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ヒメユリ専科  作者: れきそたん
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女教師姉妹2

3、女教師。柳沢瑞穂。


「お姉ちゃんが、どうしてもって言うから貴女との同居を認めてあげるわ。感謝してよね」


柳沢穂乃香。

クラス委員長に何故こんなに嫌われてるのか理由を知りたい美緒であったが、憧れの柳沢瑞穂との例え1週間だけでも同じ屋根の下で生活できるのは正直喜ばしい。


穂乃果はかつて美緒が使っていた2階の寝間。瑞穂は父母が使っていた寝間。美緒は1階リビング付近の部屋を使うことになった。


互いの部屋に荷物を運び込むと日も落ち、お腹の虫が『早く食べさせろ』と騒ぎ立ててきた。

リビングまでやってきた瑞穂は、美緒の部屋に顔を出すと、ちょっとイイかしら?と声を掛ける。


「桜木さんキリの良いところでお夕飯にしましょう」

「瑞穂ちゃん先生。………委員長……いえ穂乃香さんはどんな状態ですか?」

「ゴメンなさいね心配かけて。妹は思うところ有るみたいだけど………一緒にご飯を食べたらきっと仲良くなれるはずだわ」


瑞穂は眉を八の字にして僅か困った顔をすると、口角だけ上げて笑顔を作った。


「今日はピザを配達してもらいましょう。それに妹はマルゲリータには目が無いのよ。サイドメニューでポテトとチキンも付けちゃいましょう!今日は先生が出すわ」

「私もお呼ばれしてもいいのですか?」

「いいに決まってるじゃない。桜木さん……いえ、美緒さんも今日から家族に成るんですから遠慮はしないでちょうだい」


美緒は明るく『はい』と返事をした。


夕飯時、穂乃香はリビングには来なかったが穂乃果の分のピザは瑞穂が持っていった。



「瑞穂ちゃん先生、委員長……穂乃果さんは……?」

美緒は椅子に座ったまま瑞穂を見つめて小首を傾げた。

瑞穂は妹のことは何も言わずただテーブルの上に並べてあるピザを食べましょうとだけ美緒に告げた。

瑞穂は缶ビールをグラスに注ぐとグラスを傾けた。

「乾杯。美緒さんこれからよろしくね」

「は、はい。こちらこそ」

美緒は慌ててコーラの入ったグラスを合わせチンと軽い音で返事をした。


「………それで美緒さんは好きな人とかいるの?」


ピザもポテトもだいぶ無くなりかけた時に瑞穂が聞いてきた。


「……好きってどんな気持ちなんでしょう」

「んーそうね。目をつぶって最初に思い浮かべる人じゃないかしら」


美緒は言われた通りに目をつぶって最初に思い浮かべた。脳裏に焼き付くほど見たのは、スーツ姿の瑞穂だった。


「………瑞穂ちゃんが思い浮かびました」

これが好きって感情なのかはわからないけど、一緒にいたいと思えたのは教師姿の瑞穂だったのは間違いなかった。


「嬉しい………それは教師として?……それとも一人の女として?」

みずほの顔はだいぶ紅くなっていた。元々酒に強い方ではなかったが、興味本位で聞いた好きな相手に自分の名前が出るとは思ってもいなかったからだ。


「…………それは…………それは、一人の女性として……憧れて………ます。」

そう言い終えて視線を瑞穂に向けると、瑞穂はうつ伏せになって規則正しい寝息を立てていた。

美緒は勇気を出して答えたのに寝られてしまって残念に思うのと同時に、良かったと思う気持ちもあった。


「先生、このままじゃ風邪をひいちゃいますから部屋で休みましょう」

美緒は瑞穂を起こそうとするが、中々起きてくれない。

瑞穂の右腕に手を掛けると方を貸して立ち上がろうとしたがバランスを崩してしまいそのまま床に倒れ込んでしまった。


「ん………美緒……さん?私も………好きですよ」

瑞穂は美緒を抱き寄せると、ほっぺたにキスをした。

瑞穂にとっては酔っての行動だが、美緒はシラフなのだ。憧れている女教師から抱きしめられた上『好きだと』言われてキスまでされて意識がぶっ飛びそうになった。

美緒は何度もこれは夢じゃないかと思ったが、何度も何度も頬にキスをされ、どんどん口元に近付いてくる瑞穂の唇に身を任せてしまいたいとさえ思っている。

「美緒さん……美緒さん……美緒さん」

「あぁ………先生」

「……今は、先生じゃなくて………ちゅっ……瑞穂って呼んで………ちゅっ」

「ダメ………瑞穂ちゃん………これ以上されたら……私、エッチな娘になっちゃう」

何度も何度もキスをされて、美緒の理性は限界だった。このまま瑞穂に身体を求められたら断る自信は既に無くなっていた。

瑞穂の両手が美緒の顔を挟む。

とうとう……やっと唇を奪われるのかとドキドキした。

目をつぶって様子を伺った。

しかし、何も無かった。冷静になってゆっくり目を開けると瑞穂は気持ちよさそうに寝ていた。


「………」



4.女教師。柳沢瑞穂2。


月曜日朝。

美穂が起きた時には瑞穂の姿は無かった。

あれは、いっときの夢だったのではと思うほど現実離れしていた。

しかし制服に着替えて玄関まで出た時に、昨日は会うことが出来なかったクラス委員長の穂乃果を見かけた。

「おはよう穂乃果さん」

「……おはようございます美緒さん。昨夜はお姉ちゃんが迷惑かけたみたいでごめんなさい」

「迷惑だなんて思ってもないよ」

寧ろ光栄だったと言おうとしたが、食い気味に穂乃果の言葉にかき消されてしまった。

「お姉ちゃん、お酒弱いのに酔うとキス魔になるのよね。だからって貴女が何かしようとしたら私許さないんだからね!」

「何もしないよ」

両手を前に出してブンブンと左右に振りながら美緒は答えた。

「それから美緒さんにお願いがあります」

「改まってなに?」

「私達と同居してる事は他の生徒たちには内緒にして欲しいの………勘違いされたら困るし」

ここまで嫌われてたら仕方ないと美緒は黙って頷いた。

「でも同じ学校なのだから登校が一緒なのは諦めてよね」

「登校時間もズラして行きなさい!わかった?」


穂乃果が家から出た5分後に美緒も家を出ることにした。

登校するとHR前に国語準備室に向かった。

国語準備室には運良く瑞穂だけが居て、美緒と目が合うと気まずそうな顔をしていた。

「美緒さん今は無理だから昼休みにまた準備室に来て、その時全部話すから………ね」

瑞穂はそれだけを美緒に伝えると出席簿を持って部屋から出ていってしまった。






残念だったなまだ続きます。

全体規模的には1週間か2週間の出来事の予定です。

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