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勇者パーティーから追放されたけど、最強のラッキーメイカーがいなくて本当に大丈夫?~じゃあ美少女と旅をします~  作者: 竹間単
【第四章】 腹筋が割れてた方がモテそう、とあいつが言っていた

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 俺たちが草原を歩いていると、背後から俺たちの前に飛び出してくる人影があった。

 人影……彼女の顔には、見覚えがあった。


「えへ。ついてきちゃった」


「あなたは! セクハラ女さん!?」


 レストランで俺の筋肉を触っては、ハァハァと荒い息を吐いていたセクハラ女だ。

 過去に盗賊団にいたというだけあって、身軽な上に隠密も得意なようだ。


「ショーンきゅんったら、私のことをセクハラ女だなんて呼んで……ドキドキしちゃうじゃないっ!」


「…………え?」


「もっと罵って! ショーンきゅんに罵られるのはご褒美だから。ハァハァ」


 セクハラ女は、相変わらず荒い息を吐いていた。


「女難の相とは、これのことかのう」


 魔王リディアが、セクハラ女を冷めた目で見ながら言った。


「だとしたら、あの占いおばばさんは本当に未来が視えるのかもしれませんね」


「あの占いおばばは、適当なことを言っているだけだと思うのじゃ」


「リディアさん。キャラが被ってるからって、そういうことを言うのは良くないですよ」


「何度も言っておるが、妾とあの占いおばばのキャラは被ってないのじゃ。喋り方がほんのちょっと似ているだけなのじゃ」


「ほんのちょっと、ですかね?」


 俺と魔王リディアが話していると、セクハラ女が身体をくねらせた。


「ああっ、無視されてる! 放置プレイね!? 興奮しちゃう!」


「……ポジティブな方ですね」


「分厚いオブラートに包んだ表現じゃのう」


 だってオブラートに包まない表現をすると、それがまたセクハラ女を悦ばせてしまうから。

 何とも厄介な性癖だ。


「というか、呪いのゴーグルが効いてないんですけど!?」


 ゴーグルを装着したら異性からの好感度が劇的に下がるはずなのに、目の前のセクハラ女は俺のことを見つめながらハァハァしている。


「ふむ。劇的に好感度が下がってもまだ好感度が高いくらいに、この女はショーンに惚れこんでおったか」


「いやいや、俺たちは完全なる他人ですよ!? 俺はあの人の名前すら知らないんですよ!?」


「目の前で他人と言い切るなんて……ショーンきゅんってば、さすが過ぎる! もっと私を悦ばせて!」


 本当に扱いに困る人だ。


「お、そうじゃ。呪いのゴーグルが効かない別の理由を思い付いたぞ」


 そのとき魔王リディアが膝を打った。


「理由? 何ですか?」


「あの女は、ショーンの異性ではないのかもしれん」


 魔王リディアが、セクハラ女を横目で見ながらニヤリと笑った。


「俺の異性ではないということは、俺と同性……男ってことですか!?」


「この世には、男の娘という生き物が存在するらしいのじゃ」


 セクハラ女は、変な人物ではあるが、どこからどう見ても女性に見える。

 肌が綺麗で髭の痕は見えず、骨格も女性のそれだ。


 これが男の娘という存在なら、俺の女装なんか鼻で笑われる出来だっただろう。

 女装をしなくてよかった。


「ショーンきゅんったら私のことをじっと見つめて……ああんっ、きっと今ショーンきゅんの頭の中で私は丸裸にされているのね!? 恥ずかしい! 恥ずかしいからこそ興奮する!」


 ……いくら女性にしか見えない外見だったとしても、性格がこれではなあ。

 外見を吹き飛ばすほどの強烈な性格だ。


「ショーンきゅんたちがこれからどこに行くのかは知らないけど、どこへでもついて行くわ。だって私はショーンきゅんにフォーリンラブだから!」


「フォーリンラブ……」


「そう。私の愛の炎はショーンきゅんに出会った瞬間に燃え上がっちゃったの!」


「愛の炎……」


「寝るときは一緒の布団で眠りましょうね。後悔はさせないから。ショーンきゅんに新たな世界を見せてあげるわ!」


「は、はあ……」


 セクハラ女の見せる新たな世界には、関わりたくない気がする。

 なんだか足を踏み入れたが最後、通常の世界には戻って来られなさそうだ。


 あとセクハラ女は言葉のチョイスが全体的に古い。

 すでに男の娘でドMで筋肉フェチで元盗賊という属性があるのに、キャラを盛り過ぎだ。


「あぁんっ、ショーンきゅんったら、その冷たい視線がたまらないっ! 私のことは、雌豚でもゴミクズでも、好きに呼んでね!」


「……この人どうしましょうか、リディアさん」


「変質者は相手にしないのが一番じゃ」


 こうして俺と魔王リディアの旅に、セクハラ女がついてくることになってしまったのだった。





ここまでお読みいただきありがとうございます。

この話で第四章は終了となります。

楽しんで頂けていたら幸いです。


なお、この物語は章ごとにテーマがあります。

第一章のテーマは『〇〇〇〇〇〇〇がある』

第二章のテーマは『愛と差別』

第三章のテーマは『正義と各々の世界』

第四章のテーマは『仕事とプライベート』

です。

第五章はまた違うテーマの話になりますので、お楽しみに。



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今後もよろしくお願いします!

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