ、もしかして、この子、元カノ?ね、そうでしょ!へーこんなかわいい子が元カノなんだ。やるね、のぼるっち!」
あ、あ、白い爆弾が爆発しそう・・・・。顔真っ赤で目が座ってきた・・・・
「・・・なんだぁ、おめ。・・登、こんな遊んでるおなごが、ええんか?・・・かわちまったな~登・・・」
「いや、まて、別になんでもないから。な、・・・つばさ。その・・・ちょっと落ち着いて・・・あ、学祭、案内するよ、うん。」
「え、わたしと回ろうよ、のぼるっち。元カノなんかとまわったって楽しくないでしょ!」
あ、もう、むり・・・。どうにもならん・・・。あ、つばさがプルプルが震えてる・・・全身。
「おめ、さっきから、元カノ、元カノって・・・いいか、よーく聞け!あたしは、登の・・・い、いいなずけだー!」
廊下に響くつばさの声。
『・・・・・・・・』
沈黙する廊下に、地獄の門の開く音が、俺には、俺だけには聞こえた。
りおは、おれの顔を何か珍獣を見つけたような目で見てくる。
「・・・・ね、ねぇ・・・・のぼるっち、・・・・う、うそだよね・・・このなんか訛りのひどい田舎もんが・・・・、うそだよね。」
「も、もちろんさ。許嫁なんて・・・」
「はあ、おめ、源じいのいいつけ、守らん気か?」
「あたりまえだ!源じいとお前がかってに決めたことだろう!おれは認めたことはないぞ!」
「・・・・・・う、ぅ・・・・」
つばさは涙を浮かべ始めた・・・・。おれは九十九先輩に目くばせした。
「す、すいません、皆さま、照明と調理器具不調のため、いったん休店になります。いったんおかえりください・・・早くおかえりください~」
「え、そ、そうなの?」あんが 慌てててきく。
「し、そうゆうことにして、早く廊下を無人にして。あなたも教室の中へ入って。」
そうささやくと先輩は、あんを無理やり教室に押し込めた。
下を向いて涙ぐむつばさ。かわいいだけでに、めちゃくちゃ罪悪感がわいてくるが、ここで折れると元の木阿弥だ。
「りおさん、りおさん、こっちに来て。教室に入っていて。」
先輩はりおも避難させる。
「・・・・いいなずけ、だ・・・・あたしは・・・・、のぼる!おめの許嫁だ!こんの浮気もん!!ほんつけなし!」
そういうと、つばさはゆっくり右側のスカートのすそをめくりあげた。透き通るように白い太ももに、不相応なものがついている。ももにまかれたベルトと細長い革製のケース。ケースの中は少なくてもウルトラマンの変身グッズではない。つばさはケースからゆっくり棒状の物を出した。
「それは・・まさか・・・そんなものを持ち歩くようになったのか・・」
「さすがに木刀さ、おぶってあるくのは、目立っちまうから・・・これにした!」
黒いバトン状のものを握り、持ち上げると、肩のあたりから、下に向かってふる。銀色に光る棒が2段になって飛び出てくる。特殊警棒だ。つばさが持つとまるで光り輝く真剣だ。
「わたしというものがありながら、いろんなおなごと・・・・」
「いやまて、おれはいいなずけじゃないし、いろんな女に手は出していない!」
ゴン!なぜかドアから音がする・・・
「いたたた」
ドアにぶつかったのはけい
「けい・・・ど、どうした、の」
るみが心配そうにきく。
「いや、だって手を出してないって。よく堂々といえるなって・・・」
「ま、・・・のぼるは・・・そうなんでしょ・・・」
「ふーん、でも、それってちょっと面倒な奴だよね。」
あんはあっけらかんとして言う。
「ま・・そこがのぼるらいしいってことでしょ。あれ、るみ、何もってるの?」
「自在箒の柄。先のところは外しておいた。」
「え、どうするのそれ」
その時、廊下に響く、ものすごい気合の声!
「きえええぇ」
るみはドアを開けて、
「のぼるこれ!」
箒の木製の柄をなげわたした。
俺は柄を受け取ると顔の前で真一文字に両手で持った。
ガッ!
鈍い音が廊下に響く。
おれはすんでのところで、強烈な打ち込みを顔の前で受けることができた。だが、その強烈な剣勢は、ただの柄をたわませるのに十分だ。これではそのうち折られてしまう・・・・。
すると、誰かが教室から出てきた。同じように箒の柄をもって・・・・。
「手、かすど、登。」
「え、るみ・・・いや無理だべ、おめ、もう稽古してねんだべ!」
「そっただこといったって、他に手をかせるもん、おらんべ!」
「ん、んだな」
「二人なら、なんぼ爆弾でもなんとかなるべ?」
「んだ、んだ」
「・・・のぼる、おめ、このおなごにも・・・・しかも、Hkもんだな!なら、うちでも、ええべ!」
「いや、だから、なんもしてねーってば!」
「・・・・う、うそこくでね!おめ、さっきだって、あーちゃんのおっぱいちら見してたべ!」
『・・・・・・・・・・・』
沈黙。
「のぼる・・・何考えてんだ・・・こんな時に・・・・」
るみはジト目でおれを責める。
「いや、ついつい・・・」
つばさも呆れた顔で俺をみる。
「よーくわかった。おめは乳がでかけりゃ、だれでもええんだな!年上でもギャルでも、Hkでも札幌でも!」
(う、否定できねーな・・・)
「なに、図星って顔してるんだ、おめ!」
「のぼる、おめは顔にでるから・・・・」
「んだな・・・」
「あ、なんか、いちゃついてるな・・・おめーら。・・・」
というと突然満面の笑みをうかべるつばさ。そして
「お、し、お、き、だね、おめらふたりとも!」
蛍光灯に光る特殊警棒を大上段に構えるつばさ。
「くるぞ!るみ!」
「う、うん!」
俺たちは身構えた。正直、つばさと俺たち二人では格がちがう。2人がかりでも防げないかも・・・。まして俺たちはもう剣道を離れて3年以上たってる。るみはそれ以上だ。しかし、かなや、りおまで巻き込むわけには・・・Bellsや3組の生徒にも。これ以上は・・・。
「ふふふ、登、おめさと、まじえるのもひさしぶりだな~?たのしみだ~」
俺たちはたじろいでしまう。
「したら、こっちからしかけるか~、むかしみてにー!」
つばさがこちらにとびかかろうとしたその瞬間!
「こら、なにしとる!つばさ!!」
ろうかに響く声。
俺たちは後ろを振り返る。ゆっくりと。
「あ、源じい。」
「お、お師範・・・・」
「おう登、ひさしぶりじゃの。すまんのつばさが面倒かけての・・・」
俺たちは箒の柄を構えるのをやめた。
「え、なして、じいちゃんが~」
つばさはあっけにとられている。
すると、源じいの後ろから。
「無理言って来てもらったのよ。」
御厨先生が現れた。
「おかしいと思ったわい。急に御厨のおばさんちに遊びに行きたいと言いだして。ええか、つばさ、まだ、登との婚約は早い!」
「え、と源三郎さま、それはちょっと・・・その、そういう話では・・・」
困惑する御厨先生。
「あ、御厨の、なんじゃ?あのな、のぼるはつばさの許嫁じゃ。会いたくなるのも・・・わかる!じゃがの、まあだ、婚約は早い。もっとお互い、人としての修行をじゃな・・・・」
「はあ・・・」
御厨先生・・・源じいにちゃんと話してるのかな事情・・・。いやでもこの機会を逃す手はない。つばさをお引き取り願おう。
「いや~全く、源じいのいう通りです。」
『は?』
つばさにかな、るみ、りお、そしてその場にいる皆が不審な顔をしている。が、おれは続けた。
「いや、まだまだ僕らは未熟ものです。こうして会うのは憚られます。申し訳ありませんが、つばさを連れ帰ってくれませんか?」
というと、源じいは満足そうに何度もうなずく。
「うん、うん、登はようーわかっとるな。さすが、佐藤の孫じゃ。わしが見込んだ男じゃ!つばさはつれてかえる。そら、つばさ、帰るぞ。」
歯を食いしばるつばさ。
「・・・・・くぅ~。の、のぼる!今日のところは帰るけど・・・浮気は・・・許さないよ!」
「うん、うん、わかってるよ!」
おれ精一杯の笑顔で答えた。
(は、何言ってんだこいつ。ギャルに先輩に、って噂をあんだけ流して・・・・)
周囲からそんな声が聞こえてくる気がしたが、今はこの流れに乗ったほうがいい。
「そこのギャルと、あの巨乳女、そして、「るい」!」
「え、あ、あたし!あ、あたしはるみですよ~」
「わたしがわからないと思ったの?うちは、るいが女だったのしってたからね~」
ひ!こえにならなに悲鳴をるみはだす。
「ずいぶん、めんこくなったでないかい?るい、いや、るみ!」
「え、っとそのるいってだれかな~」
「あほ、うちのじいさまをお師範って呼んだべさ」
「あ!」
痛恨のミス。そんな顔をしたるみ。
「あんた、あかりとグルだね・・・。覚えてなさい!!」
「・・・もう、つっちゃ!いつもそうだ!いっつも、いっつも!俺とのぼるさ、いいようにしようとして!」
「う、うるさい!このけりはこの次つけるからね!」
そう吐き捨てると、つばさは俺たちを一瞥してから、俺たちの横を通り、源じいのもとへ歩み寄っていった。
「じゃあ、皆さん、騒がしたなや~。したらな。」
そういうと源じいは踵を返して帰っていった。御厨先生は源じいをおくって連れ立っていった。
俺とみはその場に座り込んだ。するとドアがゆっくりと開きSato and Suzuki 、S・S同盟が全員出てきた。
「・・・登・・お疲れ・・・」
けいがねぎらってくれた。
「あ、ありがとう。S・Sのみんなも・・・巻き込んでごめん・・。」
りおが奥から出てきた。
「だ、大丈夫、のぼるっち?」
心配そうにきいてくるりお。さすがにあんなの見たらビビるよな~。
「うん、ありが・・・」
言おうとすると、りおの背後に仁王立ちするかな。
「・・・のぼるくん・・・ちょっといろいろお話したいんだけど・・・」
あ、この顔わかる。笑てるけど目が笑ってないかお。お怒りですね。そうですよね。
「あ、じゃあ、あーしも一緒に」
りおも、にこっとかなに微笑みを向ける。
「そうね、どうせ、ききたいことは同じでしょうから。で、佐藤るみ、いやるいくんかしら?当然あなたもよ」
ドキッとして、目を見開くるみ
「え、な、なして?あたしがなして、」
『あたりまえよね~』かなとりおがハモル。
「だって、いろいろ知ってるんでしょ?るいくんさー」
いじわるそうにう言うかな。
「そうそう、あーしらにちょっと説明?してほしいわけよ~」
俺たちを見下ろす二人。
『・・・・・はい・・・』
「じゃ、八幡丸に行こうか~るみさん」
「八幡丸?」
「あ、りおさんはしらないのよね~、お話しするにはばっちりな場所。」
「ふーん。ひょっとしてるみさんそこで登と・・・」
「あら、さすがりおさん。するどいわね・・・」
「ふーん。そのあたりもふくめて聞こうかしら・・」
「ま、まて、まだ学祭中だ!はやく店を再開しよう!」
「そうそう、勝負がかかってるんだし!」
けいナイス!
「そうよ、負けないからね!」
洋子!さすがリーダー!
かなはしぶしぶもどっていく。そしてりおは店舗再開第一号の客となった
さて、「家同士の決めた許婚」を使ってしまいました。
すいません。ほかにいいネタが思いつきませんでした。
でも、かわいい女子が増える分にはいいかな、って思ってます。
次回はたぶん、学校祭が終わると思います。




