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勇者パーティーから追放されたけど、最強のラッキーメイカーがいなくて本当に大丈夫?~じゃあ美少女と旅をします~  作者: 竹間単
【第五章】 美少女と、魔物の住処で性(さが)を知る

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●99


「どうでしたか?」


「アップテンポな曲も可愛かったですが、こういうしっとりとした曲もいいですね。歌の上手さが際立ってました」


 俺が拍手を送ると、ケイティとレイチェルは顔を見合わせてから吹き出した。


「それにしても。ショーン様からあんな演出を頂けるとは思っていませんでした。ありがとうございました」


「びっくりしましたが、嬉しかったです。わざわざ初心な演技してくださってありがとうございます」


 どうやら二人は、俺が自身の目を隠しながら指の隙間から二人を見ていたことを、演技でやっていたと思っているらしい。


「あれは、わざとやったわけでは……」


「ショーン様は、リディアさんで見慣れてますもんね」


「今は幼い姿になっていますが、いつもは大人の魅力に溢れてますもんね、リディアさんって」


 言われて魔王リディアの大人の姿を思い出した。

 大人の姿の魔王リディアは、通りすがりの十人が十人とも振り返るような美貌だ。


「確かにリディアさんの大人の姿はすごいですよね。ハニートラップ百発百中という感じで」


「はい。リディアさんが近くにいたら、目が肥えちゃいそうです」


 頷き合う俺とレイチェルをよそに、ケイティはどこからか取り出した鏡を確認していた。


「ケイティは童顔だからなあ。もうちょっと大人の魅力が欲しいなあ」


「童顔は童顔で需要があるらしいわよ」


「ケイティは大人っぽくなりたいの。すぐにケイティがセクシー担当になってやるんだから!」


「何年経ってもケイティにセクシー担当は無理よ」


「レイチェルの意地悪」


 この二人は、仲が良いのか悪いのか。

 息ピッタリかと思えば、すぐに喧嘩を始める。

 喧嘩するほど仲が良いというやつだろうか。

 本当に仲が悪かったら、一緒には住まないはずだ。


「まあいいや。次も水着で歌って踊ります」


「今度は激しい曲なので、ノリノリでいきますよ」


 それに仲直りも早い。

 …………ん? 水着で激しい曲?


「もう水着は堪能しましたから! 早く着替えてきてください!」


 俺は、二人を無理やり隣の部屋へと押し込んだ。




 普通の服に着替えてきた二人は、さらに数曲を披露してくれた。

 ついでに目隠しけん玉とブリッジ歩行、怪談と漫談も披露してくれた。


「とっても可愛かったです。それにかくし芸もお上手でした。二人とも、絶対にアイドルになれますよ」


 俺の言葉を聞いたケイティとレイチェルは、嬉しくてたまらないのだろう、頬をずっとゆるませている。

 彼女たちが笑顔だと、何だか俺まで嬉しくなってくる。

 これがアイドルの効果だろうか。


 きっと彼女たちは、これからたくさんの魔物を笑顔にするはずだ。

 もしかすると、人間までも笑顔にしてしまうかもしれない。

 現に今、俺は笑顔になっている。


「あの、ショーン様」


 二人につられて微笑む俺に、ケイティが切り出した。


「ケイティたちには、まだファンが一人もいません。もしよければ、ショーン様がファン第一号になってくれませんか?」


 こんな可愛い頼みごとをされて、断ることが出来るだろうか。

 いや、そもそも断る理由がない。

 だって俺はもう彼女たちのファンなのだから。


「はい。俺がファン一号になります」


「ありがとうございます! じゃあこのファンクラブ会員の契約書に、ぜひサインをお願いします」


 そう言ってケイティは一枚の紙を取り出した。

 紙の一番上には大きく『ケイティとレイチェルのファンクラブ会員に関する契約書』と書かれている。


「本格的だね。ここにサインをすればいいの?」


 俺は、契約書の一番下にある署名欄を指差して尋ねた。


「そうです。よろしくお願いします!」


 俺は渡されたペンでさらさらとサインを書いていく。

 横からその様子を覗き込んだレイチェルが、ケイティに向かって何かを言おうとした。


「ケイティ。あんた、それ……」


「レイチェル、時として度胸も無いとアイドルとしてはやっていけないんだって」


 しかしレイチェルの言葉は、ケイティによって遮られてしまった。


 アイドルには度胸も大事、か。

 なるほど、そうかもしれない。


「ケイティは度胸があり過ぎよ」


 レイチェルは呆れたようにケイティを見たが、それ以上は何も言わなかった。





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