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始まり
ん?どこだ?···ここ。
ゆっくりと体を起こし、辺りを見回す。
荒れ果てた大地、遠くまで広がる真っ赤な空。
左側には、果てしなく続いている真っ黒な森。
「地獄にでも落ちたのか?」
そんなぁ、俺はまだ·······何歳だっけ?
····自分の歳が思い出せない。
ド忘れとかじゃなくて完全に思い出せない。
歳だけではなく、その他一切の記憶が無い。
自分の名前も、親の顔も。
「日本·····。」
覚えているのはそれくらい。
都道府県までは分からない。
いつまでも寝転んでいる訳にもいかないので、地面から起き上がる。
「さて、どうしようか。」
とりあえず黒い森の方に行ってみるか。
·····彼はまだ気づいていない、自分の背中に小さな三本目の腕が生えている事に。