110 秘密結社?
111 ぞろ目だ・・・。
けいのスマホを凝視する俺たち・・・。
「あの、ちょっと息苦しいんだけど・・・」
集中しすぎたあまり、全員でけいを取り囲み、おしくらまんじゅうのようになってしまった・・・。
洋子から送られてきたスクショ。
「生徒会は、ICT研究部と文芸部の傀儡だ。その証拠に、佐藤亮、鈴木はじめが入り込んでいる。五十鈴会長が両名を受け入れたのは、はじめからそう決まっていたからだ。つまり、できレースですね。このままでは、3年時の学校祭、体育祭など、学校行事は彼らの思うがまま!部活動予算もだ!今回の修学旅行の件はその証左・・・・」
『・・・・・・・』
「学生運動?・・・・」
ぽつりと貴がぽつりと言った。
(るみ)「・・・・んだな・・」
(柳川)「それにしても・・・」
(来島)「なんかこう・・」
(裕一)「よみにくい!」
「声デカいって・・裕一」
俺は耳を塞いだ。
(裕一)「ごめんごめん・・・」
「それにしても心外だ!」
突然、亮が声を荒げた。
「そうね。同意するわ」
五十鈴閣下も。
「そのとーりだ!!」
と、けいのスマホからはじめの声が響く。
「まったく・・見当違いも甚だしい!僕たちは正々堂々、戦ったというのに!」
亮は本当に口惜しそうだ・・・。幼馴染とつきあいました、とか、全校生徒の前で公開告白とか・・・あれが正々堂々とは到底思えないが・・・。
「こうなったのも・・・」
『し!』
何かを口走ろうとしたけいを皆がたしなめる。
「・・・ごめん、俺が変に動いたせいで・・・」
「はあ!何言ってるの!!あんたにのせられたけど、私は私のために戦ったの!いい?フィクサー気取りでいないでよね!!」
会長にお叱りを受けた。
「そうね・・・だって、勝ったのは、あなたの力じゃなくて、わたしと五十鈴の力だもんね」
「柳川さんにそう言ってもらえると、ほっとします。」
俺が微笑むとピリッとした空気が緩んだ。
「しっかし、これ誰なんだろうね~。」
スマホの向こうで鈴木あんが疑問を投げかける。
「かなり悪意を感じるよね・・・僕たち何かしたのかな・・・・。」
貴は過去を振り返り、思案を巡らしている。
「これさあ・・・」
けいのスマホから鈴木かなが切り出した。
「なんか文章へんだよね?・・・だって、ですます調かと思えば、であるちょうになったり・・・丁寧だったりぶっきらぼうだったり・・・」
あらためて見てみると・・確かにその通りだ。およそ、一人の人間が書いたものとは思えない。書き手の性別もイメージできない。
(亮)「これは・・・何人かで寄せ書きした感じだね。つまり・・・」
(はじめ)「複数で書き上げたもの・・・・」
(けい)「いや、これ、会話をつなげたんじゃない?」
「生徒会は、ICT研究部と文芸部の傀儡だ。」
「その証拠に、佐藤亮、鈴木はじめが入り込んでいる。」
「五十鈴会長が両名を受け入れたのは、はじめからそう決まっていたからだ。」
「つまり、できレースですね。」
「このままでは、3年時の学校祭、体育祭など、学校行事は彼らの思うがまま!」
「部活動予算もだ!」
「今回の修学旅行の件がその証拠・・・・。」
「なるほど・・・そうね・・・。私たちの陰口をつなぎ合わせたみたいね。」
「うん、そうだね。これは。」
「得体のしれない、秘密結社って、とこかしら・・・。」
何気ない会長の一言に佐藤も鈴木もギクっとする。
(それ・・俺たちのことだよな・・・・)
みな心の中でそう思った。
Sugar BabesとSuper Bells。佐藤と鈴木の互助会組織・・・だが・・・今や生徒会行事どころか、学校行事にまで影響をあたえている。立派な秘密結社だ。ICTも文芸もまっっっったくやってない。名ばかり部活動。ただのサロンだ・・・。
「あ、わかったかも・・・」
思わず口にでる。
「なにがだい?登?」
と貴。
「ねえ、会長、」
「なによ」
「もしも、もしだよ、あなたのクラスで公然と派閥を作って、クラスを牛耳りだしたら・・・どう思う?」
「面白くはないわね。」
「そいつらが、部活も作って、学年、学校全体も仕切りだしたら?」
「何、それ、陰の生徒か・・・い?」
「そういうことだよ・・・佐藤と鈴木は陰の生徒会、そして、この学校を支配しようとしている・・・」
『秘密結社!』
「そう思われてるんだよ・・・周りから。」
(裕一)「たしかに学校祭に地域の祭り・・・目立ってたもんな・・・」
(貴)「極めつきは・・・会長選挙・・・・。」
「きっと、五十鈴さんが当選したのは、ある意味当然だったんだ・・・これ以上佐藤や鈴木を好きにさせたくない、そう思って五十鈴に投票が集まった。・・・・でも・・・」
(五十鈴)「え、ちょっと、まって・・わたし、裏切ったって思われてるの・・」
「と、いうより、仲間になったって思われているんだよ。今回の修学旅行の件で。」
五十鈴「・・・まさか、あんたとできてるから・・ってこと」
『うん』
五十鈴「げ!・・・なんで、なんで・・・なんで!」
五十鈴はこの世の終わりのような顔をして、嘆く。
(けい)「今日もはじめ以外はここに来てるしね・・何か・・のっぴきならないことがあるって思われても・・・」
「ふぅ~・・・僕たちは少々浮かれすぎてたね・・・。面白くないと思っている生徒はたくさんいたってことだね・・・。」
ため息交じりに亮がまとめた。
「でもさ・・こんな誹謗?中傷?受けるいわれわないわ!」
けいは納得いかない顔をした。
「そうね。そのとおりよ!」
洋子も同調する。
「ごめん、元はと言えばすべて俺のせいだ・・・ごめん・・」
学校祭、地域の祭り、会長選挙、修学旅行・・・そして、かなやりお、つばさにるみ。すべて、俺、佐藤登がその中心だ・・・。今の事態を招いているのは・・・8割がた俺に要因がある。
「いいっしょ!きっかけなんて。みんな、楽しんだべさ。そーだべ?みんな?」
るみが皆に同意を求めた。
皆の同意が取れたところで、今日は解散となった。生徒会はしばらくPC準備室には来ないこと、佐藤も鈴木も生徒会とはしばらく距離をとること、この2点を確認した。俺たちもできるだけ一緒に過ごさない、特に集団行動は相手を刺激するので、三々五々、帰宅することとした。
「登は特にマークされてそうね。まず、あなたから帰って。」
という、リーダーの指示で、俺は、いの一番に帰らされた。やれやれ、久しぶりの学校なのに・・・。
そう思いながら、階段を下り、昇降へ。下駄箱の鉄製の扉を開け、外靴を取り出そうとした時だった。
外靴に2㎝四方くらいの折りたたまれた紙が置いてあった。かわいげが全くないことから、ラブレターの類ではない。
「なんだ?」
つまみ上げ、広げてみる。
「18時、麻生のイオン、ゲームコーナーで」
そう書いてあった。
影の生徒会って響きがいいよね。
何となく。




