表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

105/180

105 修学旅行⑨

修学旅行編も、もうすぐおしまいです。

大浴場の男湯。佐藤と鈴木しかこの場にはいない。それが、なんか不思議な気分だ。湯船につかりながら、久々に裕一と話す。

「裕一は、やっぱいいガタイだな」

「おお、あんがと、でも、まだ、たりないんだ」

「え、そうなの?」

「登はしらんもんな・・・俺、卒業したら・・・東京に行くんだ。」

「え、まじか」

「ああ、ゆりさんの紹介で、プロレス団体に入団するんだ。冬休み中、面接と軽くスパーリングしてきた。」

「すげーな。もう進路決まってんだ・・・」

「ああ。もう少し筋肉つけて、からだでかくしてこいって、そん時言われた。次は夏休みにまた行くんだ。」

たんたんと話す裕一を見て、なんて大人なんだろうと思った。かれは、きちんと将来を見据えている。俺がおかしな一人相撲している間に、人生を考え、着々と準備を進めていたんだ。

俺はなんてガキなんだろう・・・。ああ・・・自己嫌悪・・・・。

「どうした?暗い顔して。」

気づくと、反対隣に貴が来ていた。

「いや、裕一がもう進路決まってるって聞いてさ。」

「ああ、そうだね。僕もすごいと思う。僕も、まだ何も考えてないからね」

「いや・・・おれは、百合子さんと知り合えたからだよ。そういう意味じゃ、登のおかげかな。」

「え、いや、おれは何もしてないし・・・」

「でも、登がいなきゃ、知り合えなかっただろ?」

「うーーんそうかな・・・」

「そういいことに、しておきなよ、登。そんなに気に病むんなら、僕にもいいコネ紹介してほしいね。」

貴はいたずらぽく笑いながら言った。

「ああ・・・じゃあ、剣術道場の一人娘に婿入りってのなら、紹介できるけよ。どう?貴にぴったりだと思うよ。」

「それ・・・罰ゲームだろ?普通に。」

「うーん、案外、お似合いな気がするな」

「裕一もそう思うだろ?」

「ああ。」

「やめてくれよ。ああいう子は・・・趣味じゃない、っていうか・・・・怖い」

「あれでもいいところあんだぜ、怖いっていうな・・・・よ・・・」

とその時、ゆりねえを、抑え込んだ久子師範を思い出した。つばさも将来あれくらいの腕前になるんだろうか・・・。

「いあ、ごめん・・・こわいよな。うん。こわいわ・・・」

とりとめない会話。ここ3か月話す機会がなかった俺には、なんだかうれしい。

「でー、はじめっちゃん、洋子とどこまでのつきあいーー」

少し離れたところで、はじめ、と亮とつかっていた真一は、いつもの調子で、はじめに話しかけた。

「いや、俺たちは・・・その、健全な付き合いだ・・・」

「えー、隣同士で、おうちデート、しまくりジャン?それで健全?」

「う、うるさい!ほっとけ!!」

「んーじゃあ、亮はー?」

「え、お、俺?・・・いや俺はその・・・学校で会うくらいだから・・・・」

「えー、デートとかしないんですかー、いいんですかーそれでー」

「煽るなよ・・・いろいろ、我慢してるんだよ!」

だよーだよー。

『・・・・・・』

「あ、亮・・・何を我慢してるのかな・・・参考までに、教えてほしい・・」

はじめは、かなり興味深々という様子を、必死に隠しながら、訪ねている。

俺も耳をダンボにして聞き入った。

「っく・・・いえるか!そんなこと!!」

顔が赤いのは、温泉のせいだけではないだろう。


温泉から部屋へ戻ると、男子部屋になぜか女子も全員集まていた。

「あれ、どうしたの?みなさん?」

とのんきに尋ねた亮に、会長閣下から指令が下達される。

「あすの予定を、副会長と書記で決めておきなさい。」

『え?』

「もう、登とるみに任せてはおけません。あなた方2人がやはり適任。今日中に、明日の計画を立案しなさい。会長命令よ。」

「・・・職権乱用じゃ・・・」

「なに?はじめさん。聞こえないわ!」

「なんでもありません」

「だいじょーぶ。洋子さんにもけいさんにも、許可は得ているから。思う存分、時間を使って。」

洋子とけいは手を合わせ、「ごめん!」と意思表示していた。

すると、五十鈴閣下はキッと、洋子とけいをにらみつけ、

「わたしの目の黒いうちは、いちゃつかせないからね!!」


ああ・・・職権乱用じゃない。ただの私怨だ・・・・。

さて、札幌に帰るよ。うん。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ