女教師姉妹
姉妹百合を期待してる方ごめんなさい。
百合ハーレム物になる予定です。
筆が遅いですが、気長に付き合ってください。
1序章
四月。
桜雲からヒラヒラと踊る花びらは、まるで雨のようだ。
私。桜木美緒は急ぎ家路に着いた。
高校1年の三学期最後に、父の転勤が決まり春休み中に私を置いて母は父の転勤先について行ってしまった。
一軒家に住んで居たのだが、独り者には広すぎるので貸すことにした。家賃収入を生活費に充てればどうにかやっていけるだろうと父母から説得されマンションに引っ越すことになったのだが新学期が始まってもマンションが定まらないでいた。
そんな時、昼休み不動産屋から連絡が入ったからだ。
「瑞穂ちゃん先生さようなら」
国語教師でクラス担任でもある柳沢瑞穂に帰りの挨拶をした。
「廊下を走らないの!」
クラス名簿を片手で胸の辺りで抱え込んで、空いた片方の手を振りながら笑顔で見送ってくれた。
肩甲骨まで伸ばした髪が綺麗だ。
担任が瑞穂ちゃん先生で良かったと本気で思っている。私の知ってる限りで瑞穂ちゃん先生のファンはクラスに何人か居るけど、どの生徒よりも私の想いが一番だと自負している。
もっと瑞穂ちゃん先生と話していたかったけど予定が有るから断念した。
「……誠に申しにくい事なのですが……」
不動産屋の話では、引っ越そうとしたマンションは火事で焼失。オマケに家の借り手が決まった。
「マンションの候補は早急にお持ちしますので、暫くお待ちください」
そう言い残して不動産屋の社員は帰ってしまった。
「………これは不味い事になりました。週末には借り主家族が来てしまう」
マンションが決まるまでの間、都合がいいとは思うけど部屋を間借り出来るか頼んでみよう。美緒は真摯に頼んだら分かってもらえると信じた。
2、日曜日
美緒はこの数日、家でも学校でも気持ちが晴れる事が無かった。
頼みの綱の不動産屋からは何の連絡もなく時間ばかりが過ぎていった。
いつ連絡が来てもいいように荷造りだけはして荷物を纏めておいたが無駄に終わった。
お昼近くなると、不安は恐怖に変わっていた。
新しく来た住人から、次のマンションが決まるまで此処に住まわせて欲しいという願いが断られたらどうしよう………そう考えただけで気持ちが重くなっている。
玄関のチャイムが鳴った。
美緒は心臓が口から飛び出しそうな気持ちを抑えて玄関に向かい鍵を開けた。
「あらっ」
聞き覚えがある声に美緒は俯いて地面ばかり見ていた視線を徐々に上へ向けていく。
そこには、ジーンズにTシャツとラフな格好をしてはいたけど見知った顔があった。
「………瑞穂ちゃん先生?」
「休日くらいは『先生』は無しでも良いわ。それよりもここは桜木さんのお宅なの?」
美緒は担任教師に事情を説明していると、「お姉ちゃんどうしたの?」と外から中を覗き込むようにクラス委員長の柳沢穂乃香が現れた。
「桜木美緒?なんで貴女がここにいるの?………まさかストーカー?」
「ストーカー違う。先生が越してくる前に私も引っ越す予定だったのだけど事情があって、マンションが決まるまでの間一緒に住まわせて欲しいって話してたの」
美緒は拝むように手を合わせて懇願した。
しかし、穂乃香の様子は予想と反するものだった。
「い、イヤよ!………なんで貴女と一緒に住まないといけないの?」
瑞穂が穂乃果の発言を止めようとするが、穂乃香は中に入るや否や階段を昇って部屋に入ってしまった。
美緒は階段を見つめたまま落胆していた。
「普段はあんなキツいことを言う子じゃないの。ゴメンなさいね。ちゃんと言い聞かせておきますから許してあげてちょうだい」
「瑞穂ちゃん先生。私なら大丈夫です。1週間か2週間時間が貰えたら次のマンションが決まるはずですし……ダメならホテルに泊まります」
瑞穂は首を左右に振る。
「ホテルはダメ。穂乃香が駄目って言っても私が良いって言ってるのだから安心して良いのよ」
瑞穂は美緒の右手を両手で握ると真っ直ぐ見つめて強く言った。
瑞穂の瞳に美緒の姿が映し出されて、美緒は頬を染めた。
委員長には嫌われたけど、担任との生活に美緒は胸の高鳴りを覚えていた。