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勇者パーティーから追放されたけど、最強のラッキーメイカーがいなくて本当に大丈夫?~じゃあ美少女と旅をします~  作者: 竹間単
【第二章】 美少女と、善人の村で愛を知る

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35/172

●35


 俺の話した方法を聞いたアドルファスとヘイリーは、一旦は顔を曇らせたものの、これを承諾した。

 そして最後の別れを交わす。


「君のことも、子どものことも、生涯忘れない。どうか幸せになってくれ」


「私もあなたのことを忘れないわ。この子は立派に育てるから」


「いつまでも愛してる」


「私も、いつまでも愛してるわ」


 二人のやりとりを、魔王リディアと俺は黙って眺めていた。

 その後、ヘイリーとの熱い抱擁を済ませたアドルファスは、俺たちに向き直った。


「お前は俺が幸せにはなれないと言ったが、そうでもない。妻と子どもが元気に生きられるなら、俺はそれだけで幸せだ」


「……本当に?」


「……本当なわけがないだろう。今にも泣きそうだが、最後くらい格好つけさせろよ」


 俺が尋ねると、アドルファスは小声でそう言った。

 愛し合う夫婦の子どもを救う方法がこれしかないなんて、やるせない。


「最後に親子三人で写真を撮りませんか?」


「そりゃあ撮りたいが、カメラなんて高級なものは持ってない」


 ふと思いついて提案をすると、アドルファスが悲しそうに首を振った。

 しかし運の良いことに、俺は今、カメラを持っている。


「俺がカメラを持ってます。ちょっと特殊なカメラですが……」


「お願いしても良いか?」


「もちろんです。じゃあ三人でくっついてくださいね。ハイ、チーズ!」


 俺はカメラから出てきた写真をアドルファスに渡した。

 ヘイリーが羨ましそうな顔をしていたが、俺は首を横に振った。

 三人で写っている写真を、ヘイリーが持っていては問題が起こるからだ。

 そのことはヘイリーも分かっているようで、写真が欲しいとは口に出さなかった。


「別れの挨拶は終わったかのう」


 最後にアドルファスが、ヘイリーと子どもの額にキスをしてから、魔王リディアの言葉に頷いた。


「なら全員外に出ておれ。戦闘の跡を残すために妾が暴れるからのう」


 アドルファスとヘイリーと彼らの子ども、それに俺が家の外に出ると、家の中に残っていた魔王リディアがものすごい音を立てた。


「たまに暴れるとスッキリするのう」


 少ししてそんなことを言いながら魔王リディアが外に出てきたので、家の中を覗いてみると、めちゃくちゃ以外の表現が見つからないほどに家の中は荒らされていた。

 テーブルは真っ二つになり、布団は切り裂かれ、床には椅子だったものと思われる残骸が散らばっていた。

 木でできた壁にも天井にも、無数の引っかき傷が残されている。


 一緒に暮らした想い出の家の無残な様子は、アドルファスとヘイリーには見せない方が良いと思った俺は、二人を家に近付けないようにしつつ、森の中を歩き始めた。



   *   *   *



 トウハテ村にヘイリーを連れて戻った俺と魔王リディアは、村人たちから熱烈な歓迎を受けた。

 同時に帰還したヘイリーが抱いている赤ん坊についての質問が飛んできたが、個別の質問はキリがないということで明言を控えた。

 ただし村人全員を集めた場でなら話す、と条件を付け、村人たちの前でヘイリー救出の経緯を語ることになった。


 てっきり村長の家に集まるのかと思ったが、村にはもっと広い集会場があり、そこに村人全員が集められた。

 俺は集会場の真ん中に座ると、ヘイリー救出の経緯を語り始めた。


 噓で固めたヘイリー救出の経緯を。






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