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高い塔の上でただ国の平和を祈り続ける聖女は、昔婚約者である王太子に裏切られ、婚約破棄をされたまだたった12歳の哀れな少女でありました。私は彼女のお世話係、聖女の話を聞くものです

作者: 志桜里

「…ねえ永遠を信じる?」


 高い塔の上でこの国の平和を祈り続けるといわれる聖女様はとてもお美しい人でした。

 長い金の髪に青い目、誰よりも麗しい…。

 年齢は12歳ほどに見えますが。私がこの塔でお世話をするようになって5年、姿が全く変わりません。



「永遠ですか?」


「私ね、永遠の愛を信じて裏切られたの」


 優しい笑みのまま、聖女様は私に語り掛けます。

 昔この国の王太子であった人に裏切られ、婚約破棄をされたそうなのです。


「私ね、この能力が発現するまでは殿下の婚約者として王宮に暮らしていたのよ。でもそれはね…この力を発現するであろうと予知されていたからなの」


 聖女様は10歳のころ、婚約者となり、そして王宮に連れてこられた子爵令嬢だったそうです。

 みんなとても優しくて、この国を守りたいと思ったそうなのですが…。


「私、12の時にね、聖女としての力が目覚めて…この塔の上にとじこめられたの」


「…それは」


「私ね、殿下のために一生懸命お勉強をしたわ、婚約者として相応しい令嬢になろうとしたの」


 夢見るように遠い目をして語る聖女様、聖女様が聖女となってもう210年が経つといわれてます。

 そのころの王太子などはもう…。


「…私のこの力が目覚めてみんなね、祈れ祈れ、この国の平和を祈れっていうの」


「…聖女様」


「私ねえ、聖女の力なんていらなかったの。ただ殿下の愛だけが欲しかったの。お父様からもお母様からも愛されず、ただ放っておかれた私は子爵の末の娘だった。殿下に見いだされ婚約者になって本当にうれしかったの、必要とされているって」


 ばかばかしいと一転…どこか暗い目をして聖女様は私に笑いかけるのです。

 低い声で聖女様は語り、そして…。


「私、ここに閉じ込められることになったの、そしてこの国の繁栄を祈ることになったのよ。そうしないとね…末の弟を殺すって言われたの」


「…それは」


「今はね、弟の子孫を殺すって言われているの。だから祈れ、祈れ、祈り続けろって言われてるの」


 あまりにもどこか悲しい微笑みで、聖女様はこちらを見て、どうやっても逃げられないのよと言うのです。


「聖女の力というものは祈りの力、祈り続ける限りは…この国の繁栄、平和と安定は守られるの」


「…聖女様」


私がある言葉を囁くと…。聖女様はそうとだけ言ったのです。


「…リーネ、あのね、もうすぐしたら…」


 私は聖女様が小さく私の耳元で囁くのを聞いたのです。

 そして…。



「…この国が滅ぼされる時がきたとは」


 私は聖女様の付き人を辞することになりました。5年単位で入れ替わるようになっているのです。

 決して口外するなと大金を握らされました。


 私はそのお金を持って隣国に逃げました。

 そして…。

 国は滅びました。はやり病、地震、水害、あらゆる災害に見舞われ、あとは隣国から攻められ…。

 聖女様の祈りの力がなくなったのか?


 ええ、聖女様は高い塔の上で祈り続けていたのです。でも…。

 災害が続き、聖女様は時の王に殺されました。

 聖女様は最後の時にとてもうれしそうに楽しそうに歌ったそうです。

 

 その歌は…子守歌だったそうです。それは小さな弟に聖女様が昔歌ったものであると私だけが知っておりました。


 聖女様は…祈り続けることに疲れ、そして弟君の子孫である子爵の家がとっくの昔になくなったことを聞いて、この国を滅ぼすことを決めたそうです。

 ええ教えたのは私。

 

 どうして教えたのかって? いつもいつも国のために祈り続ける聖女様が騙されていることを知って…どうしても私は。

 私は…余計なことを言えないように魔法の拘束をかけられておりました。

 でもどうしてそれが働くことがなかったのか…。


「リーネ、よく帰ってきたな」


「殿下、お久しぶりです」


「隣国の聖女とやらの世話係に志願するとは…しかも5年も」


「…平和と安定とやらを200年以上も続ける国の内部に興味がありまして」


「変わった人だあなたも」


「あなたみたいな変わった人の婚約者ですし」


「そうだな」


 私は隣国に帰り、そして殿下に笑いかけました。

 婚約者である彼は、相変わらずよくわからん人だと笑うのです。

 偉大なる宮廷魔法使い殿にして我が婚約者よと。


 割と簡単に入り込めました。かなりお世話係の選定が緩くなっていたようで…。

 私が我が国が隣国に攻め入る手引きをしたのか? 聖女さえいなくなればと思ったのか?


 いいえただの好奇心でした。聖女の力とやらが気になっただけなのです。

 でもあの悲しい人の姿を見るにつれ、もう終わらせてもいいかなと思ったのです。


「殿下、永遠を信じますか?」


「さあ、わからないな」


「そうですか」


 私は殿下に笑いかけ、永遠なんてないのですわ多分と呟いたのでありました。

 

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