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勇者パーティーから追放されたけど、最強のラッキーメイカーがいなくて本当に大丈夫?~じゃあ美少女と旅をします~  作者: 竹間単
【第八章】 美少女と、研究施設で罪を知る

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171/172

●171


「俺は、この世界を…………」


 残すべきか、消すべきか。


 俺の感情抜きで考えたとき、この世界は出来の良い世界だと言えるだろうか。

 人間と魔物が争い合い、人間同士でも争い、嘘を吐き合う、そんな世界が。


 分からない。

 以前の俺だったら、出来の悪い世界だと判断していたかもしれないが、リディアとの旅で、この世界はそう簡単なものではないと知った。


 争い合っているものの、魔物にも人間にもいい奴はいる。

 それに人によって大切にするものが違うから争い、大切なものを守るために嘘を吐く。

 これらのことを踏まえても、出来の悪い世界と言えるだろうか。


 分からない。

 意味もなく人間を殺す魔物もいるし、善良な魔物を攻撃しようとする人間もいる。

 何もしていない他人から、ただ盗みたいから盗む人間もいる。


 分からない、分からない、分からない。


「……ごめん。期限ギリギリまで、答えを待ってほしい」


 だから今の俺には、こう言うほか、なかった。


「何となくそんな気はしてたよ。いいぜ、待ってやる。何年も結論を出さなかったんだ。あと数ヶ月待つのも大して変わらねえよ」


「ありがとう」


 早く決めろと急かされるかと思ったが、意外にもクシューは、俺の答えを待ってくれるみたいだ。

 よく考えると、記憶の中のクシューも、同胞で相棒である俺には優しかった気がする。


「ただし。ショーン自身の個人的な感情は挟まずに、きちんと神の触手として結論を出せよ」


 クシューは俺に念押しをした。


「俺はショーンのことを同胞として大事にしているが、一線を超えるようなら容赦はしねえぜ?」


「……分かったよ」


「ショーンが俺と同じ結論に至ることを期待してるぜ。じゃあショーンが結論を出すまでの間、魔王として仕事でもしておくか。魔物たちが、早く人間を滅ぼしたい、ってうるさいんだよな」


 最後に不穏な言葉を残して、クシューはパッと消えてしまった。



   *   *   *



「さて。これからどうするつもりじゃ、ショーンよ」


 二人きりになったところで、リディアが質問をした。


 どうもこうも「ユニークスキル・ラッキーメイカーを消す呪いのアイテム探しの旅」は、全く意味がないものだと判明したのだ。

 だから、この旅を続けるわけにはいかない。

 これから俺が行なうのは。


「俺は、この世界を知るための旅に出ようと思います」


 この世界を残すか消すか決めるために、俺はこれからも旅をする。

 タイムリミットまで、あと少し。



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