秘伝晶輪寺拳法入門 その4 〜『急鍛法』実技編〜
それでは、いよいよ秘儀『急鍛法』の具体的な練習法に参ります。
まず、ダンベルを両手に持って下さい。
そして、リラックスした直立姿勢から、片足を一歩前に踏み出して下さい。
形意拳の三体式、と言っても、分らない方も多いですよね。ネットででも検索していただけるとありがたいですが、流石にそれでは不親切、と言う事で、可能な限り文章でその構えを描写してみます。
余談になりますが、三体式というのは、天地人の三体が一体となっる、と言う意味だそうで、筆者などは一種の気功の型として習いました。正式には頭を手で覆うような形から始めるんですが、物理的な修練としてはそこまで必要ない。完成した形だけで結構です。
そして、半身の姿勢で体を開いた状態から、ダンベルを握った手を軽く持ち上げてください。高さは、大体胸より少し下あたり、肩をリラックスした状態で、ダンベルを心持ち少し前に突き出します。
そして、できるだけ息を吸い込みます。胸式呼吸です。腹に溜めてはいけません。そのまま、限界まで吸い込みます。弓を引き絞るように、力を溜めるのです。そして、胸に充満した呼吸を腹の底に押し付ける、いや、叩きつけるくらいの勢いで一気に沈めてください。その時の勢いと共にダンベルを握った拳をできるだけ強烈な勢いで撃ち出します。
打ち終わった直後には、腹の底で爆発させた呼吸が自然に吐き出されます。この時、呼吸が強烈であれば何か呻き声の様な、唸っているような低くくぐもった声が出ます。わざと発声するのではありません。自分でも、不思議に思うくらいの声が漏れる。それだけ強烈に呼吸が圧縮されているのです。
これが『急鍛法』です。
順突きだと、形意拳の崩拳、太極拳の逆突きなら、演手捶に似た形で。
バリエーションは色々ありますが、基本的には半身で構えた状態から突きを出す、ここから始めてもらいたい。
ダンベルの重量ですが、体格など、条件も個人差があるので何とも言えませんが、自分は1kgのダンベルでは脚の捻じり、親指の踏み込みを重視し、ダンベルは小指で握ります。小指で握りこむと五指全体に強力な握力が発生する為、強く握れます。その代わり、突きは鈍くなる。パワー重視の突きになる。
500gだと、スピードを意識します。ダンベルも中指を引っ掛ける様にして持ちます。掴む、と言うような強い感覚ではなく、手の中に転がすような感じです。だからこそ、気を付けなければ危ない。いつ、手から離れるか分らないので、絶対に人のいる場所ではやらないで下さい、特に軽い方では。
重いダンベルだとそれほど速度は出せませんが、軽い方だとついつい、油断が生じて調子に乗って素早く連発の、それこそシャドウなんてまねをする人もいるかもしれませんが、それこそ素人の浅はかさ、もしも軽い方で慣れてきたら、余計に一発の突きに集中するようにならねば意味がない。
それからですね__重大な事実をここで発表します。いや、この急鍛法、実はやり過ぎると、本番の突きの動作が固くなる。
中国拳法の用語でいえば、手から勁力が出なくなってしまうのです。
「おい、なんでそんな無意味な事をやるんだ?」
と憤慨なさる方もおられるかもしれませんが、いやいや、無意味な訳では決してない。そうですね、これは敢えて言えば筋力トレーニングなのです。いや、筋トレそのもの。実用の動作を支えるための筋力トレーニングです。決して、拳法の動作そのものではない。あくまで、補助として使う物なのです。