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勇者パーティーから追放されたけど、最強のラッキーメイカーがいなくて本当に大丈夫?~じゃあ美少女と旅をします~  作者: 竹間単
【第二章】 美少女と、善人の村で愛を知る

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17/172

●17


 俺は、次の目的地までの道を、魔王リディアと歩いていた。

 地道に、自分の足で。


「直接ダンジョンに飛んで行きましょうよ」


「言ったであろう、これは旅じゃ」


 今の俺たちの目的地はダンジョンではなく、ダンジョン近くの村だ。

 遠回りだが、ダンジョンからダンジョンへ移動したのでは旅が味気なくなるという、魔王リディアの持論のためだ。


「それに旅であるからには、ご当地飯を堪能しなくてはならぬ」


「旅にそんなルールは無いと思います」


「妾が作ったのじゃ。妾のルールは絶対じゃ」


 魔王リディアはぷんすかと怒りつつ、最初に出会ったときと同じ子どもの姿へと変身した。

 今回は子どもから大人に変身した前回とは違い、すぐにサイズの合った服も着てくれた。


「子どもの姿に戻っちゃうんですね」


「妾はこの姿が一番プリティじゃからな」


 魔王リディアがその場でくるくる回ると、フリル付きの可愛いスカートが風にふわふわと舞った。

 確かに可愛い。

 可愛い……が……。


「ショーンは、まだ妾に大きい姿でいて欲しかったのか?」


「いえ、別に……そんなことは、ない、です」


 本当は、ちょっとそんなこともある。

 大きい姿の魔王リディアは、芸術品のような整った顔立ちで、スタイルが良く、おまけにイイ香りもする。

 ……もちろんわざと嗅いだわけではなく、隣を歩いていたら偶然香ってきただけだが!


「それにしても、妾はショーンのことを見直したのじゃ」


 俺が自分自身に言いわけをしていると、魔王リディアが俺の顔を見て微笑んでいた。

 まるで天使の微笑みだ。


 しかし俺は、魔王リディアに見直されるようなことをしただろうか。

 勇者パーティーから追放された割に、苦も無く歩き続けることの出来る健脚を見直したとか?

 もしくは。


「ダンジョンでボスモンスターを倒したから、俺のことを見直してくれたんですか?」


「違うのじゃ」


 違った。

 あと俺が見直されるような出来事は……。


「じゃあ追放されたのに勇者パーティーのみんなを助けたからですか?」


「それでもないのじゃ」


 これでもなかった。

 ということは……俺は他に何かをしただろうか。


「うーん、他に見直されるようなことをした覚えはないですが。俺、何か見直されるようなことをしましたっけ?」


「妾のことを賞賛したではないか」


 魔王リディアはニマニマと嫌な笑い方をしながら、俺のことを人差し指で小突いた。


「ふふん。ショーンの年齢で年上好きとは、なかなかに将来有望じゃ」


「リディアさんは俺のどこを見直してるんですか!?」


 何かしらの能力や善行を見直されたのかと思ったのに、全然違った。


「さらに、スタイルが良くてイイ香りがする、と追加の賞賛までくれるとは。ますます見直したぞ」


「あーっ! また勝手に俺の心を読んだんですね!? それ、やめてくださいよ!?」


 魔王リディアは他人の思考を読むことが出来るため、こうやって俺はすぐ彼女にからかわれてしまう。


「ケチなことを言うでない。知られて困るようなことを、ショーンが考えなければよいであろう」


「確かに……って、俺が気を付けるのはなんかおかしくないですか!?」



   *   *   *



 歩き続けてどのくらい経っただろう。

 目の前に自然だけが広がる道を歩き続けるうちに、ようやく人間が住んでいる気配のある場所へと辿り着いた。


「目的の村に着いたみたいじゃぞ」


「ここが東の果ての、トウハテ村ですね」


 俺は地図を広げながら、現在地を確認した。

 村の入り口には村の名前が書かれた立札のようなものは無かったが、地図を見る限りここがトウハテ村で間違いなさそうだ。


「小さな集落みたいですが、飲食店はあるでしょうか?」


「ん? ショーンはここへ来るのが初めてなのか? 勇者パーティーでは通らなかったのか?」


「ええ。だからこそ村の近くにあるダンジョンが残っているんですよ」


 俺が魔王リディアの問いに「何を当然のことを聞いているんだ?」という態度を返すと、彼女は力いっぱい俺の足を踏んだ。


「痛てっ!?」


「そのくらい妾も分かっておるわ!」


 俺は少女の姿の魔王リディアに何度も頭を下げ、やっと足を退かしてもらった。

 今の見た目は俺の方が年上だが、相変わらず力関係は圧倒的に魔王リディアの方が上だ。

 しかし勇者パーティーにいた頃とは違い、嫌われているわけではないことは分かるから、この関係性も悪くはない。






こんにちは。

この話は、第二章には相応しくないかも?と思いつつ、書きたいので書きました。

何かを感じていただけると嬉しいです。


応援してやってもいいよと思ってくださったら、ブックマークや☆評価を頂けると嬉しいです^^

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