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〜今があるのは〜

私は目を覚ました。

目の前は真っ暗で何も見えない。

ふと昨日何があったか考える加賀谷、考えているうちに目が慣れてきて、周りの景色が微かだがぼんやりと見えてくる。

景色が見えてくると同時に加賀谷は昨日何があったか思い出した。

15年間続けてきた野球をイジメで辞めて、自暴自棄になりお酒をひたすら飲んでいたのだ。

飲んでいる時、1人のおじいさんに話しかけられ千鳥足になりながらどこかに連れて行かれた。

記憶はそこまでで途切れていて、いくら考えても思い出せない。

すると、後ろから声がする。「起きたのかい?」気がつくと昨日のおじいさんが後ろに立っていた。

加賀谷は昨日の記憶がなく、好奇心と恐怖が混ざった表情でおじいさんに返事をした。

おじいさんはその一言だけを言いまたどこかへ消えていった。

加賀谷はおじいさんの言葉を聞き好奇心の気持ちはなくなり、恐怖しか感じなくなってしまった。

はやく逃げないと。

まずは場所を把握することが大切だと感じた加賀谷はベットから立ち上がり、薄暗い部屋を一通り調べてみた。加賀谷がいる部屋にはベットと先ほどおじいさんが入ってきた扉があるだけで窓もない。

どうするべきか考えているうちに、おじいさんの足音が聞こえてくる。

加賀谷はベットに戻りさっきと同じ体勢になる。

「ガチャ」扉が空いた。

おじいさんが口を開いた。「朝飯ができたから食べなさい。」

少し間を開けて加賀谷は返事をした。

加賀谷の返事を聞いたおじいさんは再び扉の奥に消えていった。

先ほどまでの恐怖心が少し会話をするごとに薄らいでいく。

せっかく作ってくれた朝ごはんを食べようと、箸に手をつける。

箸に手をつけご飯を食べた瞬間、驚きのあまり体が止まってしまった。

その理由は、死んだはずのおばあちゃんが作ってくれていた朝ご飯の味と同じだったからだ。

加賀谷には生まれた時から家族がおばあちゃんしかおらず、そのおばあちゃんも昨年死んでしまい、とうとう家族と呼べる人がいなくなってしまったばかりだった。

なぜおばあちゃんの朝ごはんだとわかったのか、それは、朝からカレーを出すこと、カレーの具材にはピーマンと椎茸が入っている独特な料理だったからだ。

正直まずくておばあちゃんが作る料理の中でも嫌いな料理だ。

その後驚いて止まってしまった箸を動かし朝食を食べ始めた。

食べてる内に目から冷たい何かが溢れてきた。

加賀谷は、おばあちゃんとの思い出を思い出し泣いているのだ。

加賀谷は呟く「カレーにピーマンと椎茸はいれないでよおばあちゃん」

呟いた後に「いつもありがとう」と心の中で呟く、そんなことを考えているといつのまにかカレーの皿は空になる。

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