第三の手
歩き始めて数時間。
黒い森の前に到着した。
生えてる木は幹も葉も真っ黒だ。·····怖すぎ。
大きさは···100メートル位あるんじゃないか?
とにかくでかい針葉樹だ。見た目は黒い杉。
「行くしかないかー。」
他に案が無いので仕方ない。
黒い森に踏み入れる。
思っていた程は暗くなかったことに安心しながら進む。360度どこを見ても木だ。
歩き始めてしばらくしたが、周りの景色はぜんぜん変わる気配が無い。
「これじゃどのくらい進んだのか分からないな。」
1度木でも登って確かめた方がいいだろう。
「改めて見るとたけーなこの木。」
登れんのか?コレ。
木の根元を掴む。
幸い、木はそこまで太くないので登れなくはなさそうだ。
「よっ」
こっち来てから独り言が多いな。そんなことを考えながら木をよじ登る。
「?」
なんか楽だ、俺の知ってる木登りじゃない。
そう言えば結構長い間森を歩いていたのに全然疲れてない。
そうこうしてるうちにもう木の頂上に着いてしまった。
「お、いい景色。」
前には黒い森が広がっていて、その奥には山脈が見える·····なぜ真っ赤なんだ。とにかく赤い山々が連なっている。
後ろには、果てしない荒野が続いている。
空は相変わらずの真っ赤で、昼なのか夜なのか分からない。
「·····降りるか。」
とりあえずの目標は森の奥の山脈を目指そう。
ここに来てから飯は疎か1滴の水も飲んでないが不思議とどうにかなる気がしている。
·····というか腹が減らないし、喉も渇かない。
むしろ調子が良い位だ。運動神経良くなってるし·····。
木の中ほどまで降りた時にある事に気づいた。
··········飛び降りれる。
地面まではまだ50メートル位はあるのに···。
この高さならいける·····。
いや、無理だろ。
······飛んだ。
結果地面に突き刺さった。
ドスッ っていった。
·····ちょっと痛かった。
だが、足も特に怪我した様子は無い。
···おかしい。普通なら死ぬのに·····てかよく飛んだな俺。
疲れない事といい俺の体はおかしい。
異世界だからか?
····いや、そもそもここが異世界なのかも分からないんだった。
木から降り、疲れてはないが、一応木の根元に座って休む。
「どーしよっかなー。·····ん?」
なんか肩の所らへんに違和感が·····。
ふと背中を見ると肩甲骨の間に小さな黒い腕が生えていた。