秘伝晶輪寺拳法入門 その10 〜脚撃技法(Part2)〜
足技についての第二回目。
脚撃の場合、厄介なのは自由に動かない事。そして、片足を上げねばできない事です。要するに、両足で踏ん張って強大な打力を生み出すと言う事ができないわけです。今時、足は手より強いからパンチよりキックの方が強い、とか訳の判らん寝言かます人もいないとは思いますが、片足で打撃を行うというのは厄介です。ここまで読んでくださった、急鍛法などを理解してくれた(と言う前提で話を進めます)方なら今更繰り返すほどの事でも御座いませんが、打撃は両足を踏ん張ってこそ威力が出せる。片足でも同じだ、などという人は、酔拳かなにかの特殊用法でも身に就けているか、それとも全く打撃に速度の無い人です。
蹴り技の基本は片足で立つ事から始めます。
足技の鍛錬では、蹴り足もさることながら軸足の錬度が非情に重要視されます。その軸足の鍛錬法にも色々御座いますが、まあ、蹴り技そのものに直接関係のある鍛錬法を紹介します。
片足立ちになって、膝を上げてください。そのまま、上げた足を決して下ろさず何度も蹴りの動作を繰り返す。別に大仰な蹴りでなくていいです、前蹴りでも、踏脚みたいな低い蹴りでも良い、出来る限り繰り返してみてください。慣れてない人はしんどいはずですよ。一回だけならともかく、何度もやったら軸足は疲れる、バランスも崩すし、思わず片足を付きそうになります。そんな時はあわてず、蹴りの動作も休んでただひたすら片足立ちを心がける。静かにです。力まないで下さい。それにより、軸足とバランス感覚を少しづつ鍛えるのです。他にも、片足のまま下ろさず、胸くらいの位置まで膝を上げる練習なんかも有効です。何か目印を用意して、それ目掛けて膝蹴りを繰り返してみるのもいいです。最後に、顔くらいの所までジャンプして膝を上げる。着地しても片足のままです。これは固定した目印が必要ですね。
他にも、いわゆる片足スクワットなんかも効果的ですが、これは無理しないで下さい。できる範囲でかまわないから、自力で立ってやること。間違っても、壁とかに寄りかかってやらないように。少なくとも、蹴り技を強化したいと言うのが目的であれば絶対に片足立ちを優先する事。何のための練習か、と言う事です。片足スクワットで脚力を鍛える事自体が目的ではありません。何か別の目的が有ってやるのならいざ知らず、今回は飽くまで蹴り技の為の運動である事をお忘れなく。ただ脚力を鍛えればいいというものではない、飽くまで目的は片足立ちです。
軸足を鍛えておけば、本番の蹴りの際にも役立ちます。
しかし、本格的な蹴り技の練習に入ったら、軸足の事なんて忘れること。鍛えておけば、逆に意識する必要は無いんです。時々、蹴りのときは軸足を使って、何てことも聞きますが、これは完全に初心者の言葉です。徹底的に鍛えておけば、基本的には軸足を意識する必要は無い。簡単に言えば、重いものを持ち上げる際にも、力の強い人は何も考えずに持ち上げられますが、弱い人は全身に力を入れて顔を真っ赤にしながらやっとこさ、持ち上がります。蹴りを始めてから軸足をどうこう言うなんて、鍛錬不足としか思えません。
以上、簡単に軸足の鍛え方を書きましたが、何、ここからはじめねばならないと言う訳ではありません。普通に、蹴り技の練習と平行して、或いは補助くらいに考えて実行してもらえればそれで充分だと思いますよ。
次回こそ、本番の脚撃動作を紹介しますので、ご期待下さい。