表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

100/180

99 修学旅行④

ようやく、お迎えです。

長かった・・・・。


「ただいま~」

16時。つばさが帰宅。

「ああ、お帰り。」

居候として、俺は玄関に出迎える。そして、彼女の荷物を受け取る。

「ありがと、登。」

と言って、にこりと微笑む。正直、かなり可愛い。ドキッとする。

この家に来て、もうすぐ1カ月が過ぎようとしている。

「じゃ、着替えてくるわー。」

靴を脱いで、玄関の脇にそろえたつばさは、鞄を俺から受け取り、玄関からすぐの階段を登っていった。

「さて、夕飯の支度でもするか・・・・」

居候の俺は家事をしている。これも修行だそうだ。

「ああ、登、つばささ、帰ってきたのか?」

リビングに戻ると源じいがソファーに座ったまま、俺にいった。

「んだ、つばさ、帰ってきた。」

「そうか・・・・今日は、つばさがわらすども(子ども)に稽古さつける日だったな」

「んだ、んだ。」

「登も手伝うんだべ?」

「んだぁ。いま、夕飯のしたくさ、すませたら、道場さ行って、準備するわ~。」

「したら、頼むで。」

そうして、おれは台所に向かう。久世の台所はかなり広い。大人数の調理もするから、ちょっとした飲食店と変らない。

「さてと、今日は久子さんは、尚成さんは出張でいないから、4人分か・・・何にするかな?・・・」

と冷蔵庫を開けて食材を確かめる。

「登~、あたしも、手伝う。」

着替えたつばさが台所にきた。

「いんや、いいで。俺、ひとりで」


ピンポーン


「あ、わたし、でるわ、」

ぱたぱたぱた・・・・。軽い足取りでつばさは玄関へと向かった。


野菜室の中を確かめる。玉ねぎに、にんじん・・・とキャベツはもう、かけらしか残ってないのか・・・・。買い物して来た方がいいかな・・・・。

「登」

と、源じいが台所に顔を出してきた。

「ん、なんだべ?」

「なんか、玄関でもめてっぞ」

「えぇ?なんだべな?でも、まあ、つばさならすぐ追い返せえるべ・・・・」

俺は首をひねった。

「登、ちょっとみてきてくれや・・・」

「ん、わかったで」

冷蔵庫を閉め、台所からリビング、そして廊下へ。なるほど、なんか言い争うような声が聞こえる。

廊下に出るとそれが少しずつ、はっきり聞こえる。

「だから・・そんなやつ、いねって!」「いますよね・・」「いね、いても、おめ達さあわす理由ね!!」「ああ、いるんですね。」

なんだべ?人違いか?

と、玄関が見えてくる。

玄関口には、見知った顔がのぞいていた。

思わず俺は立ち止まってしまった。

なんで・・・。佐藤でも鈴木でもないこの人たちが・・・・。


「だから、けえれっての!」

「そうはいきません。こちらははるばる札幌から来てるんですから。手ぶらでは帰れません。さあ・・・・・あ、あぁ~。ほら、いるじゃん!」

玄関口の顔を見せていた・・・柳川さんと目が合ってしまった・・・・。

「あ、ばか!なんで来たの!!」

つばさは振り返ると俺をたしなめた。

「あ、ご、ごめん・・・でも、なんで柳川さんたちが・・・・」

「え、なんで?決まってるじゃない・・・責任とってもらうためよ!」

目を細めて俺を睨みつける柳川さん。

「せ、責任?な、なんの・・・」

ふ~・・・・

柳川さんは息を一回吐き出す。

「ここじゃ、ちょっと・・・言いにくいわ・・・」

「え、なに?君たちに、メイワクかけるようなことは・・なにも・・・」

「しらばっくれるのね・・・・心当たりあるでしょ?」、

俺と柳川さんの間にいるつばさは、俺たちの顔を交互に見る。会話から、ただなることがあるのを察したのであろう、みるみる、不安げな表情になる。

「のぼる・・・なんか、したのか、この子に・・・・」

「え、いや、いろいろあったけど・・・もう、すんだことだし・・・ちゃんと解決してきたよ。」

「・・・いろいろ・・・あった・・・・・て、それ・・・・なに・・・・」

「え、っと、その・・・一言じゃ・・・長くなるからさ、あとで話すよ。」

すると、つばさは俺の方へ詰め寄ってきた。土足のまま・・・・。

「いま・・・・今、話して・・・」

「え、ほんとに長いよ、今度にするべ?な、な、」

すると柳川さんたち3人はこの隙に玄関のたたきまで入ってきた。

「・・・・ずるいのね・・・登さんは・・・いいわ、私が話すわ・・・」

それを聞いた五十鈴会長は玄関の引き戸を閉めた。

「あなた、許婚のつばさちゃんよね?なら、知っておいた方がいいわ・・・」

意味深に笑みを浮かべる柳川さん・・・・。

ことの顛末をしってるんだな・・・・。それをぶちまけに来たのか・・・・。なんで?何のために?

「・・・・この男はね・・・・」

ごくり。俺は目をつぶって生唾を飲み込んだ。俺の卑怯な振る舞い。わかっていても。他人から話されるのは・・・覚悟がいる・・・・。

「・・・・わたしの、いえ、わたしたちの弱みを握って・・・・その・・・・・」

と涙ぐむ柳川さん。

「・・・言いにくいのね・・・やなちゃん・・続きは私が・・・・」

来島さんが言葉を続けた。

「弱みをエサに、わたしたちを無理やり・・・ああ、もうそれ以上は察して・・・・ください・・・」

おれは目を見開いた。なんか違うぞ?そうじゃないよね?そういう話じゃ・・・・。

「の、のぼる・・・嘘だよね・・・・このおなごたちさ、言ってること嘘だべ?」

信じられないという顔をわかりやすくするつばさ。

「う、嘘じゃないわ・・・私たち二人を、一度に・・・いやだって・・・いったのに・・・この男は・・・」

柳川さんは、涙交じりに訴える。

「・・・え、一度に2人を・・・3人でってこと・・・ねえ、登。・・・・嘘だべ、いくら何でも・・・」

あれ?この二人、嘘は言ってない・・・確かに、弱みを握って、言いなりにした。そこはあってる・・・。

「なんで・・・なんで・・・だまってる!登!!」

あ、やべい爆弾爆発する。

「あ、いや、つばさ、確かに2人とは、いろいろあったけど、お前が考えてるようなことはない!大丈夫だ!!」

するとつばさは俺の襟を両手で捕まえ。めいっぱい目を開き、終え瞳を見つめた。

「あたしの考えてるようなこと、ってなんだ?なんだべ?言ってみてけれ・・・」

「え、っと・・・それは・・・その・・・ちょっとここでは言えないかな・・・ははは・・・」

襟をつかむ手に力入り始める。

「お、おめ、し、した・・・」

「ちょっといいかしら?」

すると2人の後ろに控えていた五十鈴会長が前へ出てきた。

「はじめましてね?つばささん。私はSK高生徒会長五十鈴まどか。じつはこの二人から相談されまして。」

俺の襟をつかんだまま、つばさは振り返る。

「だから、なんだべ、いま取り込み中だべ、おめたち、出直してきてくれねっか。」

「そーは、いきません。今聞いたことが事実なら・・・由々しきことです。生徒会長として見過ごせませんわ。こちらに引き渡してもらいましょう。いいですね。」

ぱっ・・・襟から手を放すつばさ。そして、五十鈴と相対す。

「こっちは、許婚だ。婚約者だ。おめ達こそ、けえれ。」

きっぱりと言い放った。

見た目はそっくりなつばさとまどか。背格好といい、とげのある美少女っぷりもそっくりだ。ついでに、平らなところも・・・。

にらみ合う2人。固唾を飲む俺と柳川さんと来島さん。

「いったでしょ・・・責任とってもらうって・・・それだけのことをしたのよ、かれは・・・・」

「そうはいかね。うちも、許婚だ。責任とってもらわねば・・・」

「あら、そういうことがあなたち2人に間に・・・あったのかしら?」

「っぐ・・・・」

「あら、感心感心。ふしだら関係じゃ無いようね・・・・じゃあ・・・・いいでしょ?」

と、その時だ柳川さんは、靴を脱ぎ捨てると、

「あ、えっ・・・」

俺の方へと歩み寄り、抱き着いてきた。

「じゃあ、まだ、遅くないわよね、私と、いえ、私たちとやり直しましょう!」

と言いながら・・・・。

「は、やり直す?何を?え?」

と言うやいなや、来島さんも靴を脱ぎ捨て、かけよってくる。

「そうよ、一人のものにならないで!私たち3人でまた・・・ね?」

とすがってきた。

目を見開き、ボー然とその様をつばさは見ている。

「わかったでしょ・・・?彼には責任とってもらわなきゃ。」

と腕組みして五十鈴はつばさに告げる。

「・・・・いんや・・・わたさね・・・何かあったか知んねけど・・・お、おわったことだべ!い、いま!いま!うちにいてくれてんだから!!」

顔を真っ赤にして言い返すつばさ。

「あら、それじゃなおのこと、すっきりさせてからのほうが、いいのでは?ねえ?」

「・・・・・・」

つばさは二の句がつけられない。


ガラガラララ!


その時、突然玄関の引き戸が開け放たれた・・・・。

さあ、けーるべ。

なあ、早くけーるべや。

凍れるし。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ