107 修学旅行⑪
さあ、奥地さ、けえるべ!
(札幌帰るぞ!)
「おっそい!」
朝の、函館駅前。通勤客と観光客も前で、五十鈴会長に叱責された。
「ごめんなさい・・・ちょっと油断したわ・・・」
「んだ、あずましかったんで、まあ、ゆるせや」
かなとるみのフォローが身に染みる。しかし・・・・おれは今あずましくはなない。
「このほっけ、すごくおいしいわ。今までに食べたことないくらい!」
「あ、たりめーだあ。川汲のほっけは、日本一だ。」
「ああ、ほんと、うめ~なー・・・」
あぶらののったほっけと、久しぶりに食べるいきのいいイカさしで、かなり幸福感を味わっていた。
「・・・・で、ここに誘ったのは、なにか私たちに言いたいんでしょ?」
かなは上品に味噌汁をすする。
「はふがらな」(さすがだな)
白米をほおばったまま、るみは答えた。
白米を嚥下する。るみ。
すると、はぁ~、とひと息。
「おめたち、いや、のぼる、おめに言いたい。」
「え、おれ?」
と言うと、俺の方をじろっとるみは俺をにらむ。
「今回のごたごたも、もとをたどれば・・・おめが、はっきし。しねからだ・・・」
ごくん。おれは生唾をのむ。
「そうね・・・確かに私はちょっとずるかったけど・・・あなたが、いつまでも、ふらふらしてるからよね。」
「んだ、あげく、空回りして、会長とか柳川とか・・・いろいろ巻き込んだべ。・・・めんどくせ・・・・」
「うん。わたしの苦手な人が・・・身近になって、ちょっと・・・」
あ、なんかいやな予感・・・。なにか、くるぞ。
「そんでな、のぼ・・・」
ほら・・・。来る。
「そう・・・・るみさん・・・もう、そこまで・・・」
ほら、ほら。来る・・・・・・・。来る・・・・・。
「3年さあがる前に・・・・、決めてけれ・・・。」
来た・・・。来た・・・・・。
「そう、るみさん。いいのね?」
こくんとうなずくるみ。
「あ、でも・・・りおには?」
すると、スマホを黙って、持ち上げ、画面を見せてくる。
「あ・・・・」
早朝のけだるそうな顔した、りおが映し出されていた。
「おっはーー登。そーゆーわけで、よろ~」
といってと眠そうな笑顔を俺に向けた。
「ここなら、店の高速wifiつかえっからさ。」
そうだね・・・親戚の店だもんね・・・。FREEじゃない方も使えんだね・・・。
「したっけ、いいな?のぼ。あと、二月ねっからな。つばさも含めて、どうすっか、きめれよ。」
プワワーン。
市電の警笛がかすかに聞こえる。
「さ、もどるわよ。佐藤さん!」
『はい』
「鈴木さん」
『はーい』
「これ・・・けっこう便利ね。一度で呼べるの・・・」
御厨先生は点呼の便利さに感心している。
「あ、先生、私たちは・・・」
「あ、五十鈴さんたちは、みればわかるわ。」
「はあ・・・」
ホテルにもどる。
「なあ、登・・・」
ロビーで部屋に向かおうとしているところで、貴が話しかけてきた。
「なんか・・・あったのか?」
「え、」
ドキリとする。
「なんか、るみとかなの様子が・・・変だし。登もさ・・・」
「あ、うん。ちょっと・・・」
「そうか・・・なにか力を貸そうか?」
「いや。今度こそ自分で、何とかしなきゃ。それが礼儀だなんだ・・・。」
「そうか・・・」
「うん。ありがと」
そう言って俺は、微笑んだ。
あれ、帰れてない。
次回こそ、特急北斗に乗車せねば・・・・。




