素人最強説
素人こそ最強である。
相撲最強論と並んで良く目や耳にする言葉です。
こういうことを考えてみましょう。
徒競走にはまったくずぶの素人である小生が、インターハイに出場する陸上の代表選手と駆けっこをやったらどうなるか。勝負になりません。当たり前です。
玄人より素人の方が強いなんて、絶対に在り得ないのです。
では、何故、素人最強などと言う言葉がまかり通るのか。勘違いに過ぎません。喧嘩に強いのは喧嘩のプロです。スポーツ選手ではありません。いくらスポーツでチャンピオンになっても、喧嘩に関しては素人と言うことです。ボクシングのチャンピオンだろうと柔道の金メダリストだろうと、喧嘩に関しては分かりません。。勿論、世の中には天才と言う者が存在するわけであり、喧嘩だろうと将棋だろうと水泳だろうと何をやっても超一流と言うような超人もいないとは言い切れませんが、それは特殊な例外であり一般論ではありえない。
こういう考え方もあります。
プロのスポーツ選手は一般人と比べれば体力を鍛えているのだから、ジャンルを問わず喧嘩でも何でも強いだろう。そりゃ、一般人と比べればそうでしょう。しかし、喧嘩のプロは喧嘩に勝つ為のありとあらゆる方法を体験し、模索しているはずであり、体力に任せた素人の喧嘩などはしない筈です。また、スポーツ選手でも、そのジャンルの一流と三流を比べて、プレーがうまい人が喧嘩に強いかどうかなんて、まったく次元の違う話です。ファームに一軍のレギュラーより喧嘩に強い選手がいるとしても不思議はありません。でも野球ではスタメン出場できない、それだけです。
ボクシングと柔道が手っ取り早く喧嘩に役立つとも言われます。中には、ボクシングのジムに通って喧嘩に役立ててる人もいるかもしれません。しかし、そういう人はボクシングのチャンピオンにはなれないでしょう。勿論、プロボクサーは喧嘩をすればライセンス剥奪とかそういう意味ではありません。喧嘩の片手間にボクシングやってるような不真面目なのがチャンピオンになったりしたら、真面目に練習してる選手が浮かばれません。或いはカミソリパンチの海老原さんみたいに、タイトルマッチの前に草野球やってスライディングで足折ったにもかかわらずKOで王座を防衛したなんて豪傑も居られますが、そんなのはそれこそ例外的な天才であって、一種の伝説です。
極真カラテ史上初の3連覇と言う偉業を成し遂げた三瓶啓二選手の仰るには、実戦がどうの喧嘩が強いなどと言っていたのでは試合に勝てない、優勝するためには試合の為の練習に集中せねばならない。K-1GPにおいて、セーム・シュルト選手と並ぶ4回優勝と言う実績を残した実力者、アーネスト・ホースト選手は、自分はキックと言うゲームのスペシャリストを目指しているだけで実戦だのなんだのは眼中に無い、チェスのチャンピオンが自分は最強だの何だのと言わないのと同じだ、と発言していました。
どちらも立派な見解です。
喧嘩に勝ちたかったら、喧嘩のプロにおなりなさい、それだけです。