秘伝晶輪寺拳法入門 その2 〜初動負荷理論〜
打撃で速度が必要なのは、飽くまで打点のみ。目標に到達するまでは、単なる移動と言うか、無意味に速度を上げる必要はございません。
つまり、練習に際しましては、ヒットポイントのみに速度を集中するよう心掛けてほしい訳であります。
こういうと、中途半端な心得のある方は、そんな事は当たり前だ、と答えるかもしれません。
しかし、当たり前とはどういう事なのでしょう?当たり前だから、言われるまでも無くそう心掛けて練習しているのでしょうか?
されば、小生が余計な口をはさむ必要はありませんが。
それとも、当たり前だから意識しなくても、ただ漫然と突きや蹴りの動作を繰り返していれば自然にヒットポイントだけに速度が集中するのでしょうか?
だとしたら、あなたは天才ですね。
晶輪寺は凡人ですので、意識的に繰り返し練習を重ねなければとてもの事、任意の場所だけに速度を集中するなどと言う技能は体得できません。
スポーツ関係のトレーニングに関しましても、何やら怪しげな、取って付けたような、こじつけじみた“新理論”を売り物にする書籍は後を絶ちませんが、その中に在って、筆者が興味を引かれたのは『初動負荷』理論という練習法です。
一読してみれば、まあ、大まかな筋では字面から受ける印象そのままという内容でしたが、その、初動負荷の為の動作とかも詳しく紹介されておりました。それについてはここでは全く関係ないので省略します。
確かに、この初動負荷も一つの考え方ではあるでしょう。間違っておるとは申しません。しかし、全くジャンルの違う世界では通用しないのであります。
例えば、陸上競技でも走行種目ならば、その『初動負荷』の練習法は役に立つかもしれません。しかし、跳躍や投擲といった、最初に溜めを作って一つのベクトルにエネルギーを集中する競技ではどうでしょう?初動で力を出し過ぎると、却って不利になりはしませんか?
とは言うものの、自分の練習している打撃動作を顧みれば、やっぱり『初動負荷』的な力の出し方なんですよね。
次回はそれを紹介します。