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日々雑感  作者: 晶輪寺零
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秘伝晶輪寺拳法入門   その5 〜『急鍛法』補足編〜

ええ、ここまで読まれた方は、何でダンベルなんかを使うんだ、パワーリストではイカンのか、と疑問を抱く方も居られるかもしれませんね。


何故、突きの威力を増すための鍛錬にわざわざ掌で握るような代物を用いるか--それは、鍛えるべきはただの腕力にあらず、ということなのです。

急鍛法で鍛えるための力は、単に腕を速く動かせばいいというものではありません。

腕力のほかに、握力も重要なポイントになるからです。


大ヒットしたボクシング漫画、『リングにかけろ』で主人公の高嶺竜児君がパワーリストを外して不良学生をまとめてやっつけるシーンがあります。しかし、鍛えぬいたパンチ力に拳の方が付いて行けず、ボクサー生命を断念するかというほどの負傷を負いました。因みに『リンかけ2』では、甥の麟童や志那虎家の跡取り伊織が素手で飛んできた石を打ち砕いてましたがw

シリーズの路線変更は置いといて、このようにリストにだけ錘を載せた所で打撃の際に直接衝撃を受ける拳までは鍛えることはできません。更に、リストバンドではあまりに早く動かすとずれる可能性もある。グローブをつけたパンチはどうかわかりませんが、素手で直接人体を打つ場合、飽くまで直接ヒットする部分である拳を鍛えることを常に念頭に置かなければなりません。また、パンチ力は握力で決まる、などとも言われますが、鈍い握力では打撃にあまり意味は無いと、個人的には考えます。打撃に必要とされるのは、ヒットの瞬間だけ弾ける様に五指を握り込む、いわば瞬発握力とでも証するべき鋭い握力なのです。ダンベルを、限界まで高速で打ち出すと当然それを握り込む為、瞬間的な握力も養成される。


日本でも中国でも、そして恐らくインドでも、東洋の武術は素手だけでなく、武器も同時に鍛錬しました。これは、武器自体を扱える事もさる事ながら、更に言えば徒手空拳の技自体を鍛えるための筋力トレーニングでありました。先に書いたように、たとえ軽い金属でも加速が突けば恐るべき負荷を生み出します。近頃の表演大会みたいに、アルミや、ひどいのになると竹光(実際はこれが主流ですけど)を振り回すような完全な踊りでは意味はありませんが、重い鉄製の武具を振り回すのは相当ハードな鍛錬です。

更に付け加えるならば、武具というものはある程度動きに指向性があって、力を入れて振り回したら一定の方向に動くようにできています。それは形自体が運動機能そのものになっているわけです。シンプルな武器はシンプルな動き、複雑な武器は当然その形にあわせて複雑な動きをします。ですから、武器を練習することはそれ自体拳法の為の筋力トレーニングな訳です。


それに対してですね、ダンベルを使うと、武器以上に負荷が大きくなる。

武器は予め動くようにできてますが、ダンベルは元々早く動かすようにはできていません。逆に言うと、練習用の負荷としては武器以上に大きい訳ですが、慣れていない初心者の方はやり辛いかもしれません。



最後に、急鍛法をやると勁力が出なくなる理由ですが--簡単です、この練習では突きを出すだけではなしに、勢いのついたダンベルを力いっぱい引っ張ってとめるからです。つまり、アクセル踏んだ跡にブレーキかけてるわけです。でも、これをやるから裏と表の筋力が鍛えられる。よく、ボクサーや拳法家が自分の突きや蹴りの速度に耐え切れず肉離れを起こすという話がありますが、予めこの練習で突きの動作の筋肉を伸ばす方と曲げる方、両方とも鍛えておけばその危険も小さくなる訳です。

勁が出なくなる位、一時的なものです。何度も発勁すれば、すぐにまた出るようになる。

ま、この急鍛法自体がそもそもおまけみたいな物ですから、それほど徹底的にやる必要無いですけどね。

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