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勇者パーティーから追放されたけど、最強のラッキーメイカーがいなくて本当に大丈夫?~じゃあ美少女と旅をします~  作者: 竹間単
【第三章】 困っている女の子は助けるべし、と誰かが言っていた

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●56 side 勇者


 僕たち勇者パーティーは、魔王城へ進むルートを一旦外れ、とあるダンジョンを目指していた。


「ねえ勇者、もう少し行くとダンジョンがあるのよね?」


「ああ」


「勇者さん、どうしたのですか? 最近口数が少なくて、わたくし心配です」


「この前のダンジョンで全滅しそうになったから、思うところがあるんだろ。俺も自分の実力を過信していたと反省しているところだ」


 僧侶の疑問には、僕の代わりに戦士が答えた。

 当然それも理由の一つだ。


「反省してるのは私もよ。だからこそ魔王城へ行く前にダンジョンに潜りまくって自らを鍛えようって話になったのよね」


「この前のダンジョンと言えば、わたくしたち三人が倒れたのに勇者さんはダンジョンをクリアしたのですよね。さすがです」


「俺たちも勇者を見習って精進しないとな」


「…………」


 戦士と僧侶と魔法使いは、この前のダンジョンでボスモンスターによって気絶させられていた。

 だからその後の出来事を知らない。

 彼らが回復した後も、僕はダンジョンで起こった出来事を語らなかった。

 そのため彼らは、ボスモンスターを倒したのは勇者である僕だと思い込んでいる。


「それにしても、運気があんなに結果に直結してるとは思わなかったわ。荷物持ちがいた頃は全滅しかけたことなんて無かったもんね」


「荷物持ちさんはいつも立っているだけでしたが、立っていることが重要だったということですね」


「今思えば、あいつはボスモンスターとは戦わなかったが、自分の身を守ることは出来ていた。守る必要が無く、パーティーの底力を上げてくれていたわけだから、パーティーに置いておいて損は無かったな」


 あのダンジョン以降、僕たちは運気を上げる装飾を購入し、全員が身に付けている。


「荷物持ちのラッキーメイカーって、どの程度運気を上げるユニークスキルだったのかしら。町で買った装飾で、同じくらい運気を上げられるもの?」


「どうでしょう。難しかった場合は、またラッキーメイカーのスキルを持つ人を勇者パーティーに入れることを検討した方が良いかもしれません」


「ラッキーメイカーなんてユニークスキルは、荷物持ち以外で聞いたことがない。装飾でどうにもならなかった場合は、荷物持ちをもう一度勇者パーティーに入れることも検討した方が……」


「……うるさいなあ!」


 みんなして荷物持ちを評価するなんてどうかしている。

 あいつは間違いなく、勇者パーティーには要らない人材だった。


「ごめん。勇者は荷物持ちのことが嫌いだったよね」


「荷物持ちを追い出した勇者の行いを否定するようなことを言って悪かった」


「わたくしも配慮に欠くことを言ってしまい申し訳ありませんでした」


 戦士、僧侶、魔法使いが僕に謝った。


「だがこの機会だから、勇者に聞いておきたいことがある」


「……何だよ」


 頭を下げた戦士は、顔を上げると僕に質問をしてきた。

 この機会だから、ということは、何かが前から気になっていたのだろう。


「荷物持ちは役立たずだから勇者パーティーには要らない。勇者のこの意見に俺は賛成した。しかし……荷物持ちが役立たずだと判明する前から、勇者はあいつのことを嫌っていた気がする」


「そういえば初顔合わせのときから気に食わないって顔をしてたわね。戦士と僧侶と私のことは笑顔で受け入れてくれたのに」


「もしかして勇者さんと荷物持ちさんは、前からの知り合いだったのですか?」


 戦士の質問を聞いた僧侶と魔法使いも、不思議そうに僕を見た。


「……いいや。荷物持ちともあのときが初対面だった」


「じゃあ、生理的に無理、みたいなやつ?」


「生理的に無理か。ああ、それが近いかもしれない」


 僕は荷物持ちに出会った瞬間に、あいつのことが気に食わなかった。

 …………違う。

 今思えば、気に食わないのではなく、僕は心のどこかであいつのことが恐ろしかったのかもしれない。





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