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勇者パーティーから追放されたけど、最強のラッキーメイカーがいなくて本当に大丈夫?~じゃあ美少女と旅をします~  作者: 竹間単
【第四章】 腹筋が割れてた方がモテそう、とあいつが言っていた

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 武闘大会の優勝は、予選ブロックで闘ったスポーツマン素手マッチョだったらしい。

 納得の結果だ。


「はあ、散々な目に遭いましたよ。至近距離から重そうな拳が飛んできて、死ぬかと思いました」


「空中で身体を捻って急所を外さなければ、危なかったかもしれないのう」


「反射神経が良くて助かりました」


 急所は外したものの、気絶してしまった。

 もし武闘大会ではなく実践だった場合は、死が確定していただろう。


「それにしても、希望通りに食事券をもぎ取るとは。ショーン、さてはお主、ユニークスキルを使ったな?」


「使ってませんよ。あんなチート能力を使ったら、正々堂々と拳で闘っている他の参加者たちに悪いですから」


「……本当に使っていないのか?」


「使ってませんってば。だから実力で五位をもぎ取った俺を褒めてください」


 俺が褒めを要求すると、魔王リディアは俺を褒めるどころか難しい顔になってしまった。


「どうかしたんですか?」


「……何でもないのじゃ。ショーンは偉いのう」


 しかしすぐに魔王リディアは笑顔になり、俺の頭を乱暴に撫で始めた。




「お。ようやく起きたか」


 そのとき、遠くから野太い男の声が聞こえてきた。

 声のする方を見ると、武闘大会の受付前で出会った大柄な男が近付いてくるのが見えた。


「具合はどうだ? うちの僧侶が治療したから問題ないとは思うが、まだ痛むところはあるか?」


 大柄な男に言われて、自身の身体がどこも痛まないことに気付いた。

 あれだけの強烈な攻撃を受けたから、治療は大変だっただろう。

 それなのに完璧に治してもらえるなんてありがたい。


「もとより元気なくらいです。治療をしてくださってありがとうございました」


「そうかそうか。ところで寝起きのところ悪いが、さっそく契約の話をしてもいいか?」


「契約?」


 予期せぬ単語に俺が首を傾げると、大柄な男は呆れたように俺のことを見た。


「武闘大会の申込書に書いてあっただろ。入賞したら『鋼鉄の筋肉』のダンジョン攻略に協力するって」


「え!?」


「きちんと読んでなかったのか?」


「すみません……」


 言われてみると申込書にはいろいろと書かれていたが、赤字で書かれた禁止事項についてだけを確認して提出したような気がする。

 契約書はきちんと読まないと詐欺に遭う、と昔誰かに注意をされたのにすっかり忘れていた。


「この武闘大会はそもそも『鋼鉄の筋肉』と一緒にダンジョンに潜るメンバーを探すために開催したものだ」


「じゃあ賞品と引き換えにタダ働きが条件だったということですか!?」


 とんだ詐欺に引っ掛かってしまったと焦ったが、男はこれには首を振った。


「いいや、食事券はあくまでも大会の賞品だ。ダンジョン攻略に関しては別途『鋼鉄の筋肉』から賃金を支払う」


 どうやら賞品で釣ってタダ働きをさせるわけではないらしい。

 ダンジョン攻略に関しても賃金が払われるのなら、普通のギルドと変わらない。


「そして、もし『鋼鉄の筋肉』が気に入ったら、そのまま加入してもらえると助かる。今はギルドの勢力を拡大しようとしているところだからな。一緒にダンジョンに潜ったら、きっとギルドが気に入るぞ」


「ショーンよ、これは妾たちが求めていたものである。そう、闇クエストじゃ!」


 魔王リディアが高く拳を突き上げた。

 確かにこの条件なら、交渉次第ではギルドに名前を登録せずにダンジョン攻略に参加させてもらえそうだ。

 食事券が手に入って、ダンジョン内で呪いのアイテムを探せて、賃金まで貰えるのだから、一石三鳥だ。


「俺たち、ダンジョン攻略に参加します!」


 俺も魔王リディアに習って拳を高く突き上げた。

 しかし大柄な男は、そんな俺たちの様子を不思議そうな顔で見ていた。


「何を言ってるんだ?」


「へ?」


「『鋼鉄の筋肉』は女人禁制のギルドだ。お前『たち』は連れて行けねえよ」


 大柄な男は魔王リディアに目をやった。


「妾、めちゃくちゃ強いぞ」


 魔王リディアは腰に手を当てて主張したが、大柄な男の意見は変わらなかった。


「たとえそうだとしても、ルールはルールだ。お嬢ちゃんだけ例外というわけにはいかねえ」


「だそうです。リディアさん」


「ふむ。『鋼鉄の筋肉』とのダンジョン攻略を断ったらどうなるのじゃ?」


「大会の賞品は無しだな」


 当然の答えだ。


 ダンジョン攻略を断ると武闘大会に出たことが無駄になってしまうが、ダンジョンに魔王リディアと一緒に潜れないのでは仕方がない。

 魔王リディアが隣にいない状態の俺は、ボスモンスター相手にやられてしまう可能性が高いからだ。


「残念ですが、今回のお話はお断りを……」


「嫌じゃ!」


 俺が丁重に断りを入れようとすると、魔王リディアが俺の口に手を当ててそれを阻止した。


「妾は今すぐレストランに行きたいのじゃ! 五分以内にご当地飯が食べたいのじゃ!」


「リディアさんはすぐにワガママを言うんですから」


「ダンジョン攻略に関してなら心配する必要はねえよ。『鋼鉄の筋肉』は強者揃いだ。お試しで連れてきた奴を最前線に置くような真似はしないと約束するぜ」


 魔王リディアがごねている状態で大柄な男にそう言われてしまうと、俺は断る理由を見つけられないのだった。





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