103 修学旅行⑦
仲間を信じていますか?
友だちてそれに尽きるんだろうな・・・・。
知らんけど。
電車がすぐにはなかったので・・・一時間近くかかり、湯の川に連れてこられた。温泉旅館の大部屋に半ば無理やり俺は連れてこまれた。
「おかえりなさい。」
出迎えたのは御厨先生ともう一人。
「こっちは女子部屋だそうだ。入室できたことを光栄に思いなさい、登さん。」
久子師範もいた。
「そのとおりよ。おかしなまね、しないように。」
「はあ・・で、なんで湯の川・・・」
「当たり前よ。修学旅行ですから。」
「あ、あ~そういえば・・・・2月の一週目だったっけ。修学旅行。」
俺はすっかり忘れていた。かれこれ、学校生活から2か月以上離れているからなあ。
「まあ、そういうわけだから、とりあえず座って。ねえ、佐藤登さん?」
鈴木洋子が含みのある顔で座布団を勧める。
と見回すと、佐藤と鈴木の女子+生徒会3人衆が俺の周りを取り囲もうとしているところだった。
「あの・・・僕は修学旅行、申し込んでないんですが・・・・」
「うん、大丈夫よ、登さん。もう、おうちの人に話して申し込んであるわ。」
「え」
「だからあなたも・・・・今日から修学旅行よ。」
「は?」
「あ、大丈夫よ。着替えやそのほかもろもろ、もう、男子部屋に運び込んであるわ。」
「っく・・」
「まあ、そういうこともあって、私も来ているわけだ。」
久子師範は座ってお茶をすすりながら、俺に一瞥をくれた。
渋々、俺は女子の大部屋のど真ん中に座る。かすかに香る畳のにおい。香水やデオドラント類の匂いが鼻孔をくすぐる。女子の部屋に一人。こんな時でなければ、最高だが・・・。生憎、周りにはちょっと目がつり上がってる女子が数名いらっしゃる・・・。俺を囲むように、半円形に座る彼女たち。
すると・・・・。
「じゃあ、あと任せたわね?_けいさん洋子さん」
「え、先生、ど、どどど、何処に?」
安全装置とも言える先生の言葉に俺は過剰に反応してしまった。
「ああ、登、久々に姉妹で話そうと思ってな。」
「え、いや、それは後でいいのでは・・・」
「いや、道場もどらねばなぁ・・・つばさだけじゃたいへんだべ。稽古つけんの・・・婿が今日から修学旅行だで。」
「じゃあ、俺が、も、もどります!久子師範!!」
「もどんなら・・・師範じゃねくて・・・お義母さんだべさ?」
いじわるそうに笑う久子師範。「お義母さん」というパワーワードに,一部で空気がこわばる。
「今度は、ほんとに婿さ入るつもりでねきゃ、住まわせられねーどぉー。」
ときっぱり。
「・・・」
答えに窮してしまう。
「どっする?登?」
「わかりました・・・久子師範」
俺の答えを聞くと、久子師範はふっと声をもらす。
「ふーん。じゃあ、保留ってことだな?登?」
「はい・・・」
「だ、そうだ、みなさん。ほんと、ほんずなしだな。おめは・・・」
「ええ、ほんつけねーんで・・・」
「じゃあ、姉さん行きましょう。」
そういうと、御厨先生と久子師範は大部屋を出ていった・・・・。
安全装置が解除された。
女子の目線が鋭い・・・・・。みな、絶対、るみか、かなの味方だ。
俺はかなのためを思ってやったつもりだったが、それをだしにして、おれは・・・・逃げたかったのかもしれない。
洋子「さて、登。あなたのしたこと、いやしでかしたこと・・・・・全部わかっています。」
けい「リーダーとして・・・・。いえ。・・・・女として、あなたに聞きたいことが山ほどあります。」
二人とも目が真剣だ・・・。
るみ「で、おめ・・・なして、だまってた?」
「あ、えっと・・・おれは・・・鈴木にも佐藤にも、勝ってほしくなくて・・・」
五十鈴「はあ~・・・そっちじゃないわよ・・・あんた、なんでこの部屋に連れてこられたか、わかってる?」
「はい?」
けい「あのね・・・はっきり言うと、会長選挙でこそこそ動いたことは・・・・あんまり、気にならないのよ。」
来島「まあ・・そうですよね。」
柳川「私たちにとっては、それがすべてだけどね・・・」
あきれ顔で2人に言われたが・・・会長選挙のことはどうでもいいのか?はじめと亮が聞いたら、卒倒すんじゃないの・・・・。
あん「あー・・・なんか、納得してないようだけどさー、けいと洋子がさー、ガンバたのはさー、カレシのために頑張ったのさー」
五十鈴「そうね。ぶっちゃけ、好きでもない相手なら、どーーーーーーーでもいいわよね。」
洋子・けい『うん』
「え・・・・」
るみ「あっっっったり前だべ!好きでもねぇー男が受かろうが落ちようが、どうでもいいべ。」
『うん』
女子全員が力強くうなずく。
「え、ちょっと・・・・まて。じゃあ、部費が、とか、当選後は生徒会権限で、ねちねちいやがらせするとか・・・」
けい「ああ、それ?そんなの・・・」
洋子「みんなを手伝わせる口実に・・・・」
『決まってるじゃん』
「え・・・・それは・・・公私混同じゃあ・・・・・」
はぁ~。
柳川さんは深いため息をはく。
柳川「あなたは・・・もう少し、女心ってものを、考えた方がいいわ。」
五十鈴「好きな人のため、が最優先に決まってるわ。それ以外は・・・石ころよ。」
「え、でも、かなは、今がいいって。」
るみ「そりゃそうだ。登を独り占めのうえ、仲間と和気あいあいだで。」
かな「・・・・・・・・・・」
黙り込むかな。
「え、あ・・・・」
じゃあ、かなは計算ずくで動かしたのか?そうなのか?
すると、かなは俺にさっと顔をむけ・・・。片目をつぶって、舌を出酢、たいそうお茶目な笑顔をみせた。
洋子「いい、女は強かなの、男よりずっと・・・腹黒いと言われても、そういううもんなの。」
けい「登、こと人間関係、特に恋愛沙汰で・・・・女子を・・・・・出し抜くことは・・・」
『むり!』
女子全員が同意する。
俺は力が抜けていくのを感じた。
おれは、何をがんばったんだ・・・・。
洋子「と、いうわけで、登さん。あらためて確かめるんだけど・・・・」
あん「かなと~、より、戻すんでしょ?」
「え、いや、それは・・・・」
洋子「なに?かなとのことは、遊びだったの?」
いや、遊びじゃない・・。ただ、隠れて付き合うとか、秘密の付き合いとか、謎の高揚感があったのは否めない。不倫にはまる人の気持ちってこんなんだろうな・・・。
かな「洋子、あん、ありがとう。でもね・・・」
唐突に語りだす、かな。かなりしおらしい。いやな予感がする・・・・。
かな「さっき、本気かどうか、わかんない、って言われたわ・・・」
鈴木洋子・鈴木あん『はあ?』
洋子「やっぱ、遊びだったんだ。「都合のいい彼女として、キープしておきたかった」ってのは、本音だったんだ。」
洋子の鋭く力強い目線が突き刺さる。
「いや、それは、かなを守るための、狂言で・・・俺はちゃんと付き合ってたつもりだ・・・」
けい「ふーん・・・じゃ、なんで黙って付き合ってんの?私たち友だちじゃない?違うのかな?」
「え、っと、俺もかなも仲間を手放したくなかったからさ・・・」
洋子「かなも登も…私たちを信用してないんだね。」
けい「まったく!」
くそ・・・毎日いちゃついてる奴らに言われると・・・無性に腹が立つ・・・。
けど、確かに、彼女たちは・・・。隠そうとはしなかった。SugarとBellsどころか、全校生徒に知らしめた。俺たちと比べて、どちらが正しいのか・・・。答えは明白だ。彼女たちは、自分の気持ちを優先しているが、周囲に対して嘘偽りなしだ。
俺たちは・・・。
「そうだ・・・俺は、いや俺たちは・・・結局・・・自分しか信じてなかった。だから、本気じゃな下端だ・・・そうだろ、かな・・・」
すると、かな涙を浮かべながら、でも精一杯の笑顔を作って、うなづいた。
「俺たちは、始まってもいなかった。ごめん。・・・もう一度やり直したい・・・」
けいと洋子軽く目をあわせ、無言で会話する。
ふ~。おおきくなため息をはくとけいは言った。
「なにを・・・・やり直すの?」
「Sugar Babesを・・・」
するとキッと俺を睨みつけるけい。
「どんな集まりか知ってるの?」
「ああ。・・・もちろんさ。「互いに力を貸しあって、助け合う、」会さ」
するとけいは優しい顔にかわり、
「じゃあ、特別に再入会を許可するわ。」
「ありがとう・・・・」
洋子「あーいい感じのとこ、悪いんだけど、うちの「かな」に中途半端に手を出した落とし前は、どうしてくれんのさ?」
あん「そうだね~」
「いいのよ!」
かなの声が部屋に響いた。
「わたし、ずるかったから・・・もういいわ。るみさん、もう一度仕切り直しでいいかしら?」
るみ「ダメだ」
かな「・・・そう・・・ごめんなさい、わたし、また、づるかったね・・・」
るみ「うちの前だけで言われても、だめ・・・りおにも言って・・・」
はっとした顔をした鈴木かな。
「そうだったわね、札幌帰ったら、また3人で会いましょう・・」
友だちってこういうもんだったな・・・。
つーわけで、主人公が帰ってきます。
自分で書いてて、なんだけど・・・・
主人公視点の話なのに、主人公脱走って、厳しかった。




