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勇者パーティーから追放されたけど、最強のラッキーメイカーがいなくて本当に大丈夫?~じゃあ美少女と旅をします~  作者: 竹間単
【第四章】 腹筋が割れてた方がモテそう、とあいつが言っていた

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●73


 地面に落ちた防具を拾って付けている時間は無い。

 だから素手マッチョが攻撃をしてくる前に、こちらから攻撃をした方が良い。

 素手マッチョは狙いを定める時間をくれそうにないから、弓ではなく長剣で攻撃をするべきだろう。


 俺は弓を捨て、長剣を構えた。

 そしてすぐに素手マッチョ目掛けて飛びかかる。


 素手マッチョ目掛けて振り下ろした剣は……素手マッチョの拳で粉々に粉砕された。


「そんなのありーーー!?」


 観客席からは、割れんばかりの歓声が聞こえてきた。

 俺は後方に跳んで、素手マッチョとの距離を取った。


「これじゃあ木の武器は意味がないじゃないですか」


 そう言いながら、一度捨てた弓を再度手にした。

 効かないと分かっていても、丸腰のままリングに立っているのは危険すぎる。

 弓が牽制にでもなればいいのだが。


「どうした? 来ないなら今度は俺から行くぞ」


「ちょっと待ってください。何と言いますか、こう……平和について話し合いませんか?」


「良い議題だが、武闘大会の試合中に話すことではないな!」


「ですよねー!?」


 俺はリング内を跳び回り、素手マッチョの攻撃を避け続けた。

 予想はしていたが、弓を射る時間を与えてはくれないみたいだ。


「逃げずに闘え。これは武闘大会なんだぞ!」


「ごもっともですー!」


 素手マッチョの言う通りだが、痛いのは嫌だ。

 どうにか攻撃を受けずに勝てないものだろうか。

 …………そうだ!


 俺はある場所まで来ると、最大まで素手マッチョを引き付けた。


「ようやく闘う気になったか」


 そして素手マッチョが攻撃を仕掛けた途端、真横に跳んだ。

 俺の後ろにいたのは……大剣を持ったマッチョだ。

 素手マッチョの繰り出した攻撃は、大剣マッチョへと向かう。

 自分の攻撃が大剣マッチョへ向かったことに何故か素手マッチョは慌てた顔をしたが、もう攻撃の勢いは殺せない。


 大剣マッチョは、素手マッチョの攻撃を大剣で防ごうとしたが、俺のときと同じように大剣は木っ端みじんになった。

 またしても割れんばかりの歓声が響き渡る。


「大剣マッチョさんは、俺が後ろを向いている間に攻撃をすればよかったのに。まあ攻撃をされたらされたで避けましたが」


 大剣マッチョも戦意喪失して、リングから去って行った。

 残りは三人。

 俺と素手マッチョとハンマーマッチョ。

 それなら狙うべきは……。


「素手マッチョさんには勝てそうもないので、ハンマーマッチョさんを蹴落とさせてもらいますね」


「俺から逃げるのか!?」


「ハンマーマッチョって何だよ!?」


 二人が同時に叫んだが、それらを無視してハンマーマッチョの間合いに入った。

 ハンマーマッチョは俺に向かって力いっぱいハンマーを振り下ろす。

 その瞬間に地面を蹴って跳び上がり、ハンマーの上に着地する。

 さらにもう一度跳び上がって矢を手に取り、ハンマーの柄に狙いを定める。

 そして矢じりがかかとに当たるように持ち、その状態でハンマーの柄にかかと落としをする。


 メリメリ、ミシッ。


 素手マッチョのように木っ端微塵とはいかなかったが、矢じりに俺の全体重を乗せたかかと落としによって、ハンマーの柄に深いダメージが入った。

 この状態でハンマーを振り上げたら、頭の部分の重さによって柄が折れることは間違いないだろう。


 これで試合終了かと思ったが、ハンマーマッチョは素手で闘う気のようだった。

 構えのポーズを見る限り、素手での戦闘も素人ではなさそうだ。


「困りましたね。全員素手だと勝ち目がないんですよね、俺」


 正確には、俺だけは弓を持っているが、遠距離戦に持ち込めないとなるとあまり意味がない。

 素手の二人は確実に接近戦を仕掛けてくるはずだ。


 となると俺が狙うべきなのは……得点での勝利だ。

 あくまでも体感だが、今のところは素手マッチョが得点一位、俺が二位、ハンマーマッチョが三位だ。

 芸術点の加点が高い場合は、俺が一位の可能性もある。

 確実なのは、ハンマーマッチョが三位だという点だ。


 このままハンマーマッチョに活躍をさせずに試合終了まで持ち込めれば、俺はトーナメント戦に進むことが出来る。

 何も予選で一位になる必要はないのだ。


 俺は逃げながら、矢を槍のように投げつけたり、地面に落ちているマントを使って目隠しをして時間を稼いだ。


「武闘大会ってこんな大会だったっけ?」

「この展開、さっきのブロックでも見たような?」

「筋肉と筋肉のぶつかり合いは?」


 観客席からそんな疑問の声が聞こえてきたような気がしたが、無視して逃げ続けた。

 ついに試合終了が告げられ、Dブロックの勝ち上がりは、俺と素手マッチョに決まった。





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